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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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医薬にまつわる最新ニュースを詳しく解説! 2019年6月にピックアップするニュースは「緊急避妊薬のオンライン処方」「キムリアの保険適用開始」です。薬剤師の業務にどのように影響してくるのか、チェックしましょう。

緊急避妊薬のオンライン処方が可能に/キムリアの保険適用開始

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 緊急避妊薬のオンライン処方が可能に!——薬剤師の役割は?
  • 「調剤薬局の薬剤師の前で服用すること」や「服用3週間後の産婦人科への受診勧奨を徹底すること」などの条件付きで緊急避妊薬のオンライン処方の利用が可能になる。
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  • Topics 2 キムリアの保険適用開始——CAR-T療法とは?
  • キムリアは、新たな血液がん治療法・CAR-T療法に用いられる薬剤で高い効果が期待でき副作用が少ないのが特徴。1回の投与当たり3349万3407円と高額。
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Topics 1 緊急避妊薬のオンライン処方が可能に!――薬剤師の役割は?

2019年6月10日、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は、スマートフォンやタブレットなどを活用したオンライン診療において、対面診療による初診を経ずに緊急避妊薬を処方できるようオンライン診療指針を改訂する案を了承しました。

緊急避妊薬は、排卵の抑制、受精や着床の阻害作用を持ち、通常の避妊に失敗した際に72時間以内に服用すると緊急的な避妊効果を得られる薬剤です。現在、日本で広く使用されている緊急避妊薬には黄体ホルモンが含まれており、高い避妊効果が期待できる一方で、吐き気や頭痛などの副作用が強いことでも知られています。そのため、緊急避妊薬は市販されておらず、医師の診察を受けたうえで処方してもらう必要がありました。

しかし、性犯罪被害者などは産婦人科での対面診療に心的負担を強いられることが多く、妊娠のリスクがあるにもかかわらず受診をためらい、緊急避妊薬の処方を受けられずに望まない妊娠をしてしまうケースがあることが問題となっていました。こうした問題を解決するため、性被害の相談を受け付ける窓口の医師などが「心理的な状態から対面診療が困難」と判断した場合は、緊急避妊薬のオンライン処方を可能とすることが決まったのです(医療機関を受診できない地理的要因がある場合も対象)。

一方で、検討会の議論では「オンライン診療では正確な診察を行うことができないため避妊に失敗した後のフォローなどができない」「薬剤の転売など不正な利用が横行するのではないか」といった懸念も示されていました。こうしたメリット/デメリットをふまえ、緊急避妊薬のオンライン処方を利用する場合は、「調剤薬局の薬剤師の前で服用すること」や「服用3週間後の産婦人科への受診勧奨を徹底すること」などが条件として盛り込まれています。

2015年にオンライン診療が解禁されて以来、遠隔地の人や通院の足がない人などにとって医療へのアクセス状況は改善していますが、このたび決まった緊急避妊薬の取り扱いにより、さらにオンライン診療は拡大していくと思われます。しかし、オンライン診療では医師と対面する必要がないため、患者さんは専門家に質問を投げかける機会が少なくなります。

そうした中、薬剤師は患者さんと対面する唯一の医療従事者となるので、薬剤の説明や服薬指導だけでなく、医療に関する幅広い事柄を説明することが求められるようになると考えられます。また、オンラインでの診察のみでは分かりにくい患者さんの変調などにいち早く気付くことができるのも患者さんと対面する薬剤師であるため、そうした異常を察知する力も磨いておきたいものです。

Topics 2 キムリアの保険適用開始――CAR-T療法とは?

2019年5月22日、新たな血液がん治療薬キムリア(一般名:チサゲンレクルユーセル)が薬価収載されました。日本人の2人に1人ががんを罹患するといわれる昨今、より効果の高いがん治療薬の開発が日々進められており、新たな治療薬の発売や保険適用開始は決して珍しい話題ではありません。

しかし、キムリアは1回の投与当たり3349万3407円という非常に高額な薬価もあって世間の注目を集めています。個々の患者さんにとっては、月々の医療費自己負担額の上限を定める高額療養費制度の恩恵を受けて、実質的な負担は薬価に比べて非常に小さくなります。ただし、キムリアは日本国内で年間200人ほどの使用が見込まれており、それに要する費用は年間72億円にものぼるとされ、公的医療保険制度に対する影響は少なからずあると考えられています。

キムリアは、新たな血液がん治療法であるCAR-T療法に用いられる薬剤です。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および前駆B細胞急性リンパ性白血病と呼ばれる特殊なタイプの血液がんで、従来の治療法では十分な効果を得られなかった患者さんが適応となります。

CAR-T療法は、がん細胞を攻撃するT細胞に遺伝子操作を加え、CD19を発現しているB細胞がんへ特異的な攻撃を行う「CAR」と呼ばれるタンパク質を作り出すことができるように改変し、それを体内に戻してがん細胞を攻撃させる治療法です。遺伝子操作により改変されたT細胞をCAR-T細胞と呼びますが、これを体内に戻す際に必要なのがキムリアなのです。CAR-T療法は、薬剤ががん細胞を攻撃する従来の抗がん剤などと異なり、患者さん自身の免疫細胞を利用した治療法です。また、CD19が発現している細胞のみに特異的な攻撃を行うため、従来の治療法よりも高い効果が期待できる一方、副作用は少ないとされています。

キムリアは研究・開発に多額のコストを要したこと、適応となる患者数が多くないことから、必然的に超高額の薬価となりました。今後も同様に超高額の治療薬が開発される可能性があり、新たな治療選択肢が誕生すること自体は喜ばしいものの、医療財政に与える影響が懸念されるところでもあります。

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※この記事に掲載された情報は2019年6月14日(金)時点のものです。

成田亜希子(なりた あきこ)

2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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