薬剤師のスキルアップ 公開日:2015.08.10更新日:2015.08.10 薬剤師のスキルアップ

第31回 関口太郎 先生

患者さんに寄り添い、「一歩踏み込んだ服薬指導」をしたいと考えているものの、なかなか実践に結びつかないということはありませんか?
今回は横須賀の地に根ざし、ときには患者さん宅まで足を運んで服薬後のフォローアップを行うなど、地域の人たちの信頼に応える薬剤師・関口太郎先生にお話をうかがいました。全4回のシリーズです。

Q
 
薬剤師として、薬のこと以外も含めて知っておくと役立つ知識やワンポイントがあったら教えてください。
薬剤師として、薬のこと以外も含めて知っておくと役立つ知識やワンポイントがあったら教えてください。
情報のアンテナを張り巡らせ、医療以外のことも幅広く知識を収集しよう

 

“宗教上の禁忌”と薬の成分の関係

 
立地場所によっては、外国人の患者さんが頻繁に訪れる薬局もあるかもしれません。そこで気をつけたい点の一つが宗教の問題です。
たとえばイスラム教ではブタを食べることはタブーとされていますが、医薬品の中には、「ブタ由来のゼラチン」を使用したカプセル剤などがありますね。患者さんのためには、こうしたことも知っておくといいかもしれません。
 
普段の投薬の際も、宗教のことまではなかなか踏み込んで話を聞けません。しかし今後、在宅で外国人の患者さん宅を訪れたときに、これまで見えてこなかった「宗教」を含めた生活背景がわかるようになる場合もあるかもしれません。
一見、医学や薬学とはまったく関係のない知識に思えるかもしれませんが、気に留めておきたい事柄の一つです。
 

待合室に置く雑誌や本を情報収集のきっかけに

 
関口調剤薬局の本棚には、医療系だけではなく、グルメなどの本も置いてあります。
「薬局には糖尿病、高血圧、腎臓病など、食事に気を遣わないといけない患者さんも来るのに……」とマイナスイメージを持つ方がいるかもしれませんが、私はそのデメリットよりも、患者さんがどのような食事を好むのかといった嗜好を探るメリットの方が大きいと考えています。
 
たとえばラーメン特集の雑誌を患者さんが手に取って熱心に読んでいたら、服薬指導のときに、「私もラーメンが好きなんですけど、Bさんもラーメンがお好きなんですね」と話のきっかけを作る。そこから普段の食生活の話へ広げることができます。
ご本人が「高血圧の治療中だから控えてるんだけどね」と言えば、これまでの経過をみて「スープを全部飲まないように気をつければ、週に1回くらいなら大丈夫そうですよ」といった具体的なアドバイスをすることにもつながります。さらに、私たちの薬局には管理栄養士がいるので、必要な患者さんには栄養指導を受けるようにおすすめして、健康の維持・管理に役立てていただいています。
 

高齢化が進む地域の人たちのために、在宅医療の再開を

 
現在、関口調剤薬局はマンパワー不足などの問題があり在宅医療は休止しています。
患者さん宅への訪問は薬剤師の責任感として無償で行っています。信頼感を患者さんや病院、地域のコメディカルとの間に積み重ねている状況ですね。
今は薬局スタッフに専門薬剤師の認定取得やバイタルサイン講習会の受講などを促しており、ウォーミングアップをしているところです。
 
当薬局と同じように、本格的に在宅医療を始められないことにやきもきしている人手不足の薬局さんは全国にたくさんあると思います。そのような薬局さんではサービスの一環として、まずは可能な範囲で患者さん宅への訪問をスタートしてみてはいかがでしょうか。
初めは大変だと思いますが、積み重ねた信頼と経験は揺るぎないものとなり、在宅医療を開始するときにきっと活きてくるはずです。

情報のアンテナを張り巡らせ、医療以外のことも幅広く知識を収集しよう

 

“宗教上の禁忌”と薬の成分の関係

 
立地場所によっては、外国人の患者さんが頻繁に訪れる薬局もあるかもしれません。そこで気をつけたい点の一つが宗教の問題です。
たとえばイスラム教ではブタを食べることはタブーとされていますが、医薬品の中には、「ブタ由来のゼラチン」を使用したカプセル剤などがありますね。患者さんのためには、こうしたことも知っておくといいかもしれません。
 
普段の投薬の際も、宗教のことまではなかなか踏み込んで話を聞けません。しかし今後、在宅で外国人の患者さん宅を訪れたときに、これまで見えてこなかった「宗教」を含めた生活背景がわかるようになる場合もあるかもしれません。
一見、医学や薬学とはまったく関係のない知識に思えるかもしれませんが、気に留めておきたい事柄の一つです。
 

待合室に置く雑誌や本を情報収集のきっかけに

 
関口調剤薬局の本棚には、医療系だけではなく、グルメなどの本も置いてあります。
「薬局には糖尿病、高血圧、腎臓病など、食事に気を遣わないといけない患者さんも来るのに……」とマイナスイメージを持つ方がいるかもしれませんが、私はそのデメリットよりも、患者さんがどのような食事を好むのかといった嗜好を探るメリットの方が大きいと考えています。
 
たとえばラーメン特集の雑誌を患者さんが手に取って熱心に読んでいたら、服薬指導のときに、「私もラーメンが好きなんですけど、Bさんもラーメンがお好きなんですね」と話のきっかけを作る。そこから普段の食生活の話へ広げることができます。
ご本人が「高血圧の治療中だから控えてるんだけどね」と言えば、これまでの経過をみて「スープを全部飲まないように気をつければ、週に1回くらいなら大丈夫そうですよ」といった具体的なアドバイスをすることにもつながります。さらに、私たちの薬局には管理栄養士がいるので、必要な患者さんには栄養指導を受けるようにおすすめして、健康の維持・管理に役立てていただいています。
 

高齢化が進む地域の人たちのために、在宅医療の再開を

 
現在、関口調剤薬局はマンパワー不足などの問題があり在宅医療は休止しています。
患者さん宅への訪問は薬剤師の責任感として無償で行っています。信頼感を患者さんや病院、地域のコメディカルとの間に積み重ねている状況ですね。
今は薬局スタッフに専門薬剤師の認定取得やバイタルサイン講習会の受講などを促しており、ウォーミングアップをしているところです。
 
当薬局と同じように、本格的に在宅医療を始められないことにやきもきしている人手不足の薬局さんは全国にたくさんあると思います。そのような薬局さんではサービスの一環として、まずは可能な範囲で患者さん宅への訪問をスタートしてみてはいかがでしょうか。
初めは大変だと思いますが、積み重ねた信頼と経験は揺るぎないものとなり、在宅医療を開始するときにきっと活きてくるはずです。

関口太郎先生プロフィール
関口太郎先生プロフィール
関口調剤薬局代表取締役。薬剤師。横須賀市薬剤師会理事。
北海道医療大学卒後米国遊学。東京大学医学部附属病院薬剤部研修生。虎の門病院薬剤部入局。東京大学医学部附属病院薬剤部入局。平安堂薬局入社。その後、関口調剤薬局に入局し、現在に至る。地域の住民が気軽に立ち寄れる薬局づくりをめざし、管理栄養士による無料の栄養指導などを定期的に開催している。

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