薬剤師のお悩みQ&A 公開日:2018.08.23更新日:2019.04.19 薬剤師のお悩みQ&A

第84回 木村 百合先生

何気なく店頭の商品につけているPOP。店舗のスタッフブログに書いた新商品の記事。
書き方によっては「薬機法(旧薬事法)」「景品表示法」違反になっているかもしれません。今回は、化粧品、健康食品、サプリメントなどの薬機法・景品表示法に即したコピーライティングに詳しい木村百合先生に、消費者や患者さんへの適切な商品の伝え方を教えて頂きました。

Q
化粧品会社の仕事にあこがれています。
どんな仕事があるのでしょうか。
研究開発から、販売時のキャッチコピーチェックまでさまざまな業務を担当
研究開発から、販売時のキャッチコピーチェックまでさまざまな業務を担当
開発からプロモーションまで幅広く経験できた

 

大学を卒業してすぐに入社したのは国産の化粧品会社の研究所。その会社では、化粧水、クリーム、乳液、洗顔等についての開発を経験しました。
化粧品開発と一口にいっても、その業務はさまざまです。
化粧品の処方設計、原料の選定・品質管理、分析試験、試作品の作成、作成した試作品の菌の繁殖の調査などです。

 

驚いたのは、化粧品の原料に使う素材です。ありとあらゆる成分を原料候補とし、化粧品として使えそうかどうか検討します。成分は、動物由来、植物由来のほか、魚由来、鉱物由来、化学由来などがあり、非常に多岐にわたります。そのため、多方面におよぶ知識と情報が必要になるので、それが仕事の困難な点でしたが、同時にやりがいにもなりました。
また、製品の印象を決定づけるパッケージデザインの企画会議などにも参加しました。
化粧品売り場、ドラッグストアにずらりと並ぶ競合品の中から消費者に選んでもらうためには、自社の商品が目立たないといけません。担当者が何度も店頭に足を運び、提出されたパッケージの色やデザインを検討しました。

 

薬事業務を任されるようになってからは、店頭に商品が並ぶ際に掲載されるキャッチコピーのチェックなども実施。開発から製品が店頭に並ぶまでにかかわる、幅広い業務を担当しました。
化粧品会社の開発や薬事の業務は、理系出身者だったら目指すことができます。ただ、これだけさまざまな業務に携わることができたのは「医薬品・医薬部外品・化粧品 製造販売・製造業の責任者資格要件」に薬剤師が含まれていると思います。

 

自らも化粧品のモニターに。体当たりな化粧品開発

 

化粧品開発の中には「使用感評価試験」という試験があります。
製品の使いやすさや、使った際の心地良さなどの使用感をみる試験です。
試験のモニターの第一号は自分たち開発者。男性スタッフも女性スタッフも関係なく、化粧水やクリームを顔に塗って使用感を試しました。

 

今でも忘れられないのが日焼け止めのSPFの試験です。SPF試験は、日焼け止め化粧品を塗布した場合に得られる紫外線防止効果を評価する試験のこと。
私が研究開発に携わっていた当初は、紫外線を照射する機器が施設になかったので、海の近くの建物の屋上で、私たち研究者たちの肌に日焼け止めを塗布し、実際に肌を焼いて経時的な日焼けの程度を評価していました。1年くらい、まだらに焼けた肌が戻らないこともあるという体を張った研究開発でしたが、初めての取り組みということもあり、やりがいのある仕事でした。

 

※注1:薬機法=以前は薬事法と呼ばれていた。正式名称は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 

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木村百合先生プロフィール
木村百合先生プロフィール
薬剤師。株式会社ミナモ代表取締役。
薬科大学卒業後、化粧品会社に入社。20年間にわたり、化粧品原料および化粧品の品質管理、薬事業務、化粧品開発、安全性試験に従事。退職後韓国系化粧品会社に入社し、品質保証マネージャー、総括製造販売責任者として、輸入化粧品の薬事・品質管理業務に携わる。同社退職後、株式会社ミナモを設立し、現在に至る。

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