薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2014.07.16 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー

薬剤師にばかり体調を訴える患者さん
薬剤師にばかり体調を訴える患者さん

ある入院患者さんに困っています。その方は私には体調や薬の副作用について話すのに、ドクターには言いません。信頼されているのはうれしいけど、あまりにもその回数が多く、その方の疑義照会ばかりしています。直接ドクターに言ってもらうためには、どうしたらいいでしょう?

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要望や不満を言うと先生に嫌われる?

以前の質問でもお伝えしましたが、患者さんが話をしてくれるというのは、非常に喜ばしいこと。信頼されている証しなので、決して「そういうことはお医者さんに伝えてください」と拒否するようなことはしないでくださいね。せっかく話をしてくれる患者さんが、「この人は話を聞いてくれないんだな」と口を閉ざしてしまわないように気を付けましょう。
対策としては、いろいろと話をしながら “なぜ、医師には言わないのか” を探ってみてはいかがでしょうか。「あの先生とはどうしてもソリが合わない」というなら、薬剤師が橋渡し役としてどんどん話を聞き出し、それを医師にしっかりと伝えればいいと思います。チーム医療の一員として、大切な役割を果たしているといえるでしょう。
また、「お医者さんには不平不満が言えない」という患者さんは、意外なほど多いものです。とくに高齢の患者さんで、何年も同じ医師にかかっている場合、「先生の機嫌を損ねてはいけない」、「不満を言って怒らせてはいけない」とさえ思っているケースもあります。セカンドオピニオンという言葉が一般的になっている今でさえ、実際にそういう患者さんがたくさんいるのです。このケースも、直接医師に伝えるよう無理にすすめるのではなく、しっかり情報を聞きだして、医師に伝えればいいと思います。

「薬のことは薬剤師に言うべき」という思い込み

もう一つ、可能性として考えられるのは、「薬のことは薬剤師に言うものだ」と思い込んでいるケース。私たちにとっては当たり前のことでも、患者さんにとっては知らなかった、ということがあります。たとえば、「薬剤師は薬の専門家なんだから、処方せんや薬の内容を独断で変更できる」と誤解している患者さんもいます。この場合は、「先生に確認しないと薬は変えられないから、相談してみましょうか」と伝えます。
いずれのケースも、大前提として「私に相談してくれて嬉しい」と感謝しつつ、「先生にも同じように話すことで、治療のプラスになる」ということを伝えます。
「先生は忙しそうだから言いづらい」、「嫌われたくない」などと思い込んでいる患者さんには、「○○さんがいろいろ話してくれることを待っておられるはずですよ」、「そんなことで嫌いになったりしませんよ」とアドバイスをしてみましょう。質問者さんはこの患者さんから大きな信頼を得ている状態なので、あくまでも「私はあなたの味方ですから、私に言ってくれてもいいんですよ」ということを伝えつつ、そのうえで医師にも話ができるよう、水を向けるといいでしょう。
なぜ、医師には言わないのか。まずはその原因を探ってみましょう。
なぜ、医師には言わないのか。まずはその原因を探ってみましょう。

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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