薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2015.07.08更新日:2024.01.17 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー

「薬の数が足りない」と言われたら
「薬の数が足りない」と言われたら

ときどき、患者さんから「薬の数が足りなかった」「この薬は足りたけど、こっちの薬が2日分足りない」などと言われることがあります。薬は毎回、患者さんの前でもきちんと数えてお渡ししています。後から言われてもその場では確認できないことなので、いつも戸惑ってしまうのですが……。どのような応対をするとよいのでしょうか。

Answer
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まずは「渡すときに患者さんと確認」を徹底しましょう

この場合はいくつかのケースが考えられます。まずは本当に薬の数を渡し間違っている場合。どんなにチェックを徹底しても、人間のやることですから100%完璧とは言い切れません。薬の種類や足りないと言われた数にもよりますが、ほとんどの薬局では「申し訳ございません」とお詫びして不足分の薬をお渡しするケースが多いのではないでしょうか。

 
複数の患者さんから不足をたびたび指摘されるなら、改めて数量確認を徹底してください。たとえば監査で念入りに確認が終わっていても、患者さんにお渡しする際、シートをまとめている輪ゴムもすべて外し、あらためて1シートずつ、患者さんの目の前で一緒に数えます。手間かもしれませんが、地道に確認作業を徹底していくことが大切です。

服用方法が間違っているかも? 別の可能性も考えて

もう一つのケースは、質問者さんは正しい数の薬をお渡ししているのに、患者さんが足りないと認識している場合です。まずは、言い方に気をつけながら「もしかして、袋から出てしまって、バッグの中に落ちていたりしませんか」などと確認してみます。昼に飲む分の薬を会社用のバッグに分けて入れておいたのをすっかり忘れていた、というケースもあります。

 
次に服用方法について確認します。これは特に注意したいケースです。1日3回飲む薬と1日2回しか飲まなくていい薬が同時に処方されている場合、すべての薬を1日3回飲んでしまっているということも考えられます。そのため、まずは薬の保管方法や飲み方が間違っていないかということをしっかり確認しましょう。飲み方を間違って解釈しているようであれば、用法の説明方法を見直すことも大切です。高齢の方などで正しい服薬が難しいと感じた場合は、医師と相談して一包化しましょう。飲み間違いについては重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、特に注意が必要です。

 
最後は、患者さんがわざと「足りない」と言ってくるケース。薬の不足が1~2回ならこちらのミスという可能性もありますが、何度も続くようならお渡しする際の確認を改めて徹底したうえで「お渡しする際、一緒に数を確認しましたよね。数は合っていたと思うのですが?」と毅然とした態度で臨むことも必要でしょう。

「単なる確認ミス」と軽視せず、保管方法や服薬方法なども再度確認を。
「単なる確認ミス」と軽視せず、保管方法や服薬方法なども再度確認を。
村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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