薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2017.10.03 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー

「NO」の上手な伝え方
「NO」の上手な伝え方

人に「NO」を伝えることが苦手です。忙しい時間帯に長々とおしゃべりをされる患者さんへ「今は忙しいのでお話は後にしてほしい」、私が休みの日に薬を取りに来たいとおっしゃる患者さんへ「その日は不在なので、応対できない」など、患者さんからのご希望に添うことができない場合の話し方のコツを教えていただけるでしょうか。
Answer
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せっかく築いた信頼関係を壊さないよう配慮する

長々と話し込んだり、お休みの日に薬を取りに来たいと言われたり。相談者さんは患者さんからの大きな信頼を得ているようですね。素晴らしいことだと思います。しかし、そんな患者さんだからこそ、依頼を断るのは難しいもの。せっかくの信頼関係を壊さないよう、上手に断りたいですね。
 
こうした場合には「クッション言葉」をフル活用しましょう。クッション言葉とは、加えることで言葉のニュアンスを和らげる働きをする、文字通りクッションのような役割を果たす言葉のことです。
例えば今回のケースでは、「申し訳ないのですが、他の患者さんがお待ちですので……」「とても残念ですが、ぜひ次回、続きを聞かせてくださいね」などが考えられます。言いまわしは状況に応じてアレンジしてもらえればいいのですが、要は「話を中断させてしまい、申し訳ない」というお詫びの気持ちと「私としても残念」「本当はもっと聞きたいのですが」というニュアンスが伝わればOKです。
休みの日に薬を取りに来たいと言われたときは、「あいにくその日は休みを取っておりまして……」などがいいでしょう。この場合も「ご意向に沿えず申し訳ない」「せっかくなのに残念です」という気持ちが伝わる言葉を選びます。そして、「次の日の木曜日はいかがですか?」などと代替案を出せるとベストです。代替案を出すことで「その日は残念ながら休みを取っていますが、私もあなたに会いたいんです」という前向きな気持ちを伝えることができます。

言葉だけでなく、口調や表情も含めたトータルで“クッション”に

断りの際にクッション言葉を使うときのコツは、表情や口調、声のトーンも言葉の内容に合わせて残念そう、申し訳なさそうにすることです。人は、言葉と表情と態度が一致していて初めて相手の言うことを信じます。いくらクッション言葉をフル活用して「残念です」と伝えても、表情や声のトーンが残念そうに感じられなければ「口先だけ」と思われてしまいます。
 
少しオーバーなくらいに残念そうにすると、ちょうどいいかもしれません。演技をするようで恥ずかしいかもしれませんが、薬剤師の仕事は接客業でもあります。どれくらい表情や仕草を変えれば患者さんに気持ちが伝わりやすくなるのか、意識して工夫してみましょう。せっかく患者さんから近づいてきてくださっているのです。依頼を断ってもいい関係を維持できるよう、断り上手になってください。
クッション言葉のバリエーションを増やして「断り上手」に!
クッション言葉のバリエーションを増やして「断り上手」に!
村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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