薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2018.01.09 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー

在庫切れのたび患者さんを怒らせてしまう同僚
在庫切れのたび患者さんを怒らせてしまう同僚

処方薬の在庫がなかった患者さんにむかって同僚の薬剤師が「僕は在庫担当じゃないんで」「他の薬局に行けば、この薬もありますよ」などと発言し、怒らせてしまっています。注意しても逆ギレします。オーナーは「自分がいない時のことは注意しようがない」ととりあってくれません。彼にどう説明すれば行動を変えてもらえるでしょうか。
Answer
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「人」を変えるのは容易ではない

困った同僚がいて大変な思いをされているようですね。この場合はオーナーも頼りにできないということなので、より苦労されているようです。残念ながら他人を変えるのはとても難しく、本人に変わろうという意思がなければ、まわりがどんなに頑張っても変えることはできません。ましてや注意した時に逆ギレするような人を変えるのは至難の業です。
まず、注意の仕方ですが「あなたの言い方は良くない」と個人に焦点を当ててしまうと、逆ギレされるばかりで関係性も悪化する一方でしょう。こういう場合は薬局全体の行動指針を決め、対象を「スタッフ全員」にすると、少しは受け入れられやすくなると思います。
まずは薬局として、「こういう時にどう動くか」という行動の方針を決めてみてはいかがでしょうか。「患者さんの要望にはできるだけ応える」という漠然とした方向性だけでなく、「例えばこういう要望があった場合も、しっかり応える」という具体例をあげ、その中に「在庫切れの場合はどう対応するか」という項目を入れて、全員が守るべきルールを決めておくのです。
そうすれば、再び患者さんを怒らせてしまった時に「あなたの対応が悪い」ではなく、「この薬局のルールはこうなので、こうするべきだ」ということを言及できます。

まわりが一丸となってフォローを

もう少し穏やかな方法でいくなら、周囲がチームプレーでフォローし合うしかないでしょう。発注担当が在庫管理を徹底して在庫切れが起こらないようにするのはもちろん、「在庫切れ(=トラブル)が起こった時は一人で判断しないでまわりに相談してね」とお願いしてみましょう。それでも一人で対応してしまうようなら、全員で行動をよくチェックして、トラブルが起こりそうになったら「私、対応するね」とさり気なく仕事を代わってしまいます。そして、実際に声をかけられたらどう対処すべきか見本を見せるのです。
「誠に申し訳ございません。こちらの薬はただいま在庫を切らしておりまして、すぐにご用意できません。1日お待ちいただければご自宅までお届けしますがいかがいたしましょうか」など、見本となるべき対応をしてください。
問題の薬剤師さんも、わざわざ患者さんを怒らせたいという気持ちはないはずなので、手本となる対応を見ているうちに「そうやればいいのか」と気づき、自ら行動を変える可能性も出てきます。時間と手間はかかるかもしれませんが、「どうして私がこの人をフォローしなければいけないのか」ではなく、「患者さんの気分を損ねないために、自分にできることをやるんだ」という気持ちで根気強く手本となる行動を続けてみて欲しいと思います。
言葉だけで人を変えるのは至難の業。具体的な対応ルールを決めるか、自分が手本となって行動を示すことで、同僚の気付きを促しましょう。
言葉だけで人を変えるのは至難の業。具体的な対応ルールを決めるか、自分が手本となって行動を示すことで、同僚の気付きを促しましょう。
村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
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