薬剤師の働き方 公開日:2021.04.23 薬剤師の働き方

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「研修認定薬剤師」の資格は、幅広い職域の薬剤師が対象であり、取得までのハードルが比較的低いことから、若手を中心に関心を持つ方が多いのではないでしょうか。将来的に専門性の高い認定資格を取得する際の基礎になる資格でもあります。今回は、研修認定薬剤師の資格の特徴と取得する方法、取得するメリットについて紹介します。

研修認定薬剤師とは?資格取得の方法やメリットを解説

ポイント

研修認定薬剤師の資格は比較的チャレンジがしやすく、多くの薬剤師におすすめの資格。認定申請の条件は、対象の研修を受講し4年以内に50単位以上(かつ各年5単位以上)を取得すること。資格取得によって、「かかりつけ薬剤師」として活躍したり、職場によっては昇給に反映されたり、転職時に有利に働いたりするなどのメリットがある。

目 次

1. 研修認定薬剤師とは?

薬剤師免許は更新不要ではあるものの、薬剤師が日々進歩する医療に対応し、社会に対する責務を果たしていくためには、生涯にわたる自己研鑽が求められます。しかし、日々多忙な業務に従事しながら自習を続けることは、多くの人にとって難しいことでしょう。そこで、「薬剤師としてスキルアップしたいけれど、何から始めたらいいのかわからない」という方は、研修認定薬剤師の資格取得を目標に勉強を進めてみてはいかがでしょうか。

研修認定薬剤師制度は、全国のあらゆる職域の薬剤師を対象に、自己研鑽の歩みを公的に記録しその成果を客観的に認定するために、公益財団法人日本薬剤師研修センター(以下、研修センター)によって1994年に発足されたものです。研修認定薬剤師の資格取得条件には、学会に所属したり、一定の実務経験年数を積んでいたりする必要がないため、多くの薬剤師にとってチャレンジしやすい資格です。将来的により専門性の高い知識を身につけていく際の基本知識を習得するうえでも役立つ資格といえます。

研修センターのウェブサイトによると、現在、研修認定薬剤師の有効な認定証を持っている薬剤師は11万293人(2021年3月31日現在)で、そのうち新規認定者が3万6,345人、更新認定者が7万3,948人となっています。また、全国の総薬剤師数31万1,289人に対して、本制度の有効な認定証を持っている薬剤師の割合は35.4%であり、保有率の高い資格であることが分かります。

2. 研修認定薬剤師の資格を取得するには?

研修認定薬剤師の資格を取得するためには、下記のプロセスをたどる必要があります。

(1)薬剤師研修手帳を入手する

(2)認定対象となる研修を受講してシールを集める

(3)認定の申請手続きをする

一つひとつを詳しく見ていきましょう。

(1)薬剤師研修手帳を入手する

薬剤師研修手帳は、認定対象となる研修を受講したとき、その研修内容を記録するとともに、発行された受講シールを貼付しておくものです。いわば「自己研鑽による成長記録」だといえます。薬剤師研修手帳は研修センターや各都道府県薬剤師研修協議会で購入できます。研修会実施機関や研修会会場で販売されたり、薬学部卒業時に無償提供されたりすることもあります。

(2)認定対象となる研修を受講してシールを集める

認定対象となる研修には、「集合研修・実習研修」「グループ研修」「通信講座研修」「自己研修」の4つのタイプがあります。特に「グループ研修」と「自己研修」は、研修認定薬剤師制度の特徴的な性格をよく表しているといえるでしょう。研修のタイプごとに取得できる時間あたりの単位数、年間の上限単位数が異なっているので、詳細は研修センターのウェブサイトで確認しましょう。受講シールは、研修会場で配布を受けるか、研修センターに「受講単位請求書」を提出すると取得することができます。

①集合研修・実習研修

研修センターが主催する研修会のほか、集合・実習研修会実施機関として登録されている団体が行う研修会(研修センターに「研修会開催計画書」を提出し、受理されたもの)を含みます。集合研修は座学のみならず、e-ラーニング(ストリーミング型)やビデオ・オン・デマンド形式でも行われています。

②グループ研修

薬局内の勉強会や企業による新薬説明会など、複数人で行う研修会で、集合研修や実習研修に該当しないものです。グループ研修に該当する研修は、自己研修としても報告することができます。

③通信講座研修

大学などが行う通信講座で、研修センターに「研修会開催計画書」を提出し、受理されたものです。

④自己研修

書籍や雑誌、視聴覚機器(テレビ、ビデオ、インターネットなど)の活用により、個人的に医学・薬学関連分野の学習をした場合、自己研修として報告することができます。ただし、薬剤師業務を行うために最低限必要な能力に関する研修は対象になりません。

(3)認定の申請手続きをする

新規の申請の場合、「(初めて単位を取得してから)4年以内に40単位以上(各年5単位以上)」を取得することにより、認定申請をすることができます。1年以内に一気に40単位以上を取得して認定申請することも可能です。ただし各年5単位以上取得をしなければならず、1単位でも足りない年があると、最初から取得をし直す必要があるので気を付けましょう。既定の認定手数料を支払い、必要な書類をそろえて申請を行います。

3. 研修認定薬剤師の資格を更新するには?

研修認定薬剤師の資格は、3年に1度の更新制となっています。「3年以内に30単位以上(各年5単位以上)」を取得することで更新が認められます。更新の際にも、1単位でも不足していると更新が認められません。また新規の申請(4年以内に40単位以上、各年5単位以上)から行う必要がありますので注意が必要です。

4. 研修認定薬剤師資格を取得するメリット

研修認定薬剤師制度は薬剤師の生涯学習を後押しする目的で作られたため、直接的なメリットとして最も大きいのは、薬学の知識やスキルを日々アップデートして業務に役立てられることだといえるでしょう。そして、薬剤師としてのスキル・知識の高さを第三者から認められ、保証されるため、プロフェッショナルとしての信頼確立に役立つはずです。結果として、患者さんや医療従事者からの信頼され、頼られる薬剤師になる点でも期待できます。

さらにもうひとつ、大きなメリットがあります。調剤報酬の「かかりつけ薬剤師指導料」の施設基準のひとつとして「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること」が挙げられており、研修認定薬剤師も対象となります。「かかりつけ薬剤師指導料」を算定できれば、処方箋受付1回あたりの調剤報酬を「薬歴服薬指導管理料」に比べて多く得ることができ、薬局等の経営において極めてプラスになります。ということは、研修認定薬剤師の資格を持っていることで、そうでない薬剤師に比べて給料が高くなったり転職しやすくなったりすることも、十分に考えられるのです。

<参考URL>
・研修認定薬剤師の認定者名簿|公益財団法人日本薬剤師研修センター
・研修認定薬剤師の割合|公益財団法人日本薬剤師研修センター

河村武志(かわむら たけし)

編集者。医療系専門出版社で臨床看護誌・看護学習誌・看護学教科書の企画・編集に携わったのちに独立し、編集プロダクション・ナレッジリングを設立。医学書・医療書の製作と医療系ネットメディアの編集に携わる。

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