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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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2019年11月注目の医薬ニュース2本を解説! 今回は、抗インフル薬「ゾフルーザ」の取り扱いと若年層の市販薬濫用を防ぐために薬剤師にできることについて紹介します。

「ゾフルーザ」の12歳未満投与は慎重に/10代の市販薬濫用を撲滅するために

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 抗インフル薬「ゾフルーザ」の12歳未満投与は慎重に
  • 昨シーズン、新しい抗インフルエンザ薬として注目を集めた「ゾフルーザ」について、12歳未満の単独投与は慎重に判断すべきとの見解が日本感染症学会から出されている。
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  • Topics 2 10代の市販薬濫用を撲滅! 薬剤師にできることは?
  • 近年、若年層による市販薬の濫用が問題視されている。適正使用の範囲を超える場合は購入利用の確認が必要なため、薬剤師には販売ルールの遵守が求められる。
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Topics 1 抗インフル薬「ゾフルーザ」の12歳未満投与は慎重に

今年もインフルエンザの季節がやって来ました。インフルエンザは38℃以上の発熱、頭痛、咽頭痛、関節痛、全身倦怠感などを引き起こし、いわゆる「かぜ」よりも強い症状が現れる感染症のひとつです。多くの場合1週間前後で自然に軽快しますが、高齢者や小児などでは肺炎や脳症などの恐ろしい合併症を引き起こしやすく、死に至るケースもあります。

そのため、インフルエンザを発症した場合はできるだけ早い段階で診断を下し、抗インフルエンザ薬を投与することが日本感染症学会などでも推奨されています。インフルエンザの流行期に疑わしい症状がみられる患者さんの多くは迅速に診断を受け、抗インフルエンザ薬の投与を受けているのが現状です。その結果、日本は2009年に世界中で大流行した新型インフルエンザによる死亡者数を最も少なく抑えることができたとWHOから高い評価を得ています。

ゾフルーザ(商品名)は、2018年に国内での製造販売が開始された最も新しいタイプの抗インフルエンザ薬です。一般名は「バロキサビルマルボキシル」で、作用機序は細胞内でウイルスが増殖するのに必要なキャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を阻害し、ウイルスの増殖自体を防ぐというもの。従来のノイラミニダーゼ阻害薬であるタミフル(商品名)やリレンザ(商品名)のように、細胞内で増殖したウイルスが細胞外へ遊離するのを防ぐという作用機序とは根本的に異なります。そのため、ノイラミニダーゼ阻害薬に耐性があるインフルエンザウイルスへの効果も期待されているのです。

そして、ゾフルーザの最大の特徴は、1回の経口投与のみで1日以内に症状を抑える効果が期待できること。これにより服薬コンプライアンスが維持しやすいというメリットもあります。これらのことから、2018年シーズンの抗インフルエンザ薬使用に占めるゾフルーザのシェアは約4割を占めるまでになりました(厚生労働省資料「2018/2019シーズンの抗インフルエンザウイルス薬の使用状況」より)。

今シーズンもゾフルーザを処方する医師が多いことが予想される中、2019年10月24日、日本感染症学会は12歳未満の小児に対するゾフルーザの単独投与は慎重に判断すべきとの見解を発表しました。というのも、ゾフルーザはウイルスのアミノ酸変異などを引き起こして低感受性のウイルスを生み出す可能性を持つことが報告されており、その発現頻度は特に12歳未満で高いことが分かってきたためです。

ゾフルーザに対する低感受性ウイルスの発現が臨床経過に与える影響は、はっきり分かっていません。しかし、低感受性ウイルスが発現すると罹患期間が2倍近くも延長するとの報告があり、ヒト-ヒト感染を起こしうることも示唆されています。

なお、日本感染症学会は、ゾフルーザの投与に関して12歳以上であっても臨床的なデータが少ないため、現時点で単独投与を推奨するかしないかの判断はできないのと見解も発表しています。

今シーズンもゾフルーザのシェアが高くなることが予想されるため、薬剤師としても副作用の説明を心がけるなど、対応に留意しましょう。

Topics 2 10代の市販薬濫用を撲滅! 薬剤師にできることは?

2019年10月17日、日本チェーンドラッグストア協会は「市販薬による10代の薬物濫用撲滅宣言」を発し、会員企業に対して遵守徹底を求めました。

厚生労働省の調査により、2018年に薬物依存などで精神科での治療を受けた10代の患者さんの半数近くが依存性のある咳止めや感冒薬などの市販薬を濫用していたことが明らかになりました。危険ドラッグなどの違法薬物の使用は減少している一方で、市販薬を濫用する若年層が増加しています。

依存性があり、濫用のおそれがあると考えられている市販薬として、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリンなどの成分を含んだものが挙げられます。これらの成分が含まれる市販薬は、薬機法上、一度に販売できる数量が決まっており、適正使用の範囲を超える数量を購入する場合は購入理由の確認が必要とされています。しかし、2018年の「医薬品販売制度実態把握調査」(厚生労働省)によると、こうした販売ルールを守っている店舗は半数程度にとどまっていることやルールを守らず販売を行う店舗が増加していることが明らかになっています。

重大な薬物依存を引き起こし、健康に害を及ぼす市販薬も中には存在します。薬剤師として、市販薬乱用の現状をよく把握し、薬機法に基づく販売ルールを遵守することが大切です。また、副作用や依存性についても適切に説明し、市販薬で諸症状が改善しない場合はむやみに服用を続けず、医師に相談するよう促してください。

市販薬の濫用を食い止めるゲートキーパーはドラッグストアや調剤薬局の薬剤師であると言っても過言ではありません。購入者一人ひとりへの確認と説明を怠ることなく、購入理由などに少しでも不審な点を感じた場合はためらわずに警察への情報提供も検討してください。

<参考URL>
【感染症学会が提言】抗インフル薬「ゾフルーザ」、12歳未満には慎重投与を
【JACDS】市販薬で濫用撲滅宣言-10代に厳格な自主販売原則

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※この記事に掲載された情報は2019年11月28日(木)時点のものです。

成田亜希子(なりた あきこ)

2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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