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辛い、辞めたい、転職したい!人間関係に悩める薬剤師さんへ 薬剤師ストレス研究ラボ vol.4

辛い、辞めたい、転職したい!人間関係に悩める薬剤師さんへ 薬剤師ストレス研究ラボ vol.4

薬剤師辞めたいストレス|上司と部下の人間関係を改善するには?

ストレス研究ラボ 第4回

薬剤師が仕事で感じるストレスの多くが「人間関係」に要因があります(第1回参照)。そこで今回は、薬局で働く薬剤師のお悩み相談を数多く担当してきたシニア産業カウンセラー・坂口育実さんに、管理職の立場の人から多く寄せられる“部下への指導方法”の悩みについて、具体的な事例を教えていただきました。

Index

管理職などマネジメント世代からの悩みが増加

日本産業カウンセラー協会で実施した「働く人の電話相談室」に寄せられたお悩み相談のうち、もっとも多いのが「職場の人間関係」でした。さらに、世代別に見てみると40代、50代からの相談が多く、世代的に管理職などマネジメント層からの悩みが増加傾向にあります。

►働く人の悩み-40、50代相談件数が1年で急増

年代別相談人数グラフ

第12回「働く人の電話相談室」結果報告より。職場の悩みやキャリアの悩みなど寄せられ、40~60代の悩みの比率が1年で増加していました。※2018年一般社団法人日本産業カウンセラー協会調べ。

►薬局に勤める管理薬剤師・A子さんのお悩み【相談事例】

「最近転職してきたBさんが、職場のルールに従おうとしてくれない。優秀なことは確かなのだけれど、何かとチームの和を乱しがちで、他の薬剤師から不満の声が爆発寸前。どう注意すればいいのか正直わかりません…」と、頭を抱えています。

経験も豊富で優秀なBさんタイプの人は、専門職としてのプライドも高いため、自分のやり方が一番正しいという気持ちが強く、新しい職場でのルールを受け入れようとしないこともしばしば。

本人はそのままでいいと思っていて、順応する気持ちが低いので、周囲の人間は当然困惑してしまいます。このような場合に、部下たちの不和をうまく収めなくてはならないのが、Aさんのようなマネジメントの立場である人間です。

チームの和を乱しがちな薬剤師への対処法とは?

AさんとBさんの信頼関係がしっかりと構築できていれば、Aさんの指導にBさんが耳を傾け、ゆっくりと問題が解決に向かっていくはずなのですが、普段から上司と部下のコミュニケーションが希薄だと、そうした人間関係が構築できていないため、問題解決に時間がかかると、産業カウンセラーの坂口さんは語ります。

「通常の企業と違い、薬剤師は専門性の高い職業なので、上下関係がはっきりしていない場合も多く、上司ではあっても、ベテラン薬剤師さんに強く指導をできないという方が多くいらっしゃいます。

このようなケースの場合、部下であるBさんは上司であるAさんに対して信頼を寄せていないため、頭ごなしに注意をしても逆効果になってしまいます。BさんはAさんに対して反発心を抱いて心を閉ざしてしまい、問題解決には至らないでしょう」

►相手の考えを理解する「傾聴」が必要

問題を解決するためには、すぐに注意や指導をするのではなく、まずは相手の考えを理解しようとする“傾聴”の姿勢を見せることが大切だと坂口さんは言います。

傾聴とは、単純に聞くだけでなく、相手の話に「耳」「目」「心」を傾けて真摯な姿勢で相手の話に耳を傾けるコミュニケーション技法のひとつ。相手の心に寄り添い、相手が本当に言いたいこと、伝えたいことを理解し、相手の人間性を理解しようとすることが大切です。

傾聴には以下の2つの特徴があります。

1「受容」:相手の話をきちんと受け止める
2「共感」:相手の話を聴いて、相手の心に寄り添う

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「受容」と「共感」で部下との信頼関係を築く

「受容」と「共感」とは、相手を否定しないで受け止め、相手の気持ちを理解したいという真摯な姿勢を見せること。その姿勢が伝われば、「この上司なら私の意見を否定しないで聴いてくれるかもしれない」と相手が徐々に心を開き、本音を語ってくれるようになります。

この時注意してほしいのが「同感」ではなく「共感」するということ。

「同感」は、自分も相手と同じ考えを持つということですが、人と同じ経験をしたり、同じ考えを持ったりすることは稀であり、特に多様な価値観の人たちが集まる職場では難しいものです。

一方、「共感」は、相手の気持ちに寄り添い、しっかりと受け止めることです。無理に同感をしても嘘っぽくなってしまうので、まずは共感して相手との信頼関係を築いていきます。

Bさんがなぜ会社のルールを受け入れることができないのか、まずはその理由を傾聴し、共感します。その上で、会社にもルールがあるので、Bさんの力を貸して欲しいということを伝え、「どういうやり方ならできそうかな?」と、相談ベースでお互いの折衷案を模索していきましょう。

「人間誰しも、自分を受け止めてくれる相手の言葉に対しては心が動かされるものです。
まずは信頼関係を構築し、その上で具体的な話し合いを進めていくことが肝心です」。

前向きに話し合いを進めるためのベースは信頼関係が基本です。
まずは、傾聴し、受容・共感をしながら相手との信頼関係を構築していくことで、問題解決の糸口は見えてきます。

►コミュニケーションスキルを学び人間関係を構築

これからの時代、薬剤師さんの職場でも、一般企業で行われているようなコミュニケーションスキルの研修や講習を受けることが大切になってくると、坂口さん。

「コミュニケーションスキルを学び、しっかりとした信頼関係、人間関係を構築できるようになることは、どんな仕事でもとても大切なことです。薬剤師さんのお仕事でも、お客様に対して投薬説明をしたりする場面もあるでしょうし、薬局長など管理職の立場の方だけでなく、多くの薬剤師さんにそういった研修を受けていただきたいと思います」。

それでも人間関係に悩んだら…新たな職場にリセット。転職の相談をしてみませんか?

監修/坂口育実 取材・文/上野真依

 

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お話を聞いたのは…

シニア産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・公認心理師
坂口育実さん

一般社団法人 日本産業カウンセラー協会会員。EAP(従業員支援プログラム)サービスプロバイダー、ヒューマン・フロンティア所属。公務員、ケータリングサービス事業を経てカウンセラーとなった異色の経歴の持ち主。自身が子育ての悩みを抱えていた頃、カウンセラーに相談したことをきっかけに、産業カウンセラーの道を志す。40代後半で今の世界に入り、現在までに、多数のケースをカウンセリング。調剤薬局の相談員を務め、これまで60人以上の薬剤師たちの悩みや相談を受けてきた。シニア産業カウンセラー・キャリアコンサルト、公認心理士として、数多くの企業カウンセリングや大学、自治体の相談員を務めている。

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