薬剤師とマイナンバー 公開日:2016.09.23更新日:2019.12.27 薬剤師とマイナンバー
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いよいよ始まったマイナンバー制度。「会社や薬局でマイナンバーの「取扱担当者」に任命された」「適切な管理体制を作るように求められた」という方もいるかもしれません。このコラムでは薬剤師が個人として、事業者として、マイナンバーをどう扱うべきかをお伝えします。マイナンバー制度の基本、薬剤師として必要な情報はここでチェック!

第7回 医療保険のオンライン資格確認とマイナンバー

現在のマイナンバー法で検討されている情報連携は、健康診断データの管理や予防接種の履歴、さらに「医療保険のオンライン資格確認」があります。中でも「医療保険のオンライン資格確認」には、マイナンバーカードの活用が検討されています。ここでの「資格」とは「患者の被保険者資格」のことを意味します。
具体的にどのような処理が行われるのか、検討されている内容を把握しておきましょう。

医療分野でマイナンバーを扱ってよいのか?

そもそも、マイナンバーは「社会保障・税・災害対策」に使われるもので、医療機関が知る・使うことは問題です。そこで医療機関では、マイナンバーカードに記載されているマイナンバーを見えないようにしたうえで、「オンライン資格確認」をできるようにすることが検討されています。

現時点では、健康保険証とマイナンバーカードは別々に機能しています。そのためマイナンバーカードだけでは、オンライン資格確認が難しいように思えます。そこで国が考えたのは、「マイナンバー」ではなく、「マイナンバーカードに搭載されているIC チップ」を活用して、「医療保険のオンライン資格確認」を実現しようというものです。

なお、2015年5月29日に開催された第6回産業競争力会議課題別会合では、安倍首相が以下のように発言しています。

「特に、医療分野について、『2020年までの5か年集中取組期間』を設定します。全国の病院や薬局で、マイナンバー・カード1枚を提示するだけで、健康保険の確認や煩雑な書類記入がなくなるようにいたします。また、薬局ごとに作っているお薬手帳も、電子化することによって一本化します」
出典:首相官邸ホームページ

オンライン確認が必要な理由

従来は健康保険証を提示すると、医療機関ではその保険証を見て資格を確認していました。しかし、「退職などに伴って医療保険の資格を喪失したにもかかわらず、前職時の被保険者証を使って保険診療を受ける」人がおり、資格喪失等によるレセプト(診療報酬請求明細書)の返戻(へんれい)事務などが発生しています。

オンラインで確認できれば、資格誤りのレセプトを減らすことができ、医療機関における「資格確認」などの事務の効率化が期待できます。さらに、医療保険者や支払機関(社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険連合会)の事務も効率化されることが予想されます。

マイナンバーカードの活用で、低コストにシステム化

オンライン資格確認を安全に実現するために、ICチップに搭載した電子証明書を使う方法が検討されています。しかし、健康保険証をICカード化するのはコスト面でも非効率です。そこで、ICチップを搭載したマイナンバーカードを活用することで二重投資を避け、社会で利用されているネットワークを効率的に活用する方法が考えられました。

今後の予定としては、2017年7月以降、マイナンバーについて自治体等の情報連携が開始され、2018年頃から段階的に医療保険のオンライン資格確認システムを整備・運用開始することが想定されています。マイナンバー制度で構築されるシステムと、医療保険の既存のシステムをうまく組み合わせ、医療機関の窓口でマイナンバーカードを健康保険証として利用することが期待されています。

運用方法と今後の課題

運用方法としては、利用者が医療機関や薬局でマイナンバーカードを提示すると、氏名と写真で本人確認を行い、ICチップから電子証明書を読み取ります。この電子証明書を使ってオンライン資格確認システムに問い合わせ、資格情報を取得します。
このため、マイナンバーカードの中に健康保険の資格情報や医療情報はありませんし、マイナンバーそのものも医療機関では取り扱いません。(※医療機関の受付でマイナンバーが見えないように、カードケースを使うなどの方法が検討されています)

これを実現するためには、まずは医療機関のデータのデジタル化やネットワーク化が必要です。現在、医療情報連携ネットワークの全国展開が進められており、電子カルテを導入する医療機関も増えています。
今後、安全性を確保したうえで医療データの利用を拡大する基盤が整備されていくことが期待されています。

次回は「マイナポータルと医療機関の関わり」についてご紹介します。

増井 敏克(ますい としかつ)

増井技術士事務所 代表。技術士(情報工学部門)。
情報セキュリティやソフトウェアの開発など、コンピュータを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援を行っている。マイナンバーに関する講演も多数実施。
また、ビジネス数学検定1級に合格し、公益財団法人日本数学検定協会認定トレーナーとして活動。
近著に「おうちで学べるセキュリティのきほん」(翔泳社)、「プログラマ脳を鍛える数学パズル」(翔泳社)がある。

増井 敏克(ますい としかつ)

増井技術士事務所 代表。技術士(情報工学部門)。
情報セキュリティやソフトウェアの開発など、コンピュータを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援を行っている。マイナンバーに関する講演も多数実施。
また、ビジネス数学検定1級に合格し、公益財団法人日本数学検定協会認定トレーナーとして活動。
近著に「おうちで学べるセキュリティのきほん」(翔泳社)、「プログラマ脳を鍛える数学パズル」(翔泳社)がある。

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