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薬剤師の転職に有利なスキルや資格とは?~服薬情報提供文書

転職に有利なスキルとして「服薬情報提供文書」を読み解こう

転職を考える時、できる限り自分の希望する条件や環境が整った勤務先を選びたいものです。キャリアアップを目指すのであれば、求められる人材となれるよう、専門的なスキルを磨きましょう。今回は、転職時にアピールできるスキルのひとつとして「服薬情報提供」の作成や提案についてお伝えします。

服薬情報提供スキルとは?

患者さんやその家族から得た薬の服用状況や副作用などの服薬情報は、薬剤師ならできるだけ確認しておきたいもの。患者さんとのコミュニケーションの中で、処方や治療方針に影響がありそうな問題点を見つけた場合、薬剤師としての視点で医師に伝えるのが「服薬情報提供スキル」です。調剤報酬でもカウントされます。

 

「服薬情報提供」は、即時性の面で疑義照会とは異なります。疑義照会で取り扱う情報は、その場で医師に確認する必要がある、即時性の高いもの。一方で、服薬情報提供では、すぐに問い合わせるほどの即時性は求められないものの、今後のために医師に伝えておくべき情報となります。
例えば、服薬状況や健康食品・サプリメント等の使用状況、医師には伝わっていない軽微な副作用といった内容が該当します。サプリメントの併用から起こりうる潜在的リスクを知り、副作用回避のための薬剤変更や薬剤追加などの処方提案を添えることで、より良い情報提供となるでしょう。また、服薬情報提供の提供は文書で行われ、「トレーシングレポート」とも呼ばれます。Eメール・FAX等でやり取りをしながら、次回の診察の際に情報を生かすのが目的です。
電話ではなく文書での提供となることから、記録を残しやすいだけでなく、お互いの時間的負担や、疑義照会による心理的ストレスを軽減できるというメリットがあります。服薬情報提供は、薬剤師の専門性を発揮できる大切なスキルといえるでしょう。

「服薬情報提供スキル」が転職で有利になる理由

服薬情報提供スキルの高い薬剤師を採用することは、勤務先の薬局にとって大きな利益をもたらします。理由のまず一つが、調剤報酬上で服薬情報等提供料という項目が設けられており、点数を加算できること。薬剤師がその必要性を認めた場合において、患者の同意を得た上で、保険医療機関に服薬状況等を示す情報を提供した場合、月1回に限り算定できるようになっています。算定できる点数は平成26年度調剤報酬では1回10点でしたが、平成28年度からは1回15点にあがっており、将来的にも薬剤師に期待されているスキルであるといえます。

 

2つ目に、服薬情報提供を文書で行った回数によって、薬局側の業績評価につながること。厚生労働省が発表している患者のための薬局ビジョンにおいて、KPI(Key Performance Indicator)のひとつとして評価されています。KPIとは、業績を評価するために重要な数値指標のことで、服薬情報提供の行った回数が多いと、患者ための薬局を作ることに取り組んでいる薬局として厚生労働省から評価されるというわけです。
さらに、薬局機能情報提供制度によって、インターネット上では該当薬局の服薬情報提供回数が公表されており、患者さんや地域からの評価にもつながります。
こうした背景があることから、経営者側としてもスキルを持つ薬剤師を求める傾向があり、転職に有利になるというわけです。

スキルアップのポイント

転職前から、服薬情報提供スキルを高めることで、実績も高まります。スキルアップを考えるなら、問題点の分析力、解決への提案力、文書作成力の3点において精度を高めてみましょう。
まず、問題点を明確にするための一例として、旭川医大と近隣の薬局との薬薬連携の取り組みにおける、抗がん剤服用中の患者さんの事案を参考にしてみましょう。
その患者さんは前回から抗がん剤を増量し、腫瘍マーカーが下がっていました。一方で胸焼けの症状があったものの、患者さんは、医師に言い出せませんでした。というのも、医師が腫瘍マーカーの減少を喜んでおり、副作用でがっかりさせてしまうのではないかと思ったそうです。そこで、薬剤師から医師へと報告が行われました。
ここでのポイントは、感情的な視点に着目すること。薬学的な問題は見つけやすいものの、患者さんの思いを配慮したうえで、きちんと医師に伝えなければいけません。問題点として表面化した胸焼けの副作用だけでなく、患者さんが医師を気遣かっていることも報告対象となります。患者さんから医師に伝えもれが起こっている場合、なぜ伝えていないのかを確認してみるとよいでしょう。

 

2つ目となる解決への提案力を高めるためには、自身の経験と情報収集量が大きく影響します。論文や本、インターネットによる情報、学会発表などの情報をチェックし、同僚からの話を聞くといった方法で専門知識を増やしていきましょう。
上記の旭川医大の事例では医師に胸焼けの副作用を伝えるのが解決策のひとつです。そのほか、状況によっては抗がん剤の中止や副作用予防薬の処方追加といった提案もあるでしょう。また、他の事例として、服薬アドヒアランスを向上させる解決策を見てみましょう。
ある患者さんに一包化ができない薬剤が処方されており、1剤だけヒートで調剤していたことから服薬遵守度が落ちていました。そこで、担当薬剤師は同効薬で一包化できる薬剤への変更を提案。次回診察時より変更され、服薬遵守度を向上したという報告もあります。患者さんの細かい服薬情報を知る薬剤師だからこそ、提案できるものといえるでしょう。
最後に必要なのが、ライティング能力です。問題点や解決策が明確であっても、肝心なところが伝わらなければ、お互いの理解につながりません。2つ目の事例では、一包化できない薬を処方されたことで、服薬アドヒアランスの低下につながっているという気づきを伝えるのが最大のポイントです。単なる薬剤変更を提案するのではなく、「一包化できないこと」を問題として、文章に起こす必要があります。情報提供を行う本来の目的は、薬剤変更ではなく、アドヒアランスの向上だったはず。理由がわかれば、医師がより良い解決策を提案することもあるでしょう。お互いに解決策を出し合えば、患者さんにとってもより良い治療につながります。医薬連携において、お互いの立場や専門性を発揮しながら、補える情報提供を行えることが何よりも大切なポイントといえるでしょう。

転職でアピールできるスキルを手に入れよう

服薬情報提供のスキルは、薬剤師としての専門性を発揮できるだけでなく、薬局へも利益をもたらし、同時に患者さんにも喜ばれる大切な職務です。また、服薬情報提供をとおして患者さんから感謝された事例などがあれば、転職時の大きなアピールポイントになるでしょう。日々の業務のなかで経験を増やしながら、患者さんや医師、経営者から評価される薬剤師を目指してみませんか。

 

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