薬剤師のためのお役立ちコラム 公開日:2021.04.20 薬剤師のためのお役立ちコラム

薬剤師が理想通りに転職できない理由とは?転職を成功させるためのポイントも紹介 文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

収入アップやより好条件の待遇を受けられる職場を求めて転職活動を始めても、理想通りの転職先がなかなか見つからないことがあります。やっと見つけた求人も書類や面接で断られてしまうこともあるでしょう。転職先が見つからないために、仕方なく今の職場で働き続けている人もいるかもしれません。今回は、薬剤師で転職活動がうまくいかないケースの特徴や転職を成功させるコツについてお伝えします。

1. 理想通りにいかない薬剤師の転職活動の特徴

まずは、理想通りに転職が進んでいかない薬剤師の転職活動の特徴を見てみましょう。

 

1-1. 年齢と求人が見合っていない

転職活動を行ううえで、年齢は非常に重要な要素です。本来、求人における年齢制限は、雇用対策法により、不問となるのが原則です。しかし、企業としては、できるだけ長く勤めてもらうために、若年層を求める傾向にあります。同じスキルを持つ人材が同時に応募した場合、年齢の若い人の方が採用されやすいかもしれません。

 

一方で、募集されているポジションによっては、ベテランのほうが好まれる場合もあります。例えば、特別なスキルや経験を有していたり、管理薬剤師などの役職を務めた経験があったりする場合などです。特別なスキルを必要とする求人や管理薬剤師の求人は、比較的少ないため「なかなか決まらない」とあせるかもしれませんが、辛抱強く求人を探してみることをおすすめします。

1-2. 転職理由が明確ではない

書類選考や面接を通して、応募者が転職する明確な目的が見えない場合、企業側は「採用してもすぐに退職してしまうのではないか」と考える可能性があります。新入社員を迎え入れるためには、新人研修を行うための人件費を含め、さまざまなコストがかかります。新人を雇う頻度が高いほど初期費用を投資する回数が増えるため、企業としてはできるだけ長く勤めてもらいたいと考えるものです。

 

また「会社が合わないから」「同僚とうまくいかないから」といったネガティブな転職理由では、たとえそれが本音であっても企業側は「すぐに退職してしまうのではないか」と感じてしまうものです。転職先から安心して採用してもらうためにも、ポジティブな転職理由を打ち出す必要があります。

 

 

1-3. 転職回数が多すぎる

一般的に、年齢に比べて転職回数が多い場合も、転職が成功しづらい傾向にあります。結婚に伴う転居や出産、スキルアップといった明確な理由で転職しているのであれば、納得できる理由があると判断してもらえるかもしれません。しかし、短い期間での転職を何度も繰り返している場合、早期退職のリスクを考えて、採用が見送られる可能性があります。

 

ただし、厚生労働省が発表した「平成27年転職者実態調査の概況」によると、調査対象となった事業所を産業別に分けた際、薬剤師が含まれる「医療・福祉」における転職者の割合は11.3%であり、3番目に多い割合となっています(転職者割合の平均は7.9%)。医療・福祉業界は転職者の割合が高い傾向があることから、他の職場に比べて転職回数の多さがネックにならないともいえそうです。

 

1-4. 転職先に求める条件が多すぎる

理想を追求しすぎる場合も、転職に失敗する傾向があります。複数の転職条件をすべて満たす職場にこだわってしまうと、働ける職場の選択肢が狭まります。通勤時間や勤務時間、残業の有無など、自分にとって働きやすい職場の条件をあげればキリがありません。条件に合う企業の数が限られていると「転職先が見つからない」と感じてしまうこともあるでしょう。

1-5. 希望する転職条件と企業のニーズに相違がある

自身のスキルや経験、求める年収などが企業側のニーズと一致しなければ、転職成功につながりません。極端な例を挙げると、経験年数が2~3年の薬剤師がエリアマネージャーの求人に応募しても、採用される可能性は低いでしょう。自分の能力と企業が求める人材像が一致して初めて採用に至ります。自身のスキルと、企業のニーズが合っているかを見極めることも大切です。

 

1-6. コミュニケーションスキルが低い

書類審査は通るのに、面接や見学の後に不採用になってしまう場合には、コミュニケーションスキルが問題視されている可能性があります。コミュニケーションスキルは薬剤師にとって大切なスキルのひとつです。薬剤師は同僚と協力しながら調剤を行い、患者さんの話を聞きながら服薬指導を行います。また、医師や看護師、ケアマネージャ-などの医療従事者と接する機会もあるため、あらゆる場面でコミュニケーションスキルが問われます。企業側にとっても職場の環境を良好にするために、対人能力が高い人を求めています。コミュニケーションスキルは話し方や身振り、態度などで伝わるものであり、面接でもチェックされるポイントです。面接に自信がない場合は、転職エージェントで模擬面接の練習をしてもらい、客観的なアドバイスをもらうとコツをつかめるのでおすすめです。

1-7. 競争率の高い企業に応募している

競争率の高い企業ばかりに応募すると、採用される確率が下がってしまうでしょう。人気がある企業や知名度がある企業の求人の場合、採用条件に加えて、より高度なスキルや経験を持った人が応募してくる可能性が高いです。そのうえ採用人数が少ない場合、たとえスキルに自信がある人でも、狭き門となります。ワークライフバランスを確保しやすく福利厚生が充実しているなど条件の良い企業は倍率が高くなりやすいため、応募状況を予想して判断することが大切です。また、他の応募者より抜きん出た自分の強みをアピールするために、より戦略を練った転職活動が必要でしょう。求められる人材以上のスキルや経験を提示できなければ、倍率の高い企業に応募しても採用されにくいです。

2. 薬剤師が転職を成功させるためのポイント

理想の職場に転職するためには、自分の市場価値を高めたり、転職条件や転職理由をしっかりと考えたりしておくことが大切です。ここでは転職を成功させるためのポイントをお伝えします。

 

2-1. 自分のスキルを高める

求められる人材になるためには、自分のスキルを高めておくことが大切です。日々のスキルアップはもちろんですが、書類上で認められやすい認定薬剤師を取得するのもよいでしょう。そのほか、英語などの語学スキルを磨いたり、さまざまな検定を受けたりすることも、自分の市場価値を高めることにつながります。目的をもって学ぶ姿勢を持っていること自体が企業へのアピール材料のひとつになります。アピールできる材料を増やすためにも、日々のスキルアップが欠かせません。

 

 

2-2. 管理職を積極的に経験する

管理薬剤師などの管理職を経験しておくと、転職時に有利です。管理職は経営側の視点で考える機会も多く、マネジメント力が身につきます。企業側としてもマネジメント指導をするための時間やコストを削減できるため、すでに管理職を経験した人は採用されやすいでしょう。今の職場で管理薬剤師や薬局長などの管理職につくチャンスがあれば、将来的にキャリアの選択肢を広げるためにも積極的に挑戦してみましょう。

 

2-3. 希望条件に優先順位をつける

正社員やパートなど働き方に問わず、希望条件が多すぎると求人を見つけることは難しくなります。転職を成功させるためには、希望条件に優先順位をつけて、譲れない条件を明確にすることが大切です。例えば、通勤時間や勤務時間が希望と合致しているなら、年収の優先度は下げるといった取捨選択をすることで、求人の選択肢の幅が広がります。多くの条件を満たしている求人は、多くの応募者にとって魅力的な職場であり、競争率が上がりやすくなります。まずは「これだけは譲れない」という優先条件を決め、徐々に条件を増やしながら応募先を絞り込みましょう。

 

 

2-4. 前向きな転職理由を考える

転職を成功させるためには、志望動機を明確にして、前向きな転職理由を考える必要があります。ネガティブな転職理由をそのまま伝えてしまうと、印象が悪くなってしまいます。特に面接の場では、ネガティブな理由をポジティブに変換して伝えるとよいでしょう。例えば、給料が少ないことを不満に感じている場合は、「能力を正当に評価してくれる職場で働きたい」と言い換えることができます。会社の将来性が不安であれば、「自分の人生を通じて成長していける企業で働きたい」と伝えましょう。ネガティブな理由を前向きな転職理由に変えることで、やる気のある人材として評価されやすくなります。

3. 転職がうまくいかない薬剤師が転職に失敗しないために

安定した勤務環境で長く働き続けるためには、転職を繰り返さないための工夫も必要です。理想に近い職場と出会うためのポイントをお伝えします。

 

3-1. 職場見学を行う

人間関係のトラブルが原因で転職を考えているのであれば、転職先の職場見学を事前にしてみましょう。人間関係は入社してみないとわからないものですが、実際に職場を見ることで、雰囲気を感じることが可能です。どんなスタッフがいて、どんな会話をしているのかを体感することで、自分がそこで働く姿をイメージしやすくなります。また、職場見学では、業務上で気になることもその場で確認できます。仕事内容や忙しさをチェックするなど、よりリアルな情報を得ることで転職後のミスマッチを防げます。

 

3-2. 紹介予定派遣を利用する

前述したように、職場環境は実際に入社しないと本当のところはわかりません。入社に不安を感じるのであれば、紹介予定派遣を利用する方法もあります。紹介予定派遣とは、企業との直接契約を前提に一定期間を派遣社員として勤める働き方です。最初の数か月を派遣社員として働けるので、職場環境を体感してから入社できます。思っていた職場と違った場合は断ることも可能です。正式に採用される前に、転職先の状況をじっくり知りたい方におすすめです。

 

3-3. 将来のライフプランをふまえて転職先を選ぶ

将来のライフプランを考えて転職先を選ぶことも大切です。結婚や出産、育児、介護などライフステージによって働き方を変えなければならないこともあります。特に残業の有無は、しっかりチェックしておくと良いでしょう。

独身の時は残業ができていたとしても、結婚や出産をすると残業できないこともあります。加えて、急な欠勤や早退に対応できるサポートがあるのか、自分と同じようなライフステージのスタッフがいるのかも確認しておくと安心です。また、育休の取得や時短勤務、補助金制度の有無など、企業によってサポート体制が異なります。転職を繰り返さないためにも、将来を見越したキャリアパスを考えてみましょう。

 


 

3-4. 転職エージェントに登録する

希望する転職先を探すには、日々の細やかな情報収集が欠かせません。しかし、転職先の情報収集には時間と手間がかかり、とても大変です。そこで、おすすめなのが転職エージェントへの登録です。エージェントには多くの情報が集まるため、求人情報だけではわからない内部情報を持っている可能性があります。専任のキャリアアドバイザーが、現職の状況や希望条件を加味しながら、優先順位を判断・確認し、条件にあった求人を紹介してくれるのも便利なところです。ひとりで転職先を探すよりも効率的です。また、転職理由や希望理由などの書き方や伝え方についても相談できたり、転職先との年収交渉などを代理で行ってくれたりすることもあります。転職を成功させるためにも、転職エージェントを活用してみてはいかがでしょうか。

4. 薬剤師の転職を成功させるために

理想通りの転職がなかなか実現できないのには、理由があります。まずは、うまくいかない理由を見極めて、企業が求める人材に近づくことが大切です。選択の幅を広げるためにも、自分のスキルを磨いたり、経験を増やしたりしながら、自分に合った転職先を探してみましょう。転職後のミスマッチや早期離職を防ぐためにも、転職先探しをサポートしてくれる転職エージェントへの登録を考えてみましょう。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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