インタビュー 公開日:2022.10.31 インタビュー

在宅薬剤師の1日に密着~とみざわ薬局 冨沢 道俊先生インタビュー

地域包括ケアシステムが推進される中、薬剤師が在宅医療に参画する必要性がますます高まっています。ここでは、これから在宅サービスを始める薬剤師さん、始めたばかりの薬剤師さんの一助となればと、在宅医療に積極的に取り組まれている冨沢先生の1日をご紹介します。

 

本記事は株式会社ネクスウェイが提供する「医療情報おまとめ便サービス」2016年9月号特集「薬剤師の在宅医療現場に迫る」P.1-2を再構成したものです。

お話を聞いたのは……
 

千葉県木更津市 とみざわ薬局 大和店
冨沢産業株式会社 統括部長
冨沢 道俊さん


http://www.tomizawa-ph-group.co.jp/

在宅訪問に1日密着

8:45  薬局のスタッフ全員が参加しての朝礼を取り仕切ります。その日の仕事内容を確認しながら、情報交換を行います。

 

冨沢さん  「朝礼はスタッフのモチベーションを上げるためにも重要です」



 

9:00  車に、昨晩のうちに用意しておいたお薬を詰め込んで、いざ出発!

 

10:00  この日の2件目のお宅に到着。ここでは「サービス担当者会議※」が行われ、患者さんの現在の状況や今後の方針などについて情報交換が行われました。
 
※サービス担当者会議のその他の参加者:ケアマネージャーさん、在宅診療所の看護師さん、デイサービス、ショートステイ、貸しベッド業者の担当者さん

 
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薬局から30km近く離れた山の中のお宅です。
半径10km圏内に薬局がなく、在宅サービスがなければお薬を取りに行くだけでも大変です。

 

11:00  3軒目は、在宅でターミナルケアを受けているがん患者さんのお宅です。冨沢さんは、お薬カレンダーを見て服薬状況を確認し、あらかじめ担当医と相談しておいた通り一包化されたお薬の中から鎮痛薬を抜き取りました。



冨沢さんが鎮痛薬によると思われるめまいの副作用症状に気付き、
医師に報告の上、抜き取りの指示をもらっておいたそうです。
抜き取り後は、100円ショップでも売っているハンディーシーラーで袋を閉じます。

 

ここでは在宅診療所の看護師さんと遭遇。一緒に患者さんのバイタルを確認します。



患者さん「冨沢さんは明るくて楽しいのでお医者さんには話せないことでも気軽に話せます」

 

12:00  2ヶ月ほど前から担当することになったサービス高齢者住宅に到着。前日の夜に薬局のスタッフ総出で一包化した20人分のお薬を、看護師さんと一緒に個々に確認していきます。お薬の変更内容なども伝えます。
 
最後に、当施設における服薬管理方法の能率化についてアドバイス。医師に帯同して、担当するすべての患者さんの往診は既に済ませてあります。



看護師さん「冨沢さんが薬剤師の立場から、褥瘡がでた入所者のケアについて具体的な手技などを
アドバイスしてくれて、みるみるうちによくなって驚きました」。

 

お薬を何回かに分けて運び込む冨沢さん。

 

14:30  ようやく昼ご飯。

 

冨沢さん  「医師の適切な判断の元となるような情報提供をいつも心掛けています」

 

16:00  インスリン注射器が壊れたとの電話連絡を受けて急遽、お宅訪問。見てみると、インスリンを使い切ってダイアルが回らなくなっていました。



冨沢さん「患者さんには、『うまく使えていますね!』とできていることを褒めてあげることも忘れません」。

 
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その足で地域包括支援センターへ。担当者さんに、先ほどの患者さんには医師を含めた在宅サービスが必要でないかと提案します。現状、薬剤師による在宅サービスしか受けられていないそうです。

 

17:00  今日は契約上の訪問日ではないのですが、せっかく近くまで来たからと独居のご高齢者宅を訪問。
 
毎日夕方に外から聞こえてくるメロディを聞くと不安でパニックになるという患者さんです。バイタルをとって、世間話をするだけで、患者さんはうれしそう。



なんと、訪問中にちょうどそのメロディが流れました。冨沢さんのこの気遣いにはおどろかされます。

 

冨沢さんは、「薬局でーす」と言ってお宅に入られます。さりげなく部屋の様子を眺めて何か異変はないかも確認するそうです。

 

19:30  その日の在宅業務を終了。

 
 

 

出典:株式会社ネクスウェイ「医療情報おまとめ便サービス」特集2016年9月号

 
 

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