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薬剤師になるには~必要な資格と国家試験の難易度、目指すべき大学~ 文:加藤鉄也(研修認定薬剤師、JPALSレベル6)

薬剤師はハードルが高い? 薬学部入学から国家試験までのフローを詳しく解説

薬の専門家として活躍する薬剤師。薬局の数はコンビニエンスストアよりも多く、薬剤師は地域の人たちの健康管理に対して大切な役割を担っています。薬剤師になるにはまず、薬学部のある大学に入学し、OSCEやCBT、実務実習などを経て国家試験を受験することになります。今回は、薬剤師になるためのステップについて詳しく解説します。

1. 薬剤師になるには

薬剤師になるには、毎年2月に厚生労働省が行う薬剤師国家試験に合格する必要があります。薬剤師免許は、医師、歯科医師、看護師資格などと同じく「医療系国家資格」と呼ばれています。

薬剤師国家資格を取得するための第1ステップは、6年制の薬学部に入学することです。大学で単位を取得し、卒業をすると(卒業見込みを含む)国家試験の受験資格を得ることができます。

2. 薬剤師になるために目指すべき大学

薬剤師の国家試験の受験資格を得るためには6年制の大学を目指すことが、最初のステップだとお伝えしました。薬学部には4年制と6年制のコースがあります。4年制は主に研究者を養成する内容となっており、卒業しても薬剤師国家試験を受けることができないため注意が必要です。

 

一方、6年制の薬学部では薬剤師や医療薬学研究者などを養成します。大学によってコース内容が異なりますが、一般的には、途中までは4年制コースも6年制コースも一緒に学び、その後研究室への配属を経て、それぞれの道に向けた単位の取得を行います。

3. 薬学共用試験(CBT、OSCE)

薬学生は5年次に実際の病院および薬局で実務実習を行うこととなります。この実務実習は、薬学生が実際に調剤し、直接患者さんに接する参加型実習です。しかし、学生の時は実習内容に対応できるレベルに達しているかどうかがわからないため、前もって実習に参加できるだけの知識、技能、態度を備えているかが薬学共用試験で評価されます。合格して初めて実務実習ができるようになるため、薬学生にとって、薬学共用試験が薬剤師になるための第一関門といえるでしょう。

薬学共用試験は、全国にある薬学部で実施される統一試験で、4年次に実施されます。知識を評価する客観試験CBT(Computer-Based Testing)と、実技を通して主に技能・態度を評価する客観的臨床能力試験OSCE(Objective Structured Clinical Examination)の2種類で構成されています。

 

CBTでは、4年次までに学んだ基礎知識が一定の基準に達しているか、コンピューターを使って客観的に評価されます。特別な準備学習を必要としないレベルの問題が出題されるとされています。

 

一方OSCEでは、模擬患者とシミュレーションテストを行い、実技能力が実務実習を行える一定の基準に達しているかどうかがモニター員によって審査されます。患者さんや来局者への応対、情報の提供、薬剤の調製、薬のチェック、無菌操作など事前に決められた内容を適切に行えるかが評価されます。

 

また卒業試験を実施して最終試験に無事合格すれば、薬剤師国家試験を受験できるという大学もあります。

4. 社会人が薬剤師になるには

一度、社会人として働いた後に薬剤師を目指したい方もいることでしょう。社会人の場合も、薬学部に入学するところからがスタートです。他の薬学生と同様、国家試験に合格すると薬剤師として働くことが可能です。

 

薬学部に入学するには通常の大学入試を受ける方法以外に、学資編入試験を受けるという方法もあります。対象は4年制大学や理系短期大学を卒業とした人と限られますが、2年次もしくは3年次の途中から入学できるため通学期間が短縮されます。

 

また薬学部のある大学への入学や国家試験の受験に年齢制限はないため、年齢を問わずチャレンジできます。ただし、公務員薬剤師のように採用要件に年齢制限が設定されている場合もあるため、国家資格取得後に目指す職種によっては早めの決断が必要でしょう。

5. 国家試験の難易度

2019年2月に実施された第104回薬剤師国家試験の合格率は約7割(男性68.76%、女性72.34%)。合格者数は1万194名で、約4割が男性、約6割は女性でした(厚生労働省ホームページより)。年によって多少の変動はあるものの、近年の合格率は約7割で推移しており、毎年1万人前後が薬剤師国家試験に合格しています。

 

他の医療系国家資格の合格率をみると、医師国家試験は約9割、歯科医師は約6割、看護師は約9割でした(いずれも2019年)。試験内容も異なるため一概にはいえませんが、他の医療資格と比べて特段合格することが難しい試験ではないと考えられます。

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6. 薬剤師の仕事

薬剤師の仕事をひと言で表すと、「薬を正しく使うための支援をすること」。医師が処方した薬の効果を最大化し副作用のリスクを軽減するために、服用のタイミングや量、塗り方、飲み合わせなどを患者さんに説明するのが薬剤師の仕事です。適切な薬が処方されているかどうかを検討し、懸念点がある場合は、医師に変更を打診したりよりふさわしい薬を提案したりします 。また、薬を飲み方ごとに分けてパック詰めしたり、錠剤を砕いたり、お湯で溶かせるようにしたりするなど、飲みやすくするための工夫を施します。

 

職場によっては、処方薬に関わる業務だけでなく、専門スキルを生かした幅広い業務が求められます。患者さんへのカウンセリングを行いながら市販の風邪薬や痛み止め、漢方薬、健康食品等の提案をしたり、ドラッグストアでは化粧品や介護用品などを販売したりすることもあるでしょう。そのほか、健康診断結果や飲み合わせ、介護の悩みなど患者さんからのさまざまな相談に答えたりもします。薬剤師は「人々の健康を支える仕事」として地域の住民から必要とされる存在です。

7. 薬剤師として働くには

薬剤師は「薬」を通じて患者さんの健康に貢献できる仕事です。薬学部で学んだ知識は、薬剤師になり調剤や服薬指導をするときに役立ちます。国家試験は個人によって得意、不得意があり、一定の難易度が明示できるものではありません。しかし、授業や試験を通して得た知識や経験をしっかりと身につけて試験に望むことで、合格の可能性が近づくことでしょう。


執筆/加藤鉄也

薬剤師。研修認定薬剤師。JPALSレベル6。2児の父。
大学院卒業後、製薬会社の海外臨床開発業務に従事。その後、調剤薬局薬剤師として働き、現在は株式会社オーエスで薬剤師として勤務。小児、循環器、糖尿病、がんなどの幅広い領域の薬物治療に携わる。医療や薬など薬剤師として気になるトピックについて記事を執筆。趣味は子育てとペットのポメラニアン、ハムスターと遊ぶこと。

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