薬剤師のスキルアップ 公開日:2022.09.22 薬剤師のスキルアップ

地域支援体制加算の要件は?見直された背景と2022年改定ポイントを解説 文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

2022年度の診療報酬改定で、「地域支援体制加算」が見直されました。2020年度には算定点数の引き上げが行われ、2022年度は4つの区分に変更されています。地域支援体制加算が見直される背景には、政府が掲げる「患者のための薬局ビジョン」があります。今回は、地域支援体制加算が見直された背景と改定ポイントについてお伝えします。

1.地域支援体制加算見直しの背景

政府は2015年10月に発表した「患者のための薬局ビジョン」において、「2025年までに、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つこと」、さらに、「薬剤師の業務を対物中心から対人中心にシフトしていくこと」を目標としています。
 
これまで薬剤師は、医師が交付した処方箋のチェック機能となる役割を果たしてきました。薬物治療の安全性や有効性が向上するよう、患者さんの服用薬を一元的かつ継続的に把握したうえで、処方チェックや丁寧な服薬指導を実施しています。残薬調整やジェネリック医薬品の利用率などの向上によって、医療費削減にも貢献してきました。
 
一方で、患者さんは受診した医療機関の近くにある薬局で調剤を受けることが多く、場合によっては、在住地での薬局利用ができていないケースもあります。また、薬剤師は対物中心の業務を行っていたため、「十分に薬局の役割が発揮されていない」、「患者さんの負担に見合うサービスを提供できていない」、「医薬分業のメリットが感じられない」といった指摘もありました。
 
さらに、薬歴の記録をすることなく薬剤服用歴管理指導料を算定していた事案や、薬剤師の資格を持たない人が軟膏剤の混合を行っていた事案が発生し、薬剤師や薬局のあり方が大きく問われました。
 
こうした状況から、より薬剤師や薬局が本来の役割を果たせるよう「患者のための薬局ビジョン」が策定されました。2016年度、2018年度、2020年度と行われた診療報酬改定では、「患者のための薬局ビジョン」の実現に向けて、その都度、薬剤師や薬局のあり方が明確化されています。
 
2022年度の診療報酬改定では、調剤基本料に加算される地域支援体制加算について、かかりつけ機能をより充実させることで評価されるよう見直されています。

2.2022年度診療報酬改定で地域支援体制加算はどう変わる?

2022年度の診療報酬改定では、地域支援体制加算1~4に区分され、効率的・効果的で質の高い医療提供体制を整えた薬局がより評価される内容となっています。地域医療に貢献してきた薬局が高く評価されるようになったことから、今まで以上に地域住民の健康や生活に寄り添った働きが求められるでしょう。

地域支援体制加算は調剤基本料の区分によって算定区分が変わります。「地域支援体制加算1、2」は「調剤基本料1」を算定する薬局が該当します。「地域支援体制加算3、4」は処方箋集中率が85%以上の薬局や大型チェーン薬局など、「調剤基本料1以外」を算定する薬局が加算できるものです。
 
要件となる施設基準についても変更がありますが、地域支援体制加算1は前年度の地域支援体制加算とおおむね同等の要件で算定でき、地域支援体制加算2はより多くの要件を満たす必要があります。地域支援体制加算3,4についても細かく算定要件が設定されています。
 
まずは次項で4区分の共通した施設基準を見ていきましょう。

3.地域支援体制加算の施設基準

地域支援体制加算の施設基準は「令和4年調剤報酬改定の概要(調剤)」にて以下のように提示されています。

 

1. 地域医療に貢献する体制を有することを示す実績
2. 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っている
3. 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供している
4. 一定時間以上の開局
5. 十分な数の医薬品の備蓄、周知
6. 薬学的管理・指導の体制整備、在宅に係る体制の情報提供
7. 24時間調剤、在宅対応体制の整備
8. 在宅療養を担う医療機関、訪問看護ステーションとの連携体制
9. 保健医療・福祉サービス担当者との連携体制
10. 医療安全に資する取組実績の報告
11. 集中率85%超の薬局は、後発品の調剤割合50%以上

 

上記の地域支援体制加算の共通要件は、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」でさらに細かく決められています。一部を抜粋して紹介します。

 

・1200品目以上の医薬品を備蓄している
・平日は1日8時間以上、土日いずれかで一定時間以上、週45時間以上開局
・管理薬剤師は5年以上の薬局勤務経験、当該薬局に週32時間以上勤務で1年以上継続的に在籍
・医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)に登録する
・副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を整備している
・パーテーション等で区切られた独立したカウンターを設置するなどプライバシーに配慮する など

「地域医療に貢献する体制を有することを示す実績」については、地域支援体制加算の区分によって要件が異なります。地域支援体制加算の実績要件について見ていきましょう。

 
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4.地域支援体制加算の実績要件

2022年度の診療報酬改定では、実績要件について「1薬局当たりの年間の回数」と「処方箋受付1万回当たりの年間回数など」が設定されており、算定区分によって要件が異なります。

 

4-1.薬局当たりの年間の回数

地域支援体制加算の実績要件「1薬局当たりの年間の回数」は以下です。

 

① 麻薬小売業者の免許を受けていること。
② 在宅薬剤管理の実績 24回以上
③ かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出を行っていること。
④ 服薬情報等提供料の実績 12回以上
⑤ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席

(厚生労働省「令和4年調剤報酬改定の概要(調剤)」より)

 

2022年度の改定では、②「在宅薬剤管理の実績 24回以上」について、在宅の要件が12件から24件に倍増されました。なお、在宅患者オンライン薬剤管理指導料及び在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料の件数は、在宅薬剤管理の実績件数から除かなければなりません(厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」より)。

 
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4-2.処方箋受付1万回当たりの年間回数など

地域支援体制加算の実績要件(①~⑧は処方箋受付1万回当たりの年間回数、⑨は薬局当たりの年間の回数)は以下です。

 

① 夜間・休日等の対応実績 400回以上
② 麻薬の調剤実績 10回以上
③ 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40回以上
④ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回以上
⑤ 外来服薬支援料の実績 12回以上
⑥ 服用薬剤調整支援料の実績 1回以上
⑦ 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 24回以上
⑧ 服薬情報等提供料の実績 60回以上
⑨ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席

(厚生労働省「令和4年調剤報酬改定の概要(調剤)」より)

 

2022年度の改定で、「薬剤師1人当たり」から「処方箋受付1万回当たり」と変更されました。これは、薬剤師を増員した薬局や、薬剤師1人当たりの処方箋受付回数が少ない薬局に配慮されたものといわれています。
 
なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなします(厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」より)。
 
⑨については「薬局当たりの年間の回数」をカウントします。
 
⑦「単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 24回以上」についても、2022年度の改定で在宅の要件が12件から24件に倍増されました。⑦は単一建物診療患者が対象となっている点が、「1薬局当たりの年間の回数」における②との違いです。また、在宅協力薬局として連携した場合が含まれますが、同一グループ薬局に対して業務を実施した場合は除かなければなりません。
 
なお、事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)」の内容も確認しておきましょう。
 
まず、自宅・宿泊療養を行っている人に対して発行された処方箋を受け付けた保険薬局の薬剤師が、保険医の求めにより緊急に薬剤を配送し患者さんに対面で服薬指導をした場合は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1(500点)を算定できます。

また、患者さん本人に対して電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合、または患者家族に対して対面または電話などで服薬指導を行った場合も在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)を算定できます。それぞれ実績回数に加えられることが疑義解釈で明記されています

5.地域支援体制加算1~4の点数と実績要件

続いて、地域支援体制加算1~4の点数と実績要件について詳しく見ていきましょう。

 

5-1.地域支援体制加算1

地域支援体制加算の算定点数は39点。
 
調剤基本料1を算定している薬局は、「1薬局当たりの年間の回数」の下記の3つを満たしたうえで、4、5のいずれかの要件を満たす必要があります。

 

1. 麻薬小売業者の免許を受けていること
2. 在宅薬剤管理の実績 24回以上
3. かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出を行っていること

 

4、5の条件は以下です。

 

4. 服薬情報等提供料の実績 12回以上
5. 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席

 

5-2.地域支援体制加算2

地域支援体制加算2の算定点数は47点で、地域支援体制加算1の要件を満たした薬局が、より地域医療に貢献することを評価する目的で設定されたものです。上述した実績要件の①~⑨のうち、3つ以上を満たすことで算定できます。
 
なお、地域支援体制加算の届出を行っている調剤基本料1を算定する保険薬局が、地域支援体制加算2の新規届出を行う場合、地域支援体制加算1の実績を満たすことを改めて示す必要があります(事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」より)。

 
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5-3.地域支援体制加算3

地域支援体制加算3の算定点数は17点です。調剤基本料1以外の薬局が、麻薬小売業者の免許を受けているうえで、実績要件①~⑨のうち、「④かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回以上」と「⑦単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 24回以上」を含む3つ以上を満たすことが要件となっています。

 

5-4.地域支援体制加算4

地域支援体制加算4の算定点数は39点で、調剤基本料1以外の薬局が、実績要件の①~⑨のうち、8つ以上を満たすことが要件となっています。

6.地域支援体制加算の届出

地域支援体制加算の施設基準に係る届出は3種類あります。
 
「地域支援体制加算1~4の共通書類」と、「地域支援体制加算1,2の届出を行う際の書類」、「地域支援体制加算3,4の届出を行う際の書類」です。共通書類には4種類の添付書類が、各書類には記載上の注意事項があります。届出に記載する際はよく確認するようにしましょう。

7.地域医療に貢献してかかりつけ機能の充実を

地域支援体制加算の算定要件から、薬局や薬剤師は患者さんが24時間いつでも相談できるよう薬や健康の専門家であることが求められています。加えて、積極的に多職種と連携をとり、地域で患者さんの健康をサポートする必要があります。政府が掲げる「患者のための薬局ビジョン」を今一度確認し、求められる薬剤師像・薬局像に沿った活動を行うことで、今後の改定にも対応できる体制を整えましょう。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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