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【レポート】アマゾン薬局「影響限定的」~将来的には再編後押しも みずほ銀行産業調査部

薬+読 編集部からのコメント

2024年7月から日本国内での提供が開始された「アマゾンファーマシー」の参入インパクトをまとめたレポートを、みずほ銀行産業調査部が発表。オンライン医療の普及が拡大しない限り、既存薬局への影響は限定的との見方を示しました。

みずほ銀行産業調査部は、「アマゾンファーマシー」の日本参入のインパクトをまとめたレポートを発表した。既存薬局に影響を及ぼすカギは電子処方箋やオンライン服薬指導の普及にあるとし、オンライン医療の普及が低調な中では「短期的にはインパクトは小さい」と指摘した。オンライン医療の利用が拡大した場合には、「門前薬局からオンラインへ処方箋が流出し、オンラインへの対応有無などにより大手チェーンと中小門前薬局との格差が広がり、業界再編を後押しする可能性が想定される」と分析している。

 

アマゾンは7月、提携薬局によるオンライン服薬指導から処方薬の配送まで利用できるサービスを日本で開始すると発表した。スタート時点では大手チェーン薬局、ドラッグストア9社が提携し、店舗数約2500に上る。9月には日本調剤も一部店舗で導入したと発表した。

 

レポートでは、アマゾンの参入契機について、2020年のオンライン服薬指導の導入、23年の電子処方箋の運用開始との見方を示した。そのインパクトについては、オンラインプラットフォームのため、オンライン医療の普及が拡大しない限り、既存薬局への影響は限定的との見方を示しつつも、アマゾンファーマシーのアプローチは「薬局よりもドラッグストアにより適していると考えられる」と指摘。

 

理由として「患者への医療サービスの提供を主眼とする薬局よりも、地域住民のヘルスケアニーズに対応し処方薬を含めた品揃えを充実させ、地域から広く集客するいわゆる『面対応』のドラッグストアのビジネスモデルと相性が良いと考えられる」と分析した。

 

その上で、「大手チェーンと協業することにより来店での受け取りを含めたユーザーの利便性を提供した上で、アマゾンファーマシーの稼働状況や電子処方箋の普及を見極めつつ、次の展開を検討していくと推察される」との見方を示した。

 

次の展開として二つの方向を提示した。一つは「自身が薬局事業を担うことにより、ユーザーの処方情報や問診情報等を一次取得し、強みである顧客分析力や商品力、価格訴求力を生かしたサービスを提供する」方向性だ。既存ドラッグストアにも、同様のデジタル戦略を展開しているところがある。レポートでは「場合によってはドラッグストアを買収し、自身でサービスを展開する可能性もあり得る」と考察した。

 

もう一つの方向性としては、「物流を含む対物業務を強化した薬局を運営し、中小薬局のプラットフォーマーとして、薬局事業者に対する付加価値を提供すること」を挙げた。

 

調剤業務の外部委託、薬剤師1人当たりの処方箋枚数の規制緩和が必要になるケースだが、「将来的に数千軒の中小薬局を束ね、共同購買や在庫の融通、さらには調剤業務の外部委託を通じて対物業務を集約化する」中小薬局のプラットフォーマー事業の可能性を指摘した。

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出典:薬事日報

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