薬剤師のスキルアップ 更新日:2024.07.12公開日:2024.06.27 薬剤師のスキルアップ

自家製剤加算とは?算定要件・点数や計量混合調剤加算について解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

自家製剤加算は、算定要件が細かく規定されており、計量混合調剤加算との違いを把握した上で算定する必要がある加算項目です。2024年度の診療報酬改定では、自家製剤加算の算定要件が一部見直されています。この記事では、2024年度改定のポイントや、自家製剤加算と計量混合調剤加算の算定要件を分かりやすく解説します。さらに、錠剤を粉砕や半錠にした場合、シロップや賦形剤、軟膏剤などを混合した場合の自家製剤加算と計量混合調剤加算の算定例について見ていきましょう。

目次

1.自家製剤加算とは?

自家製剤加算とは、個々の患者さんに対して薬価収載品では対応できない場合に、医師の指示に基づき、薬剤師が調製を行ったときに算定できる加算項目です。2022年度改定に続き、2024年度改定でも自家製剤加算の見直しが行われました。
 
2024年の診療報酬改定では、医薬品の供給不足によって処方されている薬価収載品の数量が確保できないケースにおいて、薬局に在庫である医薬品を用いて調製を行った場合に自家製剤加算を算定できることになりました。
 
例えば、ドライシロップが供給不足により薬局に在庫がないケースで、同成分のカプセル剤を脱カプセルし、賦形剤を加えて散剤に調製する場合は、自家製剤加算が算定できます。2024年度診療報酬改定における自家製剤加算の見直しは、昨今の医薬品の供給状況を踏まえた改定となりました。
 
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省

 
🔽 2024年度調剤報酬改定について解説した記事はこちら

2.自家製剤加算の算定要件

自家製剤加算は、投薬量や投与日数などに関わらず1調剤行為に対して算定できます。「市販されている医薬品の剤形で対応できないときに、医師の指示に基づいて、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合」とされており、以下のような調製を行った場合が該当します。

 

■自家製剤加算の算定に関わる調製業務の例
● 錠剤を粉砕して散剤とする
● 主薬を溶解して点眼剤を無菌で調製する
● 主薬に基剤を加えて坐剤とする
● 錠剤を分割する
● 安定剤や溶解補助剤、懸濁剤等の添加剤を加えて調製する
● ろ過、加温、滅菌等を行う

 

ただし、以下のケースでは、自家製剤加算が算定できません

 

● 計量混合調剤加算を算定した場合
● 既製剤を単に小分けする場合
● 薬価収載品に同一剤形および同一規格がある場合
● 用時溶解して使用する医薬品を交付時に溶解した場合

 

なお、医薬品の供給不足により在庫がないケースでは、薬価収載品に同一剤形および同一規格があった場合であっても算定できます。

3.自家製剤加算の点数

自家製剤加算の算定点数は以下のとおりです。

 

■内服薬と屯服薬の点数
区分 点数
【内服薬】
錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤
20点(7日分ごと)
【屯服薬】
錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤
90点
【内服薬・屯服薬】
液剤
45点

 

■外用剤の点数
区分 点数
錠剤、トロ-チ剤、軟・硬膏剤、パップ剤、リニメント剤、坐剤 90点
点眼剤、点鼻・点耳剤、浣腸剤 75点
液剤 45点

 

屯服薬、液剤、外用剤については1調剤ごとに、液剤以外の内服薬は7日分ごとに所定の点数を算定します。
 
ただし、予製剤を使用した場合や錠剤を分割した場合は、所定点数を100分の20にし、点数を算定しなければなりません。
 
参照:調剤報酬点数表|厚生労働省

4.自家製剤加算を算定する際の注意点

自家製剤加算を算定する際の注意点について見ていきましょう。

 

4-1.分割した医薬品と同一規格がある医薬品の場合

錠剤を分割後の規格と同一規格のある医薬品の場合、自家製剤加算は算定できません。
例えば、A錠には2.5mg、5mg、10mgの規格が存在するとしましょう。A錠10mgを分割すると5mgに、A錠5mgを分割すると2.5mgとなります。A錠には2.5mgと5mgの錠剤が販売されていることから、自家製剤加算は算定できないと判断します。
 
さらに、ジェネリック医薬品に同一規格がある場合も自家製剤加算が算定できません。例えば、A錠2.5mgを分割した場合、ジェネリック医薬品に1.25mgの規格が販売されていると、自家製剤加算は算定できません。
 
これは、分割後の規格がジェネリック医薬品として存在する場合、処方変更することで半錠に相当する用量が服用可能となるためです。錠剤の分割による自家製剤加算を算定する場合は、同一薬剤の規格ではなく同一成分で判断する必要があるでしょう。

 

4-2.使用時に溶解する医薬品を交付時に溶解した場合

使用時に溶解する医薬品の例として、ドライシロップなどが挙げられます。「日本薬局方製剤総則」で、ドライシロップは「そのまま」または「用時溶解」もしくは「用時懸濁(けんだく)」して用いることが定められているため、使用時に溶解する医薬品に含まれます。
 
また、ドライシロップの算定については「調剤報酬点数表に関する事項」で以下のように定められています。

 

ドライシロップ剤を投与する場合において、調剤の際に溶解し、液剤(シロップ剤)にして患者に投与するときは内服用液剤として算定し、散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定する。

参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
 
ドライシロップを溶解して交付するケースとして、液剤とドライシロップの混合が挙げられます。これは液剤と液剤を混合したことになるため、自家製剤加算ではなく計量混合調剤加算を算定します。
 
また、ドライシロップ剤を水に溶かして同時服用の他の液剤と一緒に投与する場合は1剤として算定し、ドライシロップ剤を散剤として同時服用の他の固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)と一緒に投与する場合も1剤として算定します。

 

4-3.錠剤を分割する際の同一剤形の範囲

自家製剤加算における同一剤形の範囲は以下のとおりです。

 

【内用薬】
1.錠剤、口腔内崩壊錠、分散錠、粒状錠、カプセル剤、丸剤
2.散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤

参照:疑義解釈資料の送付について(その1) 令和4年3月31日|厚生労働省

 

自家製剤加算における内服薬について、1、2はそれぞれ別剤形として取り扱います。なお、上記の同一剤形の範囲は、ジェネリック医薬品への変更における剤形の範囲とは異なります。混同しないように気を付けましょう。

5.自家製剤加算の処方例

では、実際に日常業務でよく出会う具体的な処方例について考えてみましょう。

 

5-1.処方例1:錠剤を分割した場合

Rp1)
A錠200mg 1.5錠 朝食後 28日分

 

この処方の場合、1錠(200mg)と0.5錠(100mg)で合わせて300mgを服用することになります。A錠100mgが市販されていない場合、自家製剤加算が算定できると思いがちですが、A錠300mgが市販されていると算定できません。
 
反対に、A錠300mgが市販されておらず、A錠100mgが販売されている場合は、自家製剤加算が算定できます。自家製剤加算を算定する場合は、分割後の規格が先発品・ジェネリック医薬品ともに市販されていないかをチェックすることが大切です。

 

5-2.処方例2:処方日数の異なる錠剤をそれぞれ分割した場合

Rp1)
A錠2mg 0.5錠 朝食後 28日分
Rp2)
B錠10mg 0.5錠 朝食後 14日分(隔日)

 

服用時点が同じで、処方日数のみが異なるケースでは、それぞれ1調剤として扱います。そのため、それぞれで自家製剤加算が算定できます。

 

5-3.処方例3:粉砕指示と散剤の混合指示がある場合

Rp1)
A錠3mg 2錠 朝食後 30日分(粉砕)
Rp2)
B散0.5g
C散1.0g    朝食後 30日分

 

このケースでは、服用時点が同一のため、自家製剤加算または計量混合調剤加算を算定します。仮に服用時点が異なった場合は、Rp1は自家製剤加算、Rp2は計量混合調剤加算が算定可能です。

 

5-4.処方例4:細粒とシロップを混合する場合

Rp1)
A細粒小児用10% 1.3g
Bシロップ5% 9ml    毎食後 5日分 (混合)

 

このケースでは、散剤(A)と液剤(B)の混合のため、自家製剤加算が算定できます。ただし、A細粒小児用がドライシロップの場合は、計量混合調剤加算を算定します。

6.計量混合調剤加算の算定要件と点数

計量混合調剤加算とは、「薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品を計量し、かつ混合して調剤した場合」に算定できる加算項目です。投与量や投与日数に関わらず、「計量」して「混合」する1調剤行為に対して所定の点数を算定します。

 

■計量混合調剤加算の点数
区分 点数
液剤 35点
散剤または顆粒剤 45点
軟・硬膏剤 80点

 

対象となる剤形は液剤、散剤、顆粒剤、軟・硬軟剤の4種類のみです。服用時点と服用日数が同一である場合、計量混合調剤加算をそれぞれに算定することはできず、「1調剤」ごとの算定となります。
 
参照:調剤報酬点数表|厚生労働省

7.計量混合調剤加算を算定する際の注意点

計量混合調剤加算を算定する際の注意点を見ていきましょう。

 

7-1.同一剤形・同一規格の医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない

自家製剤加算と同様に、調剤した医薬品と同一剤形、同一規格の医薬品が存在する場合には算定することができません

 

7-2.ドライシロップと液剤を混合した場合は算定できる

前述したとおり、ドライシロップ剤を液剤と混合した場合は、計量混合調剤加算を算定します。通常、散剤と液剤の混合は自家製剤加算を算定しますが、ドライシロップにおいては、特性上、液剤に容易に溶解できることが明らかなため、このケースに限っては計量混合調剤加算を算定することとされています。

 

7-3.「計量かつ混合」を行うことで算定できる

計量混合調剤加算は、薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品を「計量かつ混合」した場合に算定することが認められています。したがって、あらかじめ所定の分量が計量された分包品を使用して調剤した場合には、計量混合調剤加算を算定することは認められていません。これは分包品の販売の有無ではなく、実際の調剤行為に分包品を使用したかどうかで判断されます。

8.計量混合調剤加算の処方例

それでは、計量混合調剤加算の具体的な処方の例を見てみましょう。

 

8-1.処方例1:シロップ剤を混合する場合

Rp1)
Aシロップ5% 6ml
Bシロップ0.5% 3ml
Cシロップ0.04% 3ml 毎食後 7日分(混合)

 

3種類の液剤を計量し、混合して調剤しているため、計量混合調剤加算を算定することができます

 

8-2.処方例2:濃度の異なる軟膏を2種類以上調製する場合

Rp1)
A軟膏 25g
B軟膏 25g 腕、足に塗布(混合)
Rp2)
A軟膏 15g
B軟膏 25g 顔、首に塗布(混合)

 

2種類の薬剤を計量し、かつ混合した軟膏が複数あり、それぞれの濃度が異なる場合は、それぞれについて計量混合調剤加算が算定できます。上記のケースでは、Rp1、2それぞれで算定可能です。

 

8-3.処方例3:分包品を使用して混合した場合

Rp1)
A散 1.5g(1回0.5g)
B散 3g (1回1g)  毎食後 7日分

 

A散は1包0.5g、B散は1包1gの分包品を使用して調剤する場合、計量混合調剤加算は算定できません。
 
計量混合調剤加算は、「計量」して「混合」することで算定できる加算項目です。そのため、あらかじめ計量してある分包品を使用する場合は、計量混合調剤加算の算定が認められていません。

 

8-4.処方例4:服用時点が同じで処方日数が異なる混合した散剤が2種類ある場合

Rp1)
A散 1g
B散 1g 朝食後 7日分
Rp2)
C散 2g
D散 0.5g
E散 1g 朝食後 4日分

 

服用時点が同じで処方日数が異なるケースでは、計量混合調剤加算をそれぞれ算定することができます。

 

8-5.処方例5:処方日数が同じで服用時点が異なる混合した散剤が2種類ある場合

Rp1)
A散 1g
B散 1g
C散 2g 毎食後 7日分
Rp2)
D散 0.5g
E散 1g 毎食間 7日分

 

このケースでは、服用時点が異なるため、それぞれ計量混合調剤加算が算定できます。

 

8-6.処方例6:用法と処方日数が同じである混合した散剤が2種類ある場合

Rp1)
A散 1g
B散 1g
C散 2g 毎食後 4日分
Rp2)
D散 0.5g
E散 1g 毎食後 4日分

 

このケースでは、服用時点と処方日数が同じであるため、計量混合調剤加算は1回しか算定できません
 
ただし、配合禁忌や配合不適などを理由に、別々に混合する場合には、それぞれについて計量混合調剤加算を算定することができます。調剤上の理由で別々に混合する場合には、調剤録やレセプト、薬歴などに理由を記載しておきましょう。

9.自家製剤加算または計量混合調剤加算を算定できるケースとできないケース

自家製剤加算と計量混合調剤加算は算定できるケースとできないケースがあります。それぞれ見ていきましょう。

 

9-1.自家製剤加算と計量混合調剤加算の同時算定ができないケース

Rp1)
A散10% 1g
B散20% 2g 寝る前 14日分
Rp2)
C錠0.25mg 0.5錠 寝る前 14日分

 

A散とB散は計量混合調剤加算、C錠は自家製剤加算の算定要件をそれぞれ満たしていますが、用法が同じ(1剤)のため、自家製剤加算と計量混合調剤加算を同時に算定することができません。
 
このケースでは、自家製剤加算と計量混合調剤加算のどちらか一方を算定することになります。

 

9-2.自家製剤加算と計量混合調剤加算の同時算定ができるケース

Rp1)
A散 1g
B散20% 2g 朝食後 
Rp2)
C錠0.25mg 0.5錠 寝る前

 

このケースでは、服用時点が異なる(2剤)ため、自家製剤加算と計量混合調剤加算をそれぞれ算定することが可能です。

 

9-3.外来服薬支援料2と自家製剤加算・計量混合調剤加算は同時算定できない

Rp1)
A錠 20mg 1錠
B錠 10mg 1錠 
C錠 5mg  0.5錠 寝る前 14日分(一包化)

 

上記の処方について、すべてをまとめて一包化して外来服薬支援料2を算定した場合、C錠は外来服薬支援料2の算定範囲となるため、自家製剤加算は算定できません
 
仮に、自家製剤加算を算定した場合は、外来服薬支援料2は算定不可となります。

 
🔽 外来服薬支援料2(一包化加算)について詳しく解説した記事はこちら

10.混合、粉砕、半割など特殊な調剤はしっかりチェックしよう

自家製剤加算や計量混合調剤加算は日常業務でよく算定する加算項目ですが、やや複雑なルールのため、算定できる・できないで悩む薬剤師も少なくないのではないでしょうか。
 
本記事では、疑義解釈や保険調剤Q&Aで解説されている「算定できるケース」や「できないケース」、「自家製剤加算と計量混合調剤加算を同時算定できるケース」について、分かりやすくお伝えしました。紹介した事例を実務や新人研修などに活用してみてはいかがでしょうか。

 
🔽 調剤報酬に関連する記事はこちら









参考URL

令和6年度診療報酬改定について|厚生労働省

 

書籍

■日本薬剤師会・編『保険調剤Q&A 令和4年版』(じほう、2022年)


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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