薬剤師のスキルアップ 更新日:2024.07.12公開日:2024.07.11 薬剤師のスキルアップ

調剤管理料とは?算定要件・点数・加算・薬剤調製料との違いなどを解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

2022年度の調剤報酬改定で新設された「調剤管理料」。2024年度改定でも調剤管理料について見直しが行われています。本記事では薬局薬剤師に向けて、調剤管理料の概要や2024年度調剤報酬改定のポイントをお伝えします。また、調剤管理料の加算である「重複投薬・相互作用等防止加算」「調剤管理加算」「医療情報取得加算1、2」について解説するとともに、調剤管理料と薬剤調製料、服薬管理指導料との違いについてもお伝えします。

1.調剤管理料とは?

調剤管理料とは、患者さんの情報を基に処方内容について薬学的分析と評価をした上で、薬剤服用歴への記録や薬学的管理などを行った場合に算定できる薬学管理料です。
 
2022年度調剤報酬改定では、薬剤師の対物業務と対人業務の評価について見直しが行われ、調剤料や薬剤服用歴管理指導料が廃止されました。
 
調剤管理料は、調剤料として評価されていた処方内容の薬学的分析、調剤設計などと、薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴の管理などに関わる業務の評価として新設されたものです。
 
参照:令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)|厚生労働省
 
2024年度の調剤報酬改定では、調剤管理料の算定要件や加算項目が変更されました。詳しく見ていきましょう。

2.調剤管理料の2024年度調剤報酬改定のポイント

2024年度の調剤報酬改定では、調剤管理料の算定要件や加算項目について見直しがありました

 

■調剤管理料の改定ポイント
  変更内容
算定要件 【新設】
医薬品リスク管理計画(RMP)を用いた薬学的分析・評価を行う
加算項目 【名称変更】
医療情報・システム基盤整備体制充実加算 → 医療情報取得加算
【点数変更】
重複投薬・相互作用等防止加算:残薬調整に係るものの場合
30点 → 20点

 

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

2-1.調剤管理料に新設された算定要件

調剤管理料の算定要件に「薬剤服用歴や医薬品リスク管理計画(RMP)などの情報に基づいた薬学的分析と評価を行うこと」が加えられました。
 
医薬品リスク管理計画(RMP)とは、医薬品を使用する上でのリスク(副作用)を管理するための文書です。開発段階から市販後までに判明した副作用や副作用が起こった経緯、副作用を最小限に抑えるための対応策などが情報提供されています。薬剤師はこれらの情報を把握した上で患者さんの薬学的管理を行うこととされています。
 
参考:医薬品リスク管理計画(RMP)| 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 

2-2.調剤管理料の加算の変更点

調剤管理料の加算である「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は、「医療情報取得加算」へと名称が変わりました。オンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されたことから、診療情報を取得し、活用することを評価する加算となっています。
 
重複投薬・相互作用等防止加算については、「残薬調整に係るものの場合」での算定点数が、30点から20点へ減点されました。
 
参考:令和6年度診療報酬改定の概要(調剤)|厚生労働省
参考:個別改定項目について|厚生労働省

 
🔽 調剤報酬改定について詳しく解説した記事はこちら

3.調剤管理料の算定要件・点数

調剤管理料の算定要件や点数は以下のとおりです。

 

■調剤管理料の算定要件と点数
区分 算定要件 点数
1.内服薬 ● 内服用滴剤、浸煎薬、湯薬及び屯服薬を除く
● 1剤につき算定(3剤まで)
7日分以下の場合 4点
8日分以上14日分以下の場合 28点
15日分以上28日分以下の場合 50点
29日分以上の場合 60点
2.1以外の場合 4点

参照:調剤報酬点数表|厚生労働省

 
調剤管理料は処方箋受付1回につき所定の点数を算定します。なお、1・2の併算定はできないほか、特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定できません。
 
🔽 特別調剤基本料について詳しく解説した記事はこちら

 

3-1.調剤管理料を算定する際の注意点

調剤管理料1は、服用時点が同じ内服薬は投与日数に関わらず1剤としてカウントします。処方箋受付1回について4剤以上ある場合は、3剤として算定しなければなりません。
 
また、隔日投与などの指示により服用しない日がある場合は、実際の投与日数で算定します。

 

3-2.分割調剤における日数の考え方

同じ薬局で同じ処方箋を分割調剤した場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を算定します。
 
ただし、薬剤の保存が困難である場合や、ジェネリック医薬品の試用を目的としている場合の分割調剤に限ります。
 
また、医師の指示による分割調剤の場合、患者さんの服薬状況や体調変化などを処方医に情報提供し、薬剤服用歴等に記載することも調剤管理料を算定する際の要件となります。
 
参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

4.調剤管理料の加算

調剤管理料の加算は以下のとおりです。

 

■調剤管理料の加算
項目 算定要件・区分 点数
重複投薬・相互作用等防止加算 残薬調整以外 40点
残薬調整 20点
調剤管理加算 初来局時 3点
【2回目以降】薬剤の変更また追加 3点
医療情報取得加算1 施設基準を満たす薬局が調剤した場合 3点(6月に1回)
医療情報取得加算2 オンライン資格確認により患者に係る診療情報を取得等した場合 1点(6月に1回)

参照:調剤報酬点数表|厚生労働省

 

それぞれの加算について詳しく見ていきましょう。

 

4-1.重複投薬・相互作用等防止加算とは

重複投薬・相互作用等防止加算とは、薬剤服用歴等または患者さんや家族などからの情報を基に、処方医へ連絡・確認を行い、処方が変更された場合に算定可能な加算です。処方箋受付1回につき、残薬調整に関わるものは20点、併用薬との重複投与や飲食物との相互作用などによって処方変更があった場合は40点が算定できます。
 
なお、重複投薬・相互作用等防止加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費または介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者さんについては算定できません。

 

重複投薬・相互作用等防止加算の算定にあたっては、処方医への問い合わせ内容や変更内容を薬剤服用歴等に記載する必要があります。

 

4-2.調剤管理加算とは

調剤管理加算は、複数の病院から6種類以上の内服薬が処方されている患者さんについて、以下のケースにおいて必要な薬学的分析を行うことで算定できる加算です。

 

■調剤管理加算が算定できるケース
● 初めて薬局を利用するとき
● 2回目以降の来局で次のような処方変更があったとき
  ・内服薬の種類が変更された場合
  ・内服薬の種類数が1種類以上増えた場合

 

なお、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤や、内服薬以外の薬剤への変更は、内服薬の種類が変更した場合に含めません。
 
調剤管理加算の算定には、以下のルールがあります。

 

■調剤管理加算を算定する際のルール
● 内服薬の種類に屯服薬は含めない
● 種類数のカウントでは、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤については1銘柄ごとに1種類とする
● 薬剤の副作用の可能性を検討する際は、以下の資料等を参考にする
  ・高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)|厚生労働省
  ・高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))|厚生労働省
  ・病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方|厚生労働省
  ・日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)

 

複数の医療機関に通って多くの処方薬をもらっていると、ポリファーマシーによる副作用発現やアドヒアランスの低下につながりかねません。
 
調剤管理加算は、患者さんが服用している薬を薬剤師が正しく把握し、適切な医療を提供することを目的としています。

 
🔽 ポリファーマシーについて詳しく解説した記事はこちら

 

4-3.医療情報取得加算1・医療情報取得加算2とは

医療情報取得加算とは、オンライン資格確認を導入している薬局において、患者さんに関わる情報を活用して調剤を実施することなどを評価する加算項目です。
 
医療情報取得加算1は、施設基準を満たす薬局が調剤を行った場合に6月に1回3点を、医療情報取得加算2は、施設基準を満たす薬局がオンライン資格確認により薬剤情報や特定健診情報などを取得・活用した場合に6月に1回1点を算定できます。
 
医療情報取得加算を算定するための施設基準は以下のとおりです。

 

■医療情報取得加算の施設基準
● 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っている
● オンライン資格確認を行う体制を有している
  なお、医療機関等向けポータルサイトにおいて、運用開始日の登録を行うこと
● 以下について、薬局の見やすい場所に掲示している
  ・オンライン資格確認を行う体制を有していること
  ・薬剤情報や特定健診情報などの情報を取得・活用して調剤等を行うこと
● 上記の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載している
  ただし、ホームページ等を有しない薬局については、この限りではない

 

医療情報取得加算は、患者さんが保険番号等の確認にマイナンバーカードを提示した場合は1点、そうでない場合は3点を算定します。患者さんはマイナンバーカードを使用した方が医療費を抑えられるでしょう。
 
また、薬局が医療情報取得加算を算定するのに、地方厚生局などへ届出を行う必要はありません。薬局や薬剤師は、マイナンバーカードを使用するメリットを周知し、普及するよう取り組むことが求められています。
 
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

5.調剤管理料と薬剤調製料、服薬管理指導料との違い

調剤管理料、薬剤調製料、服薬管理指導料は、薬局で行う業務をステップごとにそれぞれ評価したものといえます。薬局業務は、主に次の7つのステップで構成されています。

 

■薬局業務における7つのステップと算定項目
算定項目 薬局業務
調剤管理料 ステップ1:患者情報の分析・評価
ステップ2:処方内容の薬学的分析
ステップ3:調剤設計
薬剤調製料 ステップ4:薬剤の調製・ピッキング
ステップ5:最終監査
服薬管理指導料 ステップ6:薬の交付・服薬指導
調剤管理料・
服薬管理指導料
ステップ7:調剤録・薬歴作成

参照:令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)|厚生労働省

 

「薬局業務における7ステップ」を基に、調剤管理料、薬剤調製料、服薬管理指導料の違いについて見ていきましょう。

 

5-1.「対人業務」は調剤管理料、「対物業務」は薬剤調製料で評価

近年の診療報酬改定は、「薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換」を促進する目的があります。
 
調剤管理料は主に「ステップ1. 患者情報の分析・評価」から「ステップ3.調剤設計」までを評価しています。調剤管理料に関する業務では、お薬手帳や薬歴などに基づいて適切な処方内容であるかという分析、必要に応じて疑義照会や処方変更をした上での調剤設計など、患者さんが主体となる業務(対人業務)を行います。
 
「ステップ4. 薬剤の調製・ピッキング」と「ステップ5. 最終監査」は薬剤調製料の対象となり、こちらは薬を正しく準備するという薬剤主体の業務(対物業務)です。
 
評価をそれぞれ分けることで、より対人業務へ重きを置いた薬局業務を推進する狙いがあります。

 

5-2.薬剤の「調製前」は調剤管理料、「調製後」は服薬管理指導料で評価

調剤管理料と服薬管理指導料で行う業務内容は、どちらも対人業務です。この2つの違いは、どのタイミングで業務を行うかによります。
 
薬剤調製の前に、患者さんの情報を集めて薬学的分析・評価などを行うのは調剤管理料の管轄です。
 
一方で、薬剤調製が終わって、患者さんへの服薬指導や薬の交付後の継続的な服薬状況などの把握・指導は服薬管理指導料の評価対象となります。そのため「ステップ6. 薬の交付・服薬指導」については、服薬管理指導料で評価しており、薬剤使用状況などの継続的な把握・指導を行うことで、アドヒアランスの向上をサポートするよう求められています。
 
薬剤調製の前と後の対人業務それぞれを重視することで、より患者さん一人ひとりに合った医療提供を目指せると考えられます。

 
🔽 服薬管理指導料について詳しく解説した記事はこちら

6.調剤管理料導入で、さらなる“患者さん重視”の医療へ

これまでは、薬を正しく作って患者さんへお渡しするという薬剤(対物)を中心とした業務が行われてきました。しかし、さまざまな背景を持つ患者さんへの対応や医療ニーズの変化に伴い、より患者さん(対人)に注目した調剤・服薬指導が求められています。
 
また、オンライン資格確認システムといったICTを活用した業務が評価されるなど、薬局での医療提供の手段についても日々変わってきています。これからは薬の知識や調剤技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーションも大切にした、より良い医療を提供できる薬剤師を目指しましょう。

 
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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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