薬剤師のスキルアップ 公開日:2026.09.15 薬剤師のスキルアップ

在宅患者訪問薬剤管理指導料とは?2026年度改定の変更点や算定要件・点数について解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、2026年度調剤報酬改定において、算定間隔や開局時間外の対応体制などの要件が見直されました。本記事では、在宅患者訪問薬剤管理指導料の概要や2026年度改定での変更点、算定要件・点数、届出方法、レセプト摘要欄の記載事項について解説するとともに、よくあるQ&Aを紹介します。

1.在宅患者訪問薬剤管理指導料とは?

在宅患者訪問薬剤管理指導料とは、医療機関へ定期的に通うのが難しく、在宅で療養している患者さんに対して、薬剤師が医師の指示に基づき薬学的管理指導計画を策定し、自宅に訪問して薬歴管理や服薬指導などを実施した場合に算定できる調剤報酬です。

 

1-1.在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料との違い

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料とは、在宅医療を受ける患者さんの急変時などに、訪問薬剤管理指導を行っている薬局の薬剤師が緊急訪問して、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定できる薬学管理料です。計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うものの場合は500点、それ以外の場合は200点を算定します。
 
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、緊急時の訪問を評価するものであるのに対し、在宅患者訪問薬剤管理指導料は薬学的管理指導計画を基に訪問薬剤管理指導を行うことを評価するのが違いです。

 

 

1-2.居宅療養管理指導費との違い

在宅患者訪問薬剤管理指導料と居宅療養管理指導費は、適用される保険制度に違いがあります。在宅患者訪問薬剤管理指導料は医療保険に、居宅療養管理指導費は介護保険に分類されます。それぞれの点数または単位は以下のとおりです。

 

単一建物居住者 在宅患者訪問薬剤管理指導料 居宅療養管理指導等
病院 薬局
1人 650点 566単位 518単位
2~9人 320点 417単位 379単位
10人以上 290点 380単位 342単位

参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省

 

在宅療養を行っている患者さんに対して薬剤管理指導を行った場合、原則として要介護または要支援の認定を受けている患者さんは介護保険で、認定を受けていない患者さんは医療保険で算定します。

 

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2.2026年度調剤報酬改定における変更点

2026年度調剤報酬改定における在宅患者訪問薬剤管理指導料の主な変更点は、以下のとおりです。

 

  改定前 改定後
算定頻度 算定日の間隔を6日以上空ける 週1回を限度
時間外対応 休日・夜間を含む開局時間外でも調剤・訪問薬剤管理指導に対応できる体制の整備
説明責任 在宅患者訪問薬剤管理指導の対応体制について、事前に患者さんまたはその家族に説明の上、文書で交付
オンライン薬剤管理指導 在宅患者オンライン薬剤管理指導料:59点
在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料:59点
服薬管理指導料4(情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合)
イ:45点
ロ:59点
ハ:59点
ニ:59点

参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省

 

3.在宅患者訪問薬剤管理指導料の点数

在宅患者訪問薬剤管理指導料1・2・3の点数は、以下のとおりです。

 

■在宅患者訪問薬剤管理指導料の区分と算定点数
区分 患者数 算定点数
在宅患者訪問薬剤管理指導料1 単一建物診療患者数1人 650点
在宅患者訪問薬剤管理指導料2 単一建物診療患者数2~9人 320点
在宅患者訪問薬剤管理指導料3 単一建物診療患者数10人以上 290点

参考:調剤報酬点数表|厚生労働省

4.在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件

在宅患者訪問薬剤管理指導料の主な算定要件は、以下のとおりです。

 

■在宅患者訪問薬剤管理指導料の主な算定要件
対象患者 ● 通院が困難で、在宅で療養している患者さん
● 以下の患者さんには安易に算定してはならない
 ○ 継続的な訪問薬剤管理指導の必要がない患者さん
 ○ 通院が可能な患者さん
算定回数 ● 在宅患者訪問薬剤管理指導料1・2・3と服薬管理指導料4のロを合わせて、患者さん1人あたり月4回まで、薬剤師1人につき週40回まで
● 以下の患者さんについては、週2回かつ月8回まで算定可
 ○ 末期の悪性腫瘍の患者さん
 ○ 注射による麻薬の投与が必要な患者さん
 ○ 中心静脈栄養法の対象患者さん
● 上記の患者さん以外は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を月2回以上算定する場合、算定回数は週1回を限度とすること
実施期間 ● 患者さんの同意を得た上で調剤した薬剤の服用期間内に実施
● 未調剤の月に実施した場合は、以下を調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること
 ○ 調剤年月日
 ○ 投薬日数
説明・文書の交付 原則として初回の訪問薬剤管理指導時に(変更があった場合はその都度)、以下について患者さんや家族へ説明・文書で交付
 
● 在宅基幹薬局の薬剤師と連絡が取れる連絡先電話番号
● 緊急時の注意事項
● 在宅協力薬局と休日および夜間を含む開局時間外の対応体制を整備している場合は、在宅協力薬局の所在地、名称・連絡先電話番号 など
 
また、やむを得ない事由により、患者さんやその家族などからの問い合わせに応じることができなかった場合は、速やかに折り返しの連絡を行うこと
対応できる薬局・薬剤師 あらかじめ、以下について地方厚生(支)局長に届け出ている薬局の薬剤師
 
 ● 名称
 ● 所在地
 ● 開設者の氏名
 ● 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨
薬学的管理指導計画 (ア)「薬学的管理指導計画」は、処方医から提供された診療状況を示す文書などに基づき、または必要に応じて処方医との相談や医療関係職種との情報共有を行い、患者さんの特性や処方薬剤を踏まえて策定し、薬剤の管理方法、薬剤特性を確認した上で以下を記載すること
 ● 実施すべき指導の内容
 ● 訪問回数、訪問間隔 など
(イ)策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴等に添付するなどの方法で保存すること
(ウ)薬学的管理指導計画は、原則として患家への訪問前に策定すること
(エ)訪問後、必要に応じて計画の見直しを実施すること
(オ)薬学的管理指導計画は少なくとも月1回は見直しを行う他、処方薬剤の変更時や他職種からの情報提供を受けた場合も適宜見直しを実施すること
 
また、在宅療養を担う医療機関の担当医と連携する他の医師については、担当医に確認後に連携医師の氏名・医療機関名を記載すること
指導内容 患家で以下の薬学的管理指導を実施すること
 ● 薬歴管理
 ● 服薬指導
 ● 服薬支援
 ● 薬剤服用状況
 ● 薬剤保管状況
 ● 残薬の有無の確認 など
情報提供 ● 医師への情報提供
 ○ 文書で実施
 ○ 在宅療養を担う医療機関の担当医と連携する他の医師の求めにより、患家で薬学的管理指導を行った場合は、両方の医師に文書で情報提供を実施
● その他への情報提供
 ○ 必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、訪問薬剤管理指導の結果や療養上の留意点を情報提供
単一建物診療患者の人数 ● 「単一建物診療患者の人数」とは、同じ建物内で当該薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者さんの人数のことで、人数に合わせて算定区分を選択
● ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所は、各ユニットの在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する人数をカウントすること
● 以下の場合は「単一建物診療患者が1人の場合」として算定すること
 ○ 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する患者さんの人数が建築物の戸数の10%以下
 ○ 建築物の戸数が20戸未満で、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する患者さんが2人以下
 ○ 一つの患家に算定対象となる同居する同一世帯の患者さんが2人以上
薬歴等への記録 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴等に薬学管理料の通則(4)に加え、少なくとも以下の記載事項が必要
(ア)訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
(イ)処方医から提供された情報の要点
(ウ)訪問に際して実施した以下の薬学的管理指導の内容
 ● 薬剤の保管状況
 ● 服薬状況
 ● 残薬の状況
 ● 投薬後の併用薬剤
 ● 投薬後の併診
 ● 患者さんの服薬中の体調変化(副作用が疑われる症状など)
 ● 重複服用・相互作用などに関する確認
 ● 実施した服薬支援措置 など
(エ)処方医に情報提供した内容の要点
(オ)処方医以外の医療関係職種からの情報と提供した情報の要点
(カ)在宅協力薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合の規定事項
在宅協力薬局との連携 ● あらかじめ以下について患者さんや家族などの同意を得ている場合、在宅協力薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定可能
 ○ 薬学的管理指導計画の内容を共有していること
 ○ 緊急その他やむを得ない事由がある場合に在宅基幹薬局の薬剤師に代わって訪問薬剤管理指導を実施すること
 ※訪問薬剤管理指導に係る費用については、在宅基幹薬局と在宅協力薬局の合議
● 薬剤服用歴などを記載し、在宅基幹薬局と内容を共有
 ※医師への情報共有は在宅基幹薬局が実施
● 調剤報酬明細書に在宅協力薬局の名称と訪問薬剤管理指導を行った日付を記載
● 在宅協力薬局が処方箋の受け付け・調剤・指導を実施した場合、以下のとおり算定すること
 ○ 在宅協力薬局:調剤技術料・薬剤料 など
 ○ 在宅基幹薬局:在宅患者訪問薬剤管理指導料
 ※調剤報酬明細書には在宅協力薬局が処方箋を受け付けた旨を記載

参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

 

4-1.在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定できないケース

在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定できないケースには、以下のようなものがあります。

 

算定不可 ● 特別調剤基本料Bを算定している薬局
● 患家と薬局の距離が16キロメートル超(特殊な事情を除く)
同一月の算定不可 ● 服薬管理指導料1・2・3(薬学的管理指導計画に係る疾病以外の疾病や負傷に関する臨時処方を除く)
● 外来服薬支援料1
● 服薬情報等提供料1・2・3
対象外の患者さん ● 居宅療養管理指導費を算定する患者さん
● 他医療機関や他薬局がすでに訪問薬剤管理指導を実施する患者さん
● 医師もしくは薬剤師の配置が義務付けられている医療機関・施設や、介護老人保健施設で療養している患者さん
 ※ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付(医療)の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)などに規定する場合を除く

参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

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4-2.在宅患者訪問薬剤管理指導料の加算

在宅患者訪問薬剤管理指導料には、以下の加算があります。それぞれの点数は、以下のとおりです。

 

加算 点数
麻薬管理指導加算 100点
在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算 250点
乳幼児加算 100点
小児特定加算 450点
在宅中心静脈栄養法加算 150点

参考:調剤報酬点数表|厚生労働省

 





5.在宅患者訪問薬剤管理指導料の届出

在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、地方厚生(支)局長に在宅患者訪問薬剤管理指導を行うことを届け出る必要があります。在宅患者訪問薬剤管理指導料に係る届出書(別紙様式3)を提出しましょう。
 
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

6.在宅患者訪問薬剤管理指導料のレセプト摘要欄への記載事項

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、算定する状況によってレセプト摘要欄への記載事項が異なります。

 

6-1.単一建物診療患者さんが2人以上の場合

単一建物(同じ建物)で診療を受ける患者さんが2人以上いる場合は、人数とともに、建物の状況についてのレセプトコメントを記載します。

 

システム用コード レセプト表示文言
842100071 単一建物診療患者人数(在宅患者訪問薬剤管理指導料);******
820100103 同居する同一世帯の患者さんが2人以上
820100371 訪問薬剤管理指導を行う患者数が当該建築物の戸数の10%以下
820100372 当該建築物戸数が20戸未満で訪問薬剤管理指導を行う患者さんが2人以下
820100094 ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所

 

6-2.調剤を行っていない月に算定した場合

調剤を行っていない月に算定した場合は、情報提供または訪問の対象となる調剤について記載します。

 

システム用コード レセプト表示文言
基本料・薬学管理料レコード
「前回調剤年月日」
(元号)yy“年”mm“月”dd“日調剤”
基本料・薬学管理料レコード
「前回調剤数量」
ddd”日分投薬”

 

6-3.特別養護老人ホームに入所している末期の悪性腫瘍患者さんに対して実施した場合

特別養護老人ホームに入所している末期の悪性腫瘍の患者さんについては、訪問薬剤管理指導等を実施した日付を記載します。

 

システム用コード レセプト表示文言
850190257 (特養のがん末期の患者)訪問指導年月日(在宅患者訪問薬剤管理指導料);
(元号)yy“年”mm“月”dd“日”

 

6-4.在宅協力薬局が実施した場合

在宅協力薬局が実施した場合は、在宅基幹薬局と在宅協力薬局でレセプト請求が異なります。

 

薬局 システム用コード レセプト表示文言
在宅基幹薬局 850100379 (在宅基幹薬局)実施年月日(在宅患者訪問薬剤管理指導料);(元号)yy“年”mm“月”dd“日”
830100448 (在宅基幹薬局)在宅協力薬局名(在宅患者訪問薬剤管理指導料);******
在宅協力薬局 850100381 (在宅協力薬局)実施年月日(在宅患者訪問薬剤管理指導料);(元号)yy“年”mm“月”dd“日”

参考:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について|厚生労働省

7.在宅患者訪問薬剤管理指導料に関するQ&A

続いて、在宅患者訪問薬剤管理指導料に関するQ&Aを紹介します。

 

7-1.担当医と連携する医師から訪問指示があった場合はどうする?

担当医に加え、連携する医師にも必要な情報提供を文書で行う必要があります。また、連携する医師については、担当医に確認し、薬学的管理指導計画書などにその医師の氏名と医療機関名を記載することとされています。
 
なお、担当医への確認は、患者さんへ薬学的管理指導を実施した後に担当医へ情報提供を行う際でよいとされています。
 
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)令和4年3月31日|厚生労働省

 

7-2.医師の指示と認められるものは?

医師による訪問指示は、処方箋や診療情報提供書(メールやFAXなど)に記載されている「要訪問」「訪問指導を行うこと」といったものが該当します。
 
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)令和4年3月31日|厚生労働省
 
基本的には文書による指示であることとされていますが、疑義照会の際に指示されるケースもあるため、口頭指示によるものも認められています。口頭指示の場合は、処方箋や薬歴などに指示内容を記録しておきましょう。
 
参考:保険調剤Q&A 令和8年版 Q180|じほう

 

7-3.在宅協力薬局になるための主な要件は?

在宅協力薬局になるための主な要件は、以下のとおりです。

 

● 地方厚生(支)局長への届出
● 患家からの距離が16キロメートル以内(特殊な事情を除く)
● 麻薬小売業の免許(医療用麻薬を扱う場合)

参考:疑義解釈資料の送付について(その1)平成24年3月30日|厚生労働省

 

ただし、在宅患者緊急時等共同指導料、退院時共同指導料については、在宅協力薬局による実施が認められていません。
 
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)平成24年4月20日|厚生労働省

8.在宅医療に関する知識を身に付けよう

在宅医療に携わる薬局は、在宅患者訪問薬剤管理指導料などの在宅医療に関わる診療報酬や介護報酬について理解を深め、より質の高いサービスを提供することが大切です。積極的に地域医療に貢献し、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を送れるようサポートできる薬剤師を目指しましょう。

 

患者さんへの対応から
実務に役立つ知識まで
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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。