薬学生のためのお役立ちコンテンツ 公開日:2023.08.31 薬学生のためのお役立ちコンテンツ

薬学部の学費はどのくらい? 国公私立大学の学費一覧・特待生制度・奨学金制度について解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬学部を目指す学生にとって、年間にどのくらい学費がかかるのかは大学選びで重要なポイントの一つになるでしょう。薬学部の学費は、私立大学で年間200万円程度かかるといわれていますが、実際には、大学によって大きな差があります。今回は、全国にある薬学部の学費を紹介するとともに、学費のサポートに役立つ特待生制度や奨学金制度について詳しく解説します。

1.薬学部の学費はなぜ高い?

薬学部の学費は、文系大学や他の学部に比べて高くなりやすい傾向にあります。理由の一つとして、通学期間が長いことが挙げられるでしょう。薬剤師免許を取得するには、6年間、大学に通わなければなりません。4年制大学では薬剤師免許の取得につながらず、6年制大学は、一般より、2年間分多く学費が発生します。その分、どうしても費用がかかりやすくなってしまうのです。

また、理系学部に共通することではありますが、薬学部では座学による講義以外に、実験や実習の授業があります。化学実験や動物実験を行うための設備費や、病院や薬局で実習を行うための実習費がかかる点も、他学部との違いといえるでしょう。

2.薬学部の学費を大学別に紹介

文部科学省のホームページによると、2023年8月時点で、薬学部のある大学は、国立大学が14校、公立大学が5校、私立大学が60校でした。参考として、2021年(令和3年)度のそれぞれの入学料や1年間の授業料を見てみましょう。
 
参考:薬学部における修学状況等|文部科学省

 

2-1.国立大学薬学部の学費

2021年度における国立大学の入学料は28万2,000円、年間授業料は53万5,800円でした。国立大学の入学料と授業料は共通しているため、どの大学に行っても、大きな違いはないでしょう。ただし、授業料以外にも、通学費や1人暮らしをする場合の生活費、教科書代などが必要になる点は念頭に置いておきましょう。
 
参考:(参考2)国公私立大学の授業料等の推移|文部科学省
※各大学の公式サイトも必ず併せてご確認ください。

 

2-2.公立大学薬学部の学費

公立大学の入学料は住まいの住所地によって異なります。入学料は大学によって異なるものの、授業料は一律で前期、後期ともに、26万7900円でした。(2023年8月時点)

 

■公立大学薬学部の学費

大学 住まい 入学料 授業料
前半 後半
岐阜薬科大学 市内 28万2,000円 26万7,900円 26万7,900円
市外 50万4,000円
静岡県立大学 県内 14万1,000円
県外 36万6,600円
名古屋市立大学 市内 23万2,000円
市外 33万2,000円
和歌山県立医科大学(2021年度開設) 県内 28万2,000円 53万5,800円(年額)
県外 56万4,000円
山陽小野田市立山口東京理科大学(2018年度開設) 市内 14万1,000円 53万5,800円(年額)
市外 28万2,000円

※掲載内容は2023年8月時点の情報です。各大学の公式サイトを必ず併せてご確認ください。

 

2-3.私立大学薬学部の学費

続いて、2021年度における私立大学の1年次にかかる学費を一覧にまとめました(2022年9月時点)

 

■私立大学薬学部の学費

大学名 入学金 授業料 諸経費込み初年度学費
前半 後半
北海道医療大学 30万円 65万円 95万円 198万404円
北海道科学大学 20万円 77万5,000円 77万5,000円 161万2,300円
青森大学 20万円 65万円 65万円 197万6,840円
岩手医科大学 35万円 65万円 65万円 217万5,000円
東北医科薬科大学 40万円 65万円 65万円 222万5,000円
医療創生大学 40万円 65万円 65万円 221万7,000円
奥羽大学 20万円 95万円 75万円 183万5,700円
国際医療福祉大学 30万円 110万円/年 175万円
国際医療福祉大学福岡薬学部(2020年度開設) 30万円 55万円 55万円 175万円
高崎健康福祉大学 25万円 55万円 55万円 214万1,840円
城西大学薬学部薬学科 30万円 73万円 73万円 233万4,000円
日本薬科大学 230万円(入学金と1年次の授業料の合計) 231万5,000円
城西国際大学 40万円 71万5,000円 71万5,000円 209万3,000円
千葉科学大学 30万円 61万円 61万円 219万5,000円
帝京平成大学 35万円 67万5,000円 67万5,000円 238万4,700円
東京理科大学薬学科 30万円 149万5,000円/年 234万5,000円
東邦大学 40万円 56万円 56万円 233万1,840円
日本大学 40万円 70万円 70万円 250万円
北里大学 40万円 110万円/年 235万円
慶應義塾大学薬学部薬学科 20万円 174万円/年 252万3,350円
昭和大学 60万円 70万円 70万円 206万9,000円
昭和薬科大学 35万円 69万円 69万円 237万3640円
東京薬科大学 40万円 67万円 67万円 238万9,000円
星薬科大学薬学科 40万円 65万円 65万円 240万1,850円
武蔵野大学 18万円 72万1,000円 72万1,000円 212万2,600円
明治薬科大学薬学科 40万円 67万円 67万円 232万7,500円
帝京大学 36万8,000円 147万円/年 250万3,000円
横浜薬科大学 漢方薬学科・臨床薬学科・健康薬学科の一般学生 40万円 190万円/年 236万2,000円
湘南医療大学(2021年度開設) 33万円 72万5,000円 72万5,000円 228万円
岐阜医療科学大学(2020年度開設) 20万円 50万円 50万円 206万2,000円
新潟薬科大学 30万円 60万円 60万円 242万490円
北陸大学 20万円 72万5,000円 72万5,000円 219万5,000円
愛知学院大学 20万円 70万円 70万円 235万9,000円
金城学院大学 20万円 160万円/年 258万7,300円
名城大学 20万円 69万円 69万円 210万円
鈴鹿医療科学大学 20万円 93万円 93万円 219万4,800円
京都薬科大学 40万円 90万円 90万円 226万5,000円
同志社女子大学 26万円 87万円 87万円 225万7,000円
立命館大学薬学部薬学科 20万円 99万8,400円 119万8,400円 241万9,800円
大阪大谷大学 40万円 70万5,000円 70万5,000円 222万4,000円
大阪医科薬科大学  40万円 60万円 60万円 224万4,000円
近畿大学薬学部医療薬学科 25万円 102万6,000円 102万6,000円 230万8,500円
摂南大学 45万円 88万円 88万円 232万5,000円
神戸学院大学 40万円 69万7,500円 69万7,500円 226万7,700円
神戸薬科大学 40万円 90万円 90万円 220万円
兵庫医科大学 20万円 150万円/年 212万5,000円
姫路獨協大学 30万円 140万円/年 217万4,700円
武庫川女子大学 薬学部薬学科 20万円  75万1,000円 75万円1,000円 207万8,700円
就実大学 27万円 76万5,000円 76万5,000円 225万円
広島国際大学 25万円 86万円 86万円 208万6,000円
福山大学 20万円 93万円 93万円 208万5,000円
安田女子大学 10万円 82万円 82万円 196万9,000円
徳島文理大学 40万円 56万円 56万円 227万円
徳島文理大学香川薬学部 40万円 56万円 56万円 227万円
松山大学 20万円 70万円 70万円 204万6,840円
第一薬科大学薬学部薬学科・漢方薬学科 30万円 70万円 70万円 190万円
福岡大学 40万円 67万5,000円 67万5,000円 206万6,710円
長崎国際大学 25万円 120万円/年  199万6,840円
崇城大学 40万円 155万円/年 195万円
九州保健福祉大学薬学部薬学科 30万円 57万5,000円 57万5,000円 180万円

※掲載内容は2023年8月時点の情報です。最新の情報は各大学の公式サイトをご確認ください。

 

後援会費や学友会費などの諸経費をホームページに掲載していない大学については、上記の年間学費に諸経費を含めていません。また、諸経費の見直しや消費税の増税などにより、年度ごとに学費が変わることもあります。

3.薬学部の学費が免除になる特待生制度とは

特待生制度とは、成績が優秀な学生を対象に、学費や入学金などを大学側が免除したり減免したりする制度のことです。大学によって、資格特待生制度や特別給付奨学金制度、給付型奨学金制度といった呼び方があり、減免される金額や選抜の条件等は異なります。
 
一般的に、特待生の選抜は、入学試験での成績で選ぶケースや在学中の試験で選ぶケースなどが見られます。入学試験の方式は、公募推薦、センター試験、一般試験と大学によってさまざまです。また、特待生制度の選抜にエントリーが必要なケースもあるようです。そのため、入学試験時に特待生を選ぶケースでは、どの試験方式で選抜されるのか、エントリーの有無などを確認する必要があるでしょう。

入学試験時に特待生を選ぶ薬学部は、それほど多くないかもしれません。入学後2年生以降については、成績が優秀な学生に対して特待生制度を設けている薬学部もあります。多くの場合、数名の学生に対して授業料の全額もしくは半額免除をしています。特待生制度の詳しい内容は、大学のホームページなどで確認しましょう。

 
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4.薬学部の学費をサポートする奨学金制度とは

薬学部の学費をサポートする奨学金制度には、大学が設けている制度の他、日本学生支援機構や民間団体などが設けている制度があります。また、奨学金制度には、給付型と貸与型の2種類があり、給付型は返済の義務がなく、貸与型は卒業後、全額返還する仕組みとなっています。代表的な奨学金制度の特徴について解説しましょう。

 

4-1.日本学生支援機構の奨学金制度

日本学生支援機構の奨学金制度は、給付型と貸与型の2種類があります。返済不要な給付型の奨学金は、国公立または私立、自宅通学または自宅外通学、世帯の所得金額によって月額が異なります。例えば、国立大学へ自宅から通学する第1区分の世帯の場合、月額2万9200円です。一方、私立大学へ自宅外から通学する第1区分の世帯の場合は、月額7万5800円となっています。

返済が必要な貸与型の奨学金は、無利子の第一種と有利子の第二種があり、併用することが可能です。また、入学時特別増額貸与奨学金があり、初年度の学費を補填する目的で貸与する奨学金もあります。第一種は、国公立または私立、自宅通学または自宅外通学によって月額が決められていますが、第二種は細かな区分は設定されておらず、大学であれば月額2万円~12万円から選択でき、薬学部の場合は14万円まで増額が可能です。

 

4-2.大学が設ける奨学金制度の例

大学が設けている奨学金制度の一例として、慶應義塾大学のケースを見てみましょう。
複数の学部がある慶應義塾大学は、各学部生が利用できる奨学金制度がありますが、それとは別に薬学部・薬学研究科に在籍する学生だけを対象とした給付型の奨学金制度を設けています。薬学部に通う2年生以上の学生と大学院に通う学生が対象となっており、年額10万円~20万円給付されています。月額にすると2万円以下であり、学費を奨学金でどのくらい賄いたいのかによって、選択する奨学金制度は異なるでしょう。

 
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5.薬学部の学費が払えないときはどうする?

薬学部卒業までにかかる学費を払える見込みがなく、入学をあきらめなければならないことがあるかもしれません。そういったときは、まず入学試験の成績が、特待生制度に取り入れられる大学を選んでみてはいかがでしょうか。成績が優秀であれば、1年生の学費が免除される可能性があります。

また、入学時に日本学生支援機構の奨学金制度を申し込むのも一つの方法です。有利子貸与を選ぶと月額14万円まで貸与できるため、学費の半額以上をカバーできます。日本学生支援機構の奨学金制度は、しっかりと学業に専念することで卒業まで貸与されます。授業の出席率が悪かったり、留年したりするようなことがあると、奨学金生としての資格を失う可能性があるため、勉学に励むことが大切です。

 
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6.薬学部の学費が心配なときは周囲に相談を

私立大学の場合、薬学部の学費は年間200万円~250万円ほどかかります。高額な学費のため、6年間通いきれるのか心配になる人がいるかもしれません。経済的な理由で、薬学部の入学をあきらめたり、中退を考えたりする前に、特待生制度や奨学金制度の利用を検討してみるとよいでしょう。特待生制度は成績が優秀な人しか利用できませんが、奨学金制度であればハードルは下がります。大学の学生部などでも相談できるので、一人で悩まず、薬剤師になるための行動を起こしましょう。

 
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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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