薬学生のためのお役立ちコンテンツ 公開日:2023.12.25更新日:2024.02.28 薬学生のためのお役立ちコンテンツ

薬剤師国家試験の勉強法は?効率的な時間の使い方やスケジュールを解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

2024年「第109回薬剤師国家試験」については、マイナビ薬剤師の国家試験概要ページで詳しい情報を紹介しています!

 

薬学部に通う学生の中には、国家試験の勉強法が分からないと悩んでいる人もいるかもしれません。薬剤師国家試験に合格するためには、試験範囲や出題問題、合格基準を把握したうえで、どのように勉強していくのか戦略を立てることが大切です。今回は、国家試験の概要を解説するとともに、勉強する際のポイントや注意点についてお伝えします。

1.薬剤師国家試験とは

試験対策として、まず薬剤師国家試験の概要を理解しておくことが重要です。試験科目や出題問題、範囲、合格基準などを把握することが合格に向けての第一歩となります。まずは、試験科目について見てみましょう。
 
薬剤師国家試験の科目は、「薬剤師法施行規則」の規定によって、以下のように定められています。
 
参照:薬剤師法施行規則|e-Gov法令検索

 

● 物理・化学・生物
● 衛生
● 薬理
● 薬剤
● 病態・薬物治療
● 法規・制度・倫理
● 実務

 

それぞれ出題される問題数や、必須問題と一般問題の割合が異なります。続けて、出題問題や合格基準について詳しく解説するとともに、過去の合格者数と合格率についてお伝えします。

 
🔽 2024年「第109回薬剤師国家試験」について詳しく解説した記事はこちら

 

1-1.出題問題

薬剤師国家試験の出題基準については、「改訂モデル・コアカリキュラム」を基本として策定され、試験科目ごとに出題するうえでの考え方や項目が細かく決められています。
 
参照:改訂モデル・コアカリキュラム|厚生労働省
 
また、出題問題は、必須問題と一般問題の2つに分かれており、そのうち一般問題は「薬学理論問題」と「薬学実践問題」に区分されています。

 

科目 必須問題 一般問題
総数 薬学理論問題 薬学実践問題
物理、化学、生物 15問 45問 30問 15問
(複合問題)
衛生 10問 30問 20問 10問
(複合問題)
薬理 15問 25問 15問 10問
(複合問題)
薬剤 15問 25問 15問 10問
(複合問題)
病態、薬物治療 15問 25問 15問 10問
(複合問題)
法規、制度、倫理 10問 20問 10問 10問
(複合問題)
実務 10問 85問 20問+65問
(複合問題)
出題総数 90問 255問 105問 150問

 

薬剤師国家試験では、「過去に出題された問題のうち、薬剤師に必要な資質を確認するのに適した良質な問題を活用すること」とされています。過去問から20%程度出題されるので、薬剤師国家試験に合格するために、必ず過去問を確認しておきましょう

 
▶ 薬剤師国家試験の過去問はこちら

 

1-2.合格基準

薬剤師国家試験については、以下のように合格基準が定められています。

 

● 問題の難易を補正して得た総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上であること。
● 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること。

 

上述した2点に加え、禁忌肢の選択状況を踏まえて合格の可否が判断されます。禁忌肢とは、「薬剤師には、医療人としての高い倫理観と使命感が求められることにかんがみ、薬剤師として選択すべきでない選択肢」のことです。
 
なお、第108回薬剤師国家試験(2023年)では、以下のような合格基準でした。

 

● 全問題の得点が470点以上
● 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上
● 禁忌肢問題選択数は2問以下

 

参照:第108回薬剤師国家試験合格基準及び正答について|厚生労働省
 
薬剤師国家試験の合格点は、その年の平均点や標準偏差で決められるため、試験ごとに基準となる合格点が異なります。過去の合格基準はあくまで参考であることを、念頭に置いておく必要があるでしょう。

 
🔽 薬剤師国家試験の合格基準について詳しく解説した記事はこちら

 

1-3.過去の合格者数や合格率

2012年に実施された第97回薬剤師国家試験は、薬学部の6年制に入学した学生が初めて国家試験を受験した年です。以降の合格者を見ると、第97回から第101回までは、合格者数が約7,300~11,500人、合格率が約60~88%とばらつきがありました。しかし、第102回以降は、合格者が10,000人前後、合格率が70%前後と比較的安定した合格水準となっています。

 
🔽 薬剤師国家試験の合格率について詳しく解説した記事はこちら

 
🔽 2023年「第108回薬剤師国家試験」の結果について詳しく解説した記事はこちら

2.薬剤師国家試験の勉強のポイントや注意点

薬剤師国家試験の出題問題や合格基準を知ると、膨大な試験範囲を満遍なく勉強する必要があることが分かります。合格を目指して効率的かつ確実に知識を積み上げるには、過去問をしっかりと丁寧に解くことが大切です。
 
ただし、過去問を古い方から順に解くだけでは、薬剤師国家試験に合格するのは難しいかもしれません。ここでは、試験勉強のポイントと注意点についてお伝えします。

 

2-1.勉強する順番を決めてスケジュールを立てる

勉強を始める前に、学習スケジュールを立てつつ、参考書や問題集をそろえておきましょう。事前にしっかりと準備をしておくと、試験勉強が効率よく進められます。
 
勉強する順番やスケジュールについては、出題問題の傾向をもとに、出題数の多い分野から始めて、関連する分野へと勉強を進めていくのがおすすめです。例えば、「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」で出題される内容は相互に関連することに加え、薬剤師として医療現場で働くうえで必要な知識となります。「実務」にもつながる内容となるため、関連付けて勉強できるように計画を立てるとよいでしょう。

 

また、国家試験の勉強をするために、多くの薬学生の間で活用されているのが、薬学ゼミナールが発行する「青本」や「青問」などです。
 
ほかにも、試験勉強によく使われるゴロ本の「イラスト付ゴロで攻略!薬剤師国家試験頻出333」や、必須問題の対策を行う「徹底攻略1200薬ゼミの必須対策問題集」などの活用もおすすめです。
 
参照:国試対策参考書・問題集|薬学ゼミナール

 

2-2.過去問を1回解いて終わりにしない

前述したとおり、薬剤師国家試験に出題される問題の20%程度は過去問から出題されます。確実に点数が取れるように、過去問は1回解いたら終わりにせず、繰り返し何度も解き直して、定着させることが大切です
 
また、ある程度、過去問の傾向や問題内容を覚えておくとよいでしょう。実際の受験時に見覚えのある問題があると、気持ちも落ち着きます。
 
すべての過去問を丸暗記する必要はありませんが、一度は目を通しておくと、実際の試験で点数を積み重ねられる可能性が高まるうえに、精神的にも安心材料になります。

 

2-3.自分の苦手分野を把握し、得意分野と関連付けて覚えていく

自身の苦手分野は、覚えたり理解したりするのに時間がかかるかもしれません。そのため、なかなか勉強が進まないこともあるでしょう。そんな時は、得意分野や好きな分野とのつながりを意識して、学びを深めてみましょう
 
国家試験を勉強するうえで大切なのは、異なる分野を関連付けて学ぶことです。薬剤師国家試験は、試験科目が7つありますが、それぞれがまったく異なる内容ではありません。
 
7科目の内容は、相互に関連付けられているため、勉強する際はそのつながりを意識することで、理解を深めることができます。

 

2-4.分からないままにしない

過去問をたくさん解くことは大切ですが、正解か間違いかを確認するだけでは不十分です。不正解だったものについては、間違った原因を掘り下げ、どのような知識が不足しているのかを確認することが大切です
 
問題集には解説が記載されていますが、自身の基礎知識レベルによっては、回答や解説を読むだけで理解できるとは限りません。自身の理解度に合わせて、より深く参考書を読み込むようにしましょう。
 
とはいえ、参考書を読むだけでは、十分に理解できなかったり、流し読みをしてしまったりする可能性もあります。マーカーでチェックしたり、ノートにまとめたりするなど自分に合った勉強法で取り組むことが大切です。

 

2-5.インプットとアウトプットの時間配分を意識する

薬剤師国家試験の勉強法は、大きく「参考書を読む」「過去問を解く」の2つに分かれます。「参考書を読む」はインプット、「過去問を解く」はアウトプットです。インプットだけでは知識が身についたか確認することができません。アウトプットだけでは、さらに知識を蓄積するのが難しいでしょう。
 
薬剤師になるための知識を確実に身につけるためには、インプットとアウトプットの両方をバランスよく行うことが重要です。
 
「参考書を読んだ範囲について過去問を解く」または「過去問を解いた範囲の参考書を読む」を繰り返し行うことで、深く理解でき、知識を身につけられるでしょう。

 

2-6.自作ノートやSNSを活用して隙間時間に勉強する

参考書の内容をまとめるのが得意な人は、自作ノートを隙間時間に見直すことで、知識の定着が期待できます。また、薬学生や薬剤師のなかには、自身がまとめたノートをInstagram(インスタグラム)で公開したり、過去問を解説する記事をブログに書き込んだりする人がいます。
 
そうしたネット上の情報は、電車の移動時間などにスマートフォンで簡単に見て学ぶことができるため、隙間時間を活用したい人におすすめの勉強法です。
 
ただし、あくまで個人が発信する情報であり、中には正確でない情報が含まれる可能性があることも考慮しておきましょう

 

2-7.大学や予備校などの模擬試験を受ける

模擬試験を受けて、自分の現状での理解度を確認することも大切です。大学や予備校が実施する模擬試験の結果から、自身の強みと弱みを見つけて勉強に生かしましょう。
 
ただし、予備校に通わない既卒生は、自身の現状での理解度を確認するのが難しいかもしれません。薬学ゼミナールでは、既卒生を対象とした模擬試験を開催しています。そうした機会を活用し、定期的に実力を確認するとよいでしょう。
 
参照:全国統一模擬試験|薬学ゼミナール

 

2-8.リフレッシュや休息をとる時間を作る

国家試験が近づいてくると、1日10時間前後の勉強が続くこともあるでしょう。そうした日々が続くと、集中力が途切れやすくなったり、勉強疲れによって積極的に取り組めなかったりすることがあります。
 
リフレッシュや休息する時間を確保しながら、前向きに勉強に取り組めるように心がけましょう

 
🔽 薬剤師の勉強法について詳しく解説した記事はこちら

 

3.薬剤師国家試験までのスケジュール

薬剤師の国家試験対策は、1年程度の期間が必要と考えておきましょう。遅くても6年生の4月頃から始めるのがおすすめです。
 
また、薬剤師国家試験に合格するには、9月までにある程度の基礎知識を身につけておきましょう。
 
一般的には9月頃から本番までの間に、卒業試験や模擬試験が2~3回行われる傾向にあるため、まずは9月に行われる模擬試験などに向けて基礎力を強化する計画を立ててはいかがでしょうか。

 

4.効率的な勉強法で薬剤師国家試験に合格しよう

薬剤師国家試験の勉強法は、人によってさまざまです。暗記をするにしても、書いて覚える人、ノートにまとめて覚える人、見て覚える人、声に出して覚える人といろいろな選択肢があるでしょう。
 
どのような方法であっても、国家試験合格を目指すために大切なのは、スケジュール管理と勉強する分野の順番を決めることです。この2つを踏まえたうえで自身に合った勉強法を選び、理解を深めていきましょう。

 
🔽 薬剤師になる方法について詳しく解説した記事はこちら


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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