2022年度の診療報酬改定で、後発医薬品調剤体制加算の算定基準や算定点数が見直されました。今回は、後発医薬品調剤体制加算の算定要件や施設基準を解説するとともに、後発医薬品の使用割合やカットオフ値の計算方法をお伝えします。さらに、後発医薬品の供給停止や出荷調整が行われている背景や後発医薬品の使用割合についての臨時的な取り扱いについて解説します。
1.後発医薬品調剤体制加算とは
後発医薬品調剤体制加算とは、後発医薬品の使用割合によって加算できる調剤技術料です。3区分に分かれており、後発医薬品の使用割合が高い薬局ほど高い点数が加算できるようになっています。ここでは、後発医薬品の普及による効果と、政府が目標としている後発医薬品使用割合について確認しておきましょう。
1-1.後発医薬品の普及による効果
後発医薬品の使用が普及すると、医療費削減や患者負担の軽減が期待されています。後発医薬品は、先発医薬品と同等の効果があると認められた医薬品です。先発品と比較すると研究開発費が抑えられている分、低い薬価となっています。そのため、後発医薬品が普及すると、先発医薬品よりも薬剤費を抑えられることから、患者負担の軽減や国民医療費の削減につながると考えられます。
1-2.政府が目標とする後発医薬品の使用割合
厚生労働省は、2013年4月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し、2017年では後発医薬品の使用割合を70%以上、2020年9月までに80%以上とする目標を定めています。さらに、2021年6月の閣議決定において、「後発医薬品の品質および安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」とする新たな目標が定められました。

2021年9月時点の後発医薬品の使用割合は79.0%。目標達成まであと一歩となっていますが、この目標を達成した後は、さらに高い目標が設定される可能性があります。今後も薬剤師や薬局は後発医薬品の普及に尽力することになるでしょう。
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2.後発医薬品調剤体制加算の算定要件
後発医薬品調剤体制加算は2022年の診療報酬改定で算定要件が見直されました。また、特別調剤基本料を算定する薬局の後発医薬品調剤体制加算が減算されたり、後発医薬品の使用割合が低い薬局の調剤基本料が減算されたりと、後発医薬品に関わる減算要件が新たに加わっています。
2-1.2022年度診療報酬改定の変更点
後発医薬品調剤体制加算は、後発医薬品の使用割合の基準と算定点数が見直されています。

後発医薬品の使用割合が、各加算で5%ずつ引き上げられており、各点数も加算1、2が6点、加算3が2点プラスされています。
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2-2.後発医薬品に関わる減算要件
医療機関の敷地内薬局など、特別調剤基本料を算定する薬局は、後発医薬品調剤体制加算が100分の80に相当する点数を算定することになりました。小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定します。

特別調剤基本料を算定する薬局は、以下のように計算できます。
・後発医薬品調剤体制加算2であれば、28点×0.8=22.4→22点
・後発医薬品調剤体制加算3であれば、30点×0.8=24.0→24点
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また、後発医薬品の使用割合が50%以下の薬局は、調剤基本料から5点を減算することとなっています。ただし、以下の要件に当てはまる薬局は対象となりません。
・直近1カ月の間で、変更不可の指示がある処方せんが全体の50%以上の場合
なお、後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局に対する調剤基本料の減算規定については、2022年9月30日までは現在の規定を適用する経過措置が取られています。
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3.後発医薬品調剤体制加算の施設基準
後発医薬品調剤体制加算1、2、3の施設基準は、以下の2つの項目については共通要件となります。
2.後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を当該保険薬局の内側および外側の見えやすい場所に掲示するとともに、後発医薬品調剤体制加算を算定している旨を当該保険薬局の内側の見やすい場所に掲示していること
1は、後発医薬品調剤体制加算を算定する際に必要な届出に記載するカットオフ値を指しています。

上記の要件に加えて、後発医薬品の使用割合が区分ごとに定められています。
・後発医薬品調剤体制加算2は85%以上
・後発医薬品調剤体制加算3は90%以上
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省 地方厚生(支)局
4.後発医薬品調剤体制加算を算定するための届出方法
後発医薬品調剤体制加算を算定するためには、厚生局へ届出を行う必要があります。届出に必要な書類は以下の2つです。
2の届出書添付書類には、後発医薬品の使用割合やカットオフ値を記載しなければなりません。それぞれの計算方法を見ていきましょう。

4-1.後発医薬品使用割合の計算方法
後発医薬品の使用割合に関連する表現については、公式なサイトを含めたさまざまなサイトで、以下のような言葉が用いられており、混乱してしまう人もいることでしょう。
・ジェネリック医薬品の数量シェア率
・後発医薬品の置換率
・規格単位数量の割合
・後発品割合
さらに、後発医薬品使用割合の計算方法は、2013年度を境に変更されているため、旧指標・新指標があります。
・新指標:後発医薬品のある先発医薬品および後発医薬品を分母とした後発医薬品の数量シェア率
参考:「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」における後発医薬品使用割合(参考資料2)|厚生労働省
後発医薬品の使用割合に関連する表現はさまざまですが、2022年度時点で後発医薬品体制加算の届出時に必要なのは、上記の「新指標」です。また、「後発医薬品が存在しない先発品」や「先発医薬品よりも高い薬価の後発医薬品」は、先発医薬品・後発医薬品ともに数量ベースの割合から除外されます。
さらに、数量シェア率を計算する際に以下の医薬品は除外対象となります。
エレンタール配合内用剤、エレンタールP乳幼児用配合内用剤、エンシュア・リキッド、エンシュア・H、ツインラインNF配合経腸用液、ラコールNF配合経腸用液、エネーボ配合経腸用液、ラコール NF 配合経腸用半固形剤およびイノラス配合経腸用液
・特殊ミルク製剤
フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」およびロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合散「雪印」
・生薬(薬効分類番号 510)
・漢方製剤(薬効分類番号 520)
・その他の生薬および漢方処方に基づく医薬品(薬効分類番号 590)
4-2.カットオフ値の計算方法
カットオフ値とは、薬局に在庫を置く全医薬品の規格単位数量を分母とし、後発医薬品がある先発医薬品と後発医薬品の規格単位数量を分子として計算した値です。この値が50%以上であることが、後発医薬品使用体制加算1、2、3を算定するための前提条件となります。
5.後発医薬品不足による患者対応と後発医薬品調剤体制加算への影響
後発医薬品不足は、一部メーカーによる後発医薬品の供給停止を発端に連鎖的に起こってきました。その際、薬局では、出荷停止となった後発医薬品の代替品として、Aメーカーの後発医薬品を入荷するといった対応を行います。

各薬局が一斉に代替品を採用するため、Aメーカーの後発医薬品が品薄となり、Bメーカーのニーズが高まる……といった連鎖が起こり、各メーカーで後発医薬品の出荷調整が行われます。こういった背景から、後発医薬品不足によって、さまざまな影響が出ています。
5-1.患者対応による業務負荷
こうした状況下では、全ての患者さんへ後発医薬品を安定的に調剤できなくなってしまいます。入荷されにくい後発医薬品を採用している薬局では、患者さんへのこまやかな対応が必要です。また、先発医薬品で調剤せざるを得ない患者さんは、医療費の負担が大きくなります。そのため、医療費に関するクレームを訴えたり、後発医薬品を調剤できる他薬局を探したりする患者さんもいることでしょう。理解を得るために患者対応を行うといった業務負荷が少なからずあるのではないでしょうか。
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5-2.後発医薬品調剤体制加算への影響
供給不足によって後発医薬品での調剤ができない場合、先発医薬品で調剤することになり、おのずと先発医薬品の使用割合が高くなってしまいます。そのため、薬局や薬剤師が後発医薬品の普及に尽力していたとしても、後発医薬品調剤体制加算の算定に必要な使用割合を満たせない薬局が出てしまう点は大きな問題点でした。

そこで、厚生労働省は2021年9月21日、2022年3月4日の事務連絡で、2022年4月以降も後発医薬品の入手が難しい薬剤については、後発医薬品の使用割合を算出する際に除外しても差し支えないとしています。ただし、2022年1月から3月までと2022年度4月以降で、対象となる品目が異なっているため、変更点を確認してから後発医薬品の使用割合を算出する必要があります。
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6.後発医薬品の使用促進のために
日本は医療費の増大による医療経済の圧迫が課題となっています。後発医薬品の使用割合を上げることは、医療費削減に貢献するものです。患者さんの中には、後発医薬品の使用に抵抗がある方もいることでしょう。薬剤師はそうした患者さんに対して、後発医薬品は安全性や効果が承認された医薬品であることを丁寧に説明し、納得して服用してもらえるよう対応することが求められています。
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参考URL:
■後発医薬品(ジェネリック医薬品)及びバイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進について |厚生労働省
■特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省 地方厚生(支)局
■薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和5年3月31日まで)|厚生労働省

執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)
薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。