薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2014.09.10 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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「お釣りが足りない」とクレームを受けたら
「お釣りが足りない」とクレームを受けたら

一度薬局を出られた患者さんから「お釣りが足りない」と言われました。ちゃんと渡したはずなので、少し戸惑いながら謝罪したところ、「なんだその態度は!!」と患者さんは激怒。先輩に間に入ってもらい、再度謝罪し差額をお支払いしたところ、納得してお帰りいただいたのですが、どのように対応すべきだったのでしょう。
Answer
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苦情を言ってもらうことで自分が間違っていたことに気づくことも

私は研修や講演などでいつも「クレームは患者さんからの贈り物です」とお伝えしています。クレームを言ってくれるということは、とても親切でありがたいことなのです。皆さん自身も経験があると思いますが、お店の対応で不愉快に思っても多くの場合は何も言わずに流し、以降は別のお店を利用しませんか? このようにお店にとって最も怖いのは「何も言わずに来なくなる」というお客さん。それをわざわざ指摘してくれているのですから、まさに「クレームは贈り物」なのです。
今回のケースで言うなら、お釣りをお渡しするときに患者さんの目の前でお札や小銭を数え、確認する作業を怠っていたのかもしれませんね。それに気づくきっかけとして、クレームを後に活かすことができるかどうかが大切です。

まずは不信感を抱かせてしまったことに謝罪を

対応についてですが、大前提として文句を言うことが心底楽しい人は滅多にいません。また、クレームを言っている間にも時間は経っていきます。患者さんは嫌な思いをしながら、さらに時間をかけてまで薬局の不十分な点を指摘してくれているのです。まずは不信感を抱かせてしまったこと、時間を余計にとらせてしまったことについて、お詫びの気持ちを伝えます。この質問者さんは、「ちゃんと渡したはず」という気持ちが表情や態度に出てしまっていたのかもしれませんね。だからこそ、謝罪の態度が悪いというさらに大きなクレーム=2次クレームにつながってしまったのだと思います。
どんなに注意を払っていてもミスは起こります。患者さんの申し出が本当であっても勘違いであっても、疑問や不満に思わせてしまったことは責任を持って解消しなければいけません。釣銭に対するクレームの場合はすぐにレジを止め、売上金額と釣銭を照らし合わせ、患者さんが納得できる形で説明するという作業が不可欠です。店内が混んでいてすぐに対応することがどうしてもできない場合は、後で照合する旨を必ず伝えます。
ここで一番大切なのは、釣銭が合っているかどうかではなく、患者さんの不安に対してどのような行動を起こすかです。照合の結果、患者さんの勘違いだったことが判明すれば「私のためにここまでやってくれたんだ」と薬局に対する好感度や信頼感が高まるでしょう。また、クレームのときに誠心誠意を込めて接することで、「この薬剤師さんは話を聞いてくれる」と感じてもらえれば、後々話がしやすくなるかもしれません。反対にクレーム応対が悪かったことで患者さんが心を閉ざし、その後のカウンセリングが上手くいかなくなってしまっては元も子もありません。
クレームを受けた際のあなたの態度や行動で、その患者さんとの関係性が変化する。クレームは贈り物であると同時に、大きなチャンスでもあるのです。
クレームは患者さんからの贈り物。対応次第で薬局のファンになることも!
クレームは患者さんからの贈り物。対応次第で薬局のファンになることも!
村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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