薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2025.02.04 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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Q181 薬局見学のマナーと確認しておきたいポイント

 


 

Q181 薬局見学のマナーと確認しておきたいポイント

 

Q181 薬局見学のマナーと確認しておきたいポイント
Q181 薬局見学のマナーと確認しておきたいポイント
転職活動中に、選考を受けている薬局の見学に行くことになりました。働く前に職場を見学させてもらうのは初めてなので、基本的なマナーを教えてほしいです。

Answer
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基本的なマナーを押さえて薬局見学を有意義なものにしましょう

転職を考えるにあたり、実際に薬局を訪れて職場見学をすることはとても重要です。転職エージェントを利用すれば、希望条件を満たしている薬局をすすめてくれるでしょうが、薬局の雰囲気やスタッフの構成、患者層など、直接足を運んで自分の目で見て初めてわかることも多いものです。見学におけるマナーを理解して実践し、有意義な薬局見学にしてほしいと思います。

 

 
まず身だしなみについては、男女ともにスーツ着用が基本です。「私服でどうぞ」と言われることもあると思いますが、リクルートスタイルで臨むと先方に熱意や真剣さを伝えることができ、好印象を持ってもらいやすくなるでしょう。スリッパに履き替えて見学することもありますから、靴下は色柄物を避けるのが無難です。
 
持ち物は、メモを取るための筆記用具とメモ帳を忘れずに。大きな荷物は見学時の邪魔になることがあるので、A4の書類が入る程度の小さめのカバンに入れて持参しましょう。
 
見学の際は、薬局スタッフに「こんにちは、●●と申します。本日は見学させていただいております。よろしくお願いいたします」などと挨拶します。複数のスタッフから話を聞ける場合は、その都度挨拶しましょう。
 
訪問時間は、午後3時以降など比較的患者さんが少ない時間を指定されることが多いと思います。患者さんが多い、忙しい時間帯を見学すると実際の様子がよくわかりますが、その場合は薬局スタッフ・患者さんに迷惑をかけることがないよう十分配慮しましょう。
 
見学中、気になる点があれば、後で質問できるよう素早くメモを取ります。質問に答えてもらったら、その場で必ずお礼を伝えましょう。見学後にあらためてお礼の手紙やメールを送ると、より一層感謝の気持ちが伝わります。なお、見学時はご挨拶の品を用意する必要はありません。

 
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q155 薬局長に評価されない職場はすぐに転職したほうがいい?

 

見学時に見たい・聞きたいチェックポイント

薬局見学に行く際は、限られた時間の中、人事担当者や薬局スタッフに手際よく質問できるよう、あらかじめ知りたいことを整理した上で質問事項を用意しておくといいでしょう。
 
担当者の説明を聞いたり、スタッフと話したりしているうちに、何を質問したいのか忘れてしまった……ということがないよう準備しておけば、落ち着いて要点を押さえて質問することができます。
 
見学時のチェックポイントをまとめてみます。
 

●職場の雰囲気

スタッフ同士の会話の様子や上司と部下の関係性、患者さんとの接し方などは、求人情報からは伝わってこないものです。たとえば、薬剤師と事務スタッフがうまく連携して業務を進めているか、薬剤師と事務スタッフの関係性が良好であるかなども細かく観察し、自分が気持ちよく働けそうか、職場の雰囲気を確認しましょう。

 

●スタッフの性別・年齢層

薬局スタッフは勤務体系も職種もさまざまです。スタッフの構成は、人間関係や働きやすさ、有給の取りやすさなどに関係します。男女比や年齢層に偏りがあると、業務にも影響が考えられますので、可能であれば訪問時に出勤しているスタッフだけでなく、職場全体の人員構成も把握するようにしましょう。

 

●患者さんの年齢層や応需処方

門前薬局の場合、応需する科別により大体の患者層を予想できますが、実際に行ってみると予想とは異なる年齢層の患者さんが多かったということもありえます。薬局内の様子を見つつ、スタッフにも質問してみるといいでしょう。

 

●作業環境や調剤室の機器

電子薬歴システムや分包機、レセコンなどの機材も忘れずにチェックします。最新のシステムが導入されていれば、薬剤師業務の負担軽減が望めますし、自分が使ったことのある機材であれば、転職後すぐに業務対応できます。休憩室やロッカーの有無、施設内の整理整頓が行き届いているかなども確認しておくと安心です。

 

 
見学中は人事担当者が案内してくれることが多いと思いますが、薬局スタッフと直接話す機会を作ってもらえる場合は積極的に質問して、一緒に働く上での相性なども見極めるといいでしょう。
 
なお、給与や待遇、薬局の業績、離職率といった現場のスタッフが話しづらいこと、あえて見学の機会に聞かなくてもいいことに関する詳細な質問は避け、これらについては自分で調べるか、転職エージェントを通じて確認するようにします。
 
薬局見学は求人票や転職エージェントの話だけではわからない薬局の雰囲気、具体的な業務の流れといった生の情報を得るチャンスです。自分が薬剤師としてどんな働きをしたいのかしっかりイメージした上で、希望に見合う薬局かどうかを冷静に判断する機会にしてほしいと思います。

 

熱意や真剣さが伝わる身だしなみ、挨拶を心がけ、職場内の人間関係や雰囲気をしっかり観察しましょう
熱意や真剣さが伝わる身だしなみ、挨拶を心がけ、職場内の人間関係や雰囲気をしっかり観察しましょう

  

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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