製薬各社が入社式~新社員の突破力に期待
製薬各社は1日、入社式を行った。製薬企業の事業環境が大きく変化する中、各社トップのあいさつでは、失敗を恐れず、果敢に挑戦していく若い人材の突破力に期待するメッセージが目立った。また、健康・生命関連産業として、法規制やガイドラインなどコンプライアンスを遵守し、高い倫理観に根ざした行動を呼びかける訓示も多く見られた。
武田薬品
武田薬品は39人の新入社員を迎え、大阪府吹田市にある同社研修所で入社式を行った。クリストフ・ウェバー社長CEOは、ビデオメッセージで、新入社員に対し、「誠実:公正・正直・不屈」を柱とした企業理念である“タケダイズム”に基づく行動を求めた。「変革のスピードが加速し続ける中で、今、タケダは希望に満ち溢れている。私たちはイノベーションの最先端に立ち、タケダだけではなく業界全体を変革していく」と飛躍を誓った。
中外製薬
中外製薬は、子会社を含むグループ全体で113人を採用した。小坂達朗社長CEOは、「革新的な医薬品とサービスに対する誇り」や「情熱を持って努力すること」の大切さを述べると共に、「多様な価値観や専門性がイノベーションを生むことを共通認識として、一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮してほしい」と激励した。
さらに、グループ会社であるロシュやジェネンテックなどの社員との仕事を通じて、「英語力を求められる場合に対応できるよう、今のうちから英語力の向上に努めてほしい」と自己研鑽を求めた。
第一三共
第一三共の眞鍋淳社長は、国内医療用医薬品の売上収益で「2年連続でナンバー1を達成し、おそらく2018年度もナンバー1を堅持し、3年連続で国内ナンバー1を達成したものと考えている」と述べた。癌に強みを持つ先進的グローバル創薬企業の実現を目指す「2025年ビジョン」に向け、「グローバルに伍して戦う十分な実績と実力を兼ね備えている。ビジョンの実現に向けて英知と力を注いでいこう」と飛躍を誓った。
大塚HD
大塚ホールディングスの樋口達夫社長兼CEOは、人口構造の変化や医療費高騰、人工知能による技術革新と変化が続く中、「一人ひとりに求められるのは、自ら発想し行動すること。問題の本質を見極め解決につなげること」と述べた。その上で、「大塚だからできること、大塚しかできないことを実践するために、皆さんには、『流汗悟道・実証主義・創造性』を念頭に、新しい舞台で果敢に挑戦していってほしい」と若い社員の奮起に期待した。
エーザイ
エーザイの内藤晴夫社長CEOは、独特の雰囲気を持った人材を“旬人”と表現し、新入社員に「旬人たれ」とのメッセージを贈った。旬人になるためには、行動の前に「考え続ける」、新たな取り組みに「打って出る」、日々の業務で「場数を踏む」必要性を挙げ、「ビジネスの第一線で、人間としての魅力を磨き、『旬人』として活躍されることを期待している」と語った。
田辺三菱製薬
田辺三菱製薬の三津家正之社長は、細胞治療薬や遺伝子治療薬などが登場し、「世界における競争がさらに激しくなる中で、競争に“勝ちきる”ために、私たちは競争相手を意識し、イノベーションを創出し続けることが必要」と述べた。知識集約型の医薬品産業で活躍するためには、「専門性を磨き、高度な知識を身につけてほしい」と要請した。
大日本住友製薬
大日本住友製薬の野村博社長は、求める人材像として、「上司や先輩の言うことを鵜呑みにしない、文化的なゲームチェンジャーとなれる人材」「失敗をおそれないチャレンジ精神」「企業活動の基本であるコンプライアンスの遵守」の3点を訓示した。グローバル化や、人工知能・デジタル技術を用いたフロンティア事業など新規事業に挑戦し、「皆さんが中堅社員になるころには、グローバルでキラリと光る製薬企業になることを目指していく」との高い目標を掲げた。
協和発酵キリン
協和発酵キリンの宮本昌志社長は、「今年は協和発酵キリングループ全体で大きな変革の年」と強調した。「過去の成功体験を捨てて未来に向けて挑戦し続けていくことが重要。患者さんの笑顔を増やしていく責任を果たすべく、覚悟を持って一緒に未来を進んでいこう」と呼びかけた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
ここ数日、駅のホームや通勤電車の中で、新入社員とおぼしき若者たちと遭遇する機会が増えました。スーツの着こなしだけでなく、混み合った車内における所作、混雑する駅の中での不慣れな歩き方だけで、何となく新入社員であることが判ってしまうものですね。さて、製薬各社でも、ここから先「令和元年組」と呼ばれ続けることになる新社員の入社式が行われた模様です――。