小児の誤飲事故、薬が1位‐タバコ抜き初、中枢系で多く
厚生労働省は、「家庭用品等に係る健康被害病院モニター制度」の2013年度報告書を公表した。モニター病院9施設の小児科医が報告した健康被害事例で、小児の誤飲事故は531件、このうち医薬品・医薬部外品が96件と、タバコの94件を抜いて初めて1位となった。
同制度は、モニター病院と日本中毒情報センターが収集した家庭用品による健康被害事例を厚労省に報告するもので、13年度の健康被害事例について専門家会議が検討を行い、報告書をまとめたもの。その結果、13年度の報告件数は1721件と、前年度に比べて145件増加した。
小児誤飲事故に関する報告は531件。最も多かった家庭用品等の種類は、医薬品・医薬部外品が96件と前年度の57件から大幅に増加し、1979年の制度開始以来、初めてタバコの94件を抜いて報告件数が1位となった。
医薬品・医薬部外品の誤飲の報告件数が前年度から大幅に増加しており、報告書では「注目すべき」と注意喚起している。
誤飲により症状が認められたのは27件、傾眠等の神経症状が14件、悪心・嘔吐等の消化器症状が認められた例が8件あった。入院を必要とした事例も7件で見られたことから、「医薬品は誤飲した際に最も注意を要する品目の一つであり、保管と管理には細心の注意が必要」と指摘した。
誤飲した医薬品の内訳を見ると、処方された医療用の中枢神経用薬が26件、一般用の精神神経用薬が15件と、中枢神経用薬が多かった。報告書は「中枢神経用薬は服用後に一時的に注意力が散漫になる場合がある」と指摘。医療用医薬品は、家族に処方された医薬品を誤飲している事例が多く、最近は甘い味がついた口腔内崩壊錠も多く販売されているとし、服用者以外の家族が注意するよう促した。
誤飲した年齢は、6~11カ月と1歳未満が147件と最も多く、次いで12~17カ月が130件、18~23カ月が63件と、自らフタや包装を開けて薬を取り出せるようになる1~2歳児で誤飲が多く見られていたことから、小児が開封しにくいチャイルドレジスタンス容器の採用が誤飲防止に有効と推奨した。
これらのことから、「医薬品の管理には特別の注意を払う必要があり、ただ高いところに置くのではなく、セーフティーキャップ等の開けにくい容器に入れる、置き場所を決めて大人が管理する等の対策も必要」とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
小児の誤飲事故について、2013年度の報告書が公表されました。医薬品の誤飲は2012年度よりも大幅に増加し、初めてタバコの誤飲件数を抜いたとのことです。喫煙者が減っていることとも関連しているかもしれませんが、薬の扱いにはより厳重な注意が必要になりますね。