RMP周知方法定まらず~企業3割が改訂時に手順書
医薬品の市販後安全対策を文書化した医薬品リスク管理計画(RMP)を改訂した際に、医療機関への周知方法を盛り込んだ手順書を定めている製薬企業は約3割にとどまることが、日本製薬工業協会医薬品評価委員会ファーマコビジランス部会の調査で明らかになった。大半の企業は、RMPの改訂内容に応じて医療機関に何らかの周知を実施していたとしても、手順が明文化されていなかった。RMP策定経験のある企業が増える一方、RMP実装後の運用方法を検討する必要性が浮き彫りになってきている。
RMPは2014年10月に法制化され、昨年4月時点で医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトに400製品以上が掲載されており、多くの企業がRMPの策定を経験している。
ただ、RMP作成後の医療現場における運用については、試行錯誤が続いているのが現状。RMP改訂時における医療機関に対する周知方法も、各医薬品のRMP更新時に医療従事者にメールで通知する「PMDAメディナビ」に限られる。
こうした状況を受け、同部会では、会員企業17社に対し医療機関に対するRMP改訂時の周知方法に関するアンケート調査を実施した。
RMP改訂時にPMDAのウェブサイト以外の医療機関に対する周知方法を尋ねた結果、周知方法を定めた手順書やマニュアルがあるのは5社にとどまり、11社は「ない」と答えた。
手順書で周知方法を明文化している5社に具体的な取り組みを聞くと、全ての企業が「MRに教育(情報共有)する」と回答した。そのうち1社は、RMPの改訂内容が安全性検討事項の変更のように影響が大きい場合と軽微な変更を区別せず、変更箇所を一律MRに連絡する対応を取っていた。そのほか、「資材を作成し、情報提供する」「自社ホームページに掲載」などの周知方法も聞かれた。
一方、手順書がないと回答した11社でも、MRに対する教育や情報共有を通じて周知しているのが4社、ホームページ掲載のみで対応するのが2社と、マニュアルがない状況で実施していることが分かった。
調査結果を受け、同部会は、重要な変更があったRMPについては、「医療関係者への周知を行うべき」との見解を示し、軽微な変更については改訂内容に応じてMRや医療機関への周知の有無を設定するなど、状況に適した情報提供を行う必要性を示した。
また、RMP改訂の周知方法は、各企業や担当者の意見に左右されやすいことから、「社内で一定の基準を設けて整備していくことが望ましい」とし、MRや医療機関への周知に関する手順書・マニュアルを整備することを提案した。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
苦労して新しいマニュアルを構築したものの、それが目的通りに使われていない…といったことは、どの業界でもよく見られる現象です。日本製薬工業協会医薬品評価委員会ファーマコビジランス部会の調査によりますと、医薬品の市販後安全対策を文書化したRMP(医薬品リスク管理計画)を改訂した際、医療機関への周知方法を盛り込んだ手順書を定めている製薬企業は約3割にとどまることが明らかになりました。調査結果を受けた同部会では、重要な変更があったRMPについて、状況に適した情報提供を行う必要性を示しました。