医療費

コロナワクチン、国が費用全額負担~製薬企業の損失補償契約も

薬+読 編集部からのコメント

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、10月2日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は、国が費用を全額負担するなどの具体案を了承しました。ワクチンは予防接種法により定期接種や特定接種などに区分。この日の分科会で厚労省が示した案では、新型コロナウイルスのワクチンについては、緊急的に蔓延を防止する必要があることなどから、「臨時接種」に位置づけられました。各市町村が接種を実施するほか、健康被害にかかる製薬企業の損失を国が補償することなどが盛り込まれています。市町村が接種を実施する一方、国はワクチンの確保や接種者の優先順位の決定、都道府県は卸売業者との調整などを行うシステムです。

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は2日、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、国が費用を全額負担するなどの具体案を了承した。市町村が接種を実施するほか、健康被害にかかる製薬企業の損失を国が補償することなどを盛り込んだ。厚生労働省は、関連法の改正案を準備した上で、次期国会に提出したい考えだ。


ワクチンは予防接種法により定期接種や特定接種などに区分される。この日の分科会で厚労省が示した案では、新型コロナウイルスのワクチンについては、緊急的に蔓延を防止する必要があることなどから、「臨時接種」に位置づけた。

 

市町村が接種を実施する一方、国はワクチンの確保や接種者の優先順位の決定、都道府県は卸売業者との調整などを行う。

 

費用負担の面について、臨時接種ではもともと自己負担はないものの、今回の新型コロナウイルス感染症ワクチンでも国民が円滑に接種できるよう国が全額負担する。

 

接種による健康被害に対する製造販売業者の損害賠償については、国が企業の損失を補償するための契約を結ぶ。また、接種勧奨を行い、国民には接種を受ける努力義務を課した。

 

健康被害が発生した場合の救済措置に関しては、安心して接種できる給付水準が必要とし、障害年金として年506万円、死亡一時金4420万円など高水準の救済給付が妥当とした。

 

釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、市町村の現状について「新たな集団接種の体制を組み込むことは容易ではない」と述べる一方、「わが国で積み上げてきた予防接種に対する考え方を踏襲した形で行い、副反応への対応を丁寧に行う必要がある」と訴えた。

 

大石和徳委員(富山県衛生研究所長)は、「リスクコミュニケーションの観点から、接種することで重症化予防だけでなく、医療の逼迫を最小限にする社会的役割を国民に伝えることが重要。この理解が接種率向上につながる」と述べた。

 

沼尾波子委員(東洋大学国際学部国際地域学科教授)は、複数回接種する場合を念頭に、「国費負担で賄えるか心配している。感染拡大していない地方では経済的支援を優先してほしいとの声もある」と指摘。

 

磯部哲委員(慶應義塾大学法務研究科教授)は、「接種しないことによる不利益が生じないよう、ガイドラインのようなものを示してはどうか」と提案した。

 

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出典:薬事日報

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