医療

ワクチンチーム立ち上げ~集合接種で薬剤師が支援へ

薬+読 編集部からのコメント

東京都では、2月初めに新型コロナワクチン接種を迅速・円滑に実施するための専門チーム「ワクチンチーム」を立ち上げました。全国的に先行する「練馬区モデル」が参考になるとして、4月上旬の接種開始前までに都内の区市町村に対し、一般者向けの予防接種実施体制の方向性を示します。練馬区モデルの先進事例を参考にしながら区内の診療所約250施設での個別接種をメインに、病院6施設や区立施設4施設、区役所本庁舎における集団接種会場で実施していきます。

東京都は、今月初めに新型コロナウイルスワクチン接種を迅速・円滑に実施するための専門チーム「ワクチンチーム」を立ち上げた。4月上旬の接種開始前までに区市町村に対し、一般者向けの予防接種実施体制の方向性を示す。ワクチンチームには都の薬剤師会も参画し、医療従事者の人手不足解消に一役を担う。練馬区モデルの先進事例を参考にしながら、区や医師会の協力要請に対応し、集合接種会場で薬剤師が医師・看護師の業務を支援できる体制を作る。

 

希釈、分注の研修会も

ワクチンチームは、都や区市町村、医師会、薬剤師会、歯科医師会、看護協会などで要職を務める17人のメンバーで構成。3日の初会合では、各機関の取り組みに関する進捗状況が報告された。東京23区は仕事や教育で流入している人口が多く、各地域で接種する人数が掴めず、集合接種とかかりつけ医療機関での個別接種の割合などが決まっていない。地域によって状況が異なり、ワクチン接種に関する情報が錯綜するなど混乱も見られる。

 

こうした中、各区市町村の予防接種実施体制を支援する専門チームとして、ワクチンチームが立ち上がった。具体的な実施内容はまだ決まっていないが、3月に数回の会議を行い、予防接種の実施体制に向けた道筋を示したい考えだ。

 

薬剤師の協力範囲や集団接種会場への配置人数などは、各区市町村や地域医師会が決めた接種方針に基づき、薬剤師会に協力要請が行われる方向。

 

全国的に先行する練馬区モデルが参考になるとしている。区内の診療所約250施設での個別接種をメインに、病院6施設や区立施設4施設、区役所本庁舎における集団接種会場で実施する。区と医師会から薬剤師会に対し、集団接種会場でワクチン接種前に行う希釈や分注業務での協力が要請されている。

 

ファイザー製ワクチンは、生理食塩液1.8mLで希釈し、1回0.3mLを正確に分注しないといけない。ワクチンの希釈・分注については、不慣れな薬剤師が多く、練馬区薬剤師会は近くウェブ研修会を開催する。実際に希釈や分注作業の様子を動画で見てもらい、正確な知識を持って正しく実施してもらうのが狙いだ。薬剤師からの関心は高く、会員の半数以上となる約180人が聴講を希望しているという。

 

ウェブ研修会参加後に、予防接種の実施体制に協力する意思を示した薬剤師に対しては、個別に練習用キットを送付すると共に、練習会を通じて対応可能な人員を確保する。

 

区や医師会とは週に1回、予防接種の実施体制に向けた協議を行っている。集団接種のみならず、診療所での個別接種でも協力関係を拡大する方向だ。

 

診療所によっては、ワクチンの希釈・分注作業を行える人材がいないため、医師会から近隣の薬局が支援できる体制づくりも求められている。

 

練馬区薬は、「地域の中で薬剤師の職能拡大につながる」と前向きに対応する方針。3月上旬には3者共同で会員の薬剤師に対する研修会を開催する予定だ。

 

厚生労働省から示された手引きで薬剤師は、予診・接種に関わる者として「薬液充填・接種補助を担当する」とされているが、検温や受付・記録、接種後の状態観察など、ワクチン接種の医行為以外は対応可能としている。

 

ワクチンチームの1人である東京都薬剤師会の高橋正夫副会長は、「ワクチン接種で人手が不足している領域は薬剤師を活用してもらいたい。薬剤師会としては行政や医師会が決めた方針に対応できるようにしたい」と話している。

 

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出典:薬事日報

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