ワクチン集団接種へ訓練~市町村向けマニュアル作成
薬剤師も希釈作業実施
大阪府は2月28日、大阪市の府立体育館で医師、看護師、薬剤師など医療従事者の参加を得て、新型コロナウイルス感染症ワクチンの集団接種訓練を実施した。今後、接種会場の開設や運営に関する検証結果をもとに、今月にも「集団接種マニュアル」を作成し、府下市町村での円滑なワクチン接種の実現につなげていく考えだ。今回の訓練には、大阪府薬剤師会から6人の薬剤師も参加。予診を担当した薬剤師からは、「お薬手帳を持参することで、アレルギー歴などの確認もスムーズにできるのではないか」との声もあった。
今回の集団接種訓練では、各市町村の参考事例となるよう会場候補として区民センター(600m2)、スポーツセンター(1200m2)のサイズに合わせた会場モデルを設営。模擬被接種対象者などが、▽受付・記録▽予診票の確認▽予診▽薬剤充填・接種▽接種済み票発行▽接種後の状態観察――の流れに沿って訓練を実施した。
ワクチン接種実施側としての訓練には、医師10人、看護師22人、薬剤師6人、事務員30人の計68人が参加。特に、▽予診票の確認▽接種▽薬液充填及び接種補助▽状態観察――などについて、適切な医療従事者の人材や配置体制の検証が行われた。薬剤師は、予診票の確認、薬液充填、状態観察、誘導・検温、接種済み票の案内・交付などを担当した。
同日の訓練では、ファイザーから原寸大のバイアル瓶(模造品)が提供され、実際に使用するシリンジと注射針で薬剤師らが希釈作業を行った。
担当した薬剤師は「希釈作業には特に大きな問題はなかったが、充填については最後まで無駄のない調製を行うため、事前に人(被接種者)の流れを連携して共有しておく必要がある」との認識を示した。
また、予診票の確認を担当した薬剤師は「薬を服用している人は、お薬手帳を持参しているとスムーズに確認できる」と感想を述べ、医師からも「予診時に患者が薬を持参して見せるケースもあった。服用中の人はお薬手帳を持参してほしい」と要望があった。
全体的には、薬液調製後にタイムキーパーのようなスタッフの必要性などを指摘する声もあった。
訓練を視察した吉村洋文知事は、「初めての集団接種訓練は非常に有意義だった」と感想を述べた上で、「各市町村で起こりそうなことを想定した現実的な訓練だった。医師、看護師、薬剤師、事務職も含めて課題が抽出できた。検証結果を踏まえ、1~2週間で集団接種マニュアルを作成し、市町村において円滑で安全な集団接種の実施に全面的に協力していきたい」と強調した。
また、大阪府薬剤師会の乾英夫会長は、「薬液の充填は薬剤師への要望が多い。府薬として、希釈充填の手技などに関する集合研修、動画配信を行う予定であり、地域薬剤師会の取り組みを支援したい。現場で薬剤師が関わっていくことで、医師や看護師の負担も軽減できると考えている」と話した。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
大阪府は2月28日、大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)にて医師、看護師、薬剤師など医療従事者の参加を得て、新型コロナウイルス感染症ワクチンの集団接種訓練を実施。各市町村の参考事例となるよう会場候補として区民センター(600m2)、スポーツセンター(1200m2)のサイズに合わせた会場モデルを設営したうえで、▽受付・記録▽予診票の確認▽予診▽薬剤充填・接種▽接種済み票発行▽接種後の状態観察の流れに沿い、訓練を行いました。訓練には大阪府薬剤師会から6人の薬剤師も参加しています。