医療

癌の10年生存率59.4%~院内登録データ、初の集計~国立がん研究センター

薬+読 編集部からのコメント

国立がん研究センターは、全国の癌診療連携拠点病院等から収集した院内癌登録情報を用いて、2007年診断例では181施設18万例、2008年診断例では240施設24万例を対象に「10年生存率」を初集計し、算出を行いました。その大規模な調査の結果、2008年に癌と診断された人の10年生存率が59.4%になったと発表。また、2012~13年に癌と診断された人の5年生存率も公表。413施設82万6,380例を対象に集計を行ったところ、前回調査と同じ67.3%との結果となりました。

国立がん研究センターは、2008年に癌と診断された人の10年生存率が59.4%になったと発表した。同センターが癌診療病院の院内癌登録情報データから10年生存率を集計するのは初めて。都道府県や全がんセンター協議会が公表している既存の10年生存率データに比べても大規模な調査結果となる。12~13年に癌と診断された人の5年生存率は癌全体で67.3%となり、11~12年に癌と診断された人の5年生存率から変化がなかった。

同センターは、全国の癌診療連携拠点病院等から収集した院内癌登録情報を用いて、07年診断例では181施設18万例、08年診断例では240施設24万例を対象に10年生存率を集計し、算出を行った。

 

癌以外の死因による死亡などを取り除いた相対生存率は、07年診断例が60.1%、08年診断例が59.4%となった。

 

08年に癌と診断された人の10年生存率を癌種別で見ると、前立腺癌が98.7%、女性乳癌が87.5%、子宮内膜癌が83.0%、子宮頸癌が70.7%、大腸癌が67.2%、胃癌が66.0%、膀胱癌が65.1%、非小細胞肺癌が34.5%、食道癌が33.6%、肝細胞癌が21.8%、肝内胆管癌が10.9%、小細胞肺癌が9.1%、膵臓癌が6.5%となった。

 

また、12~13年に癌と診断された人の5年生存率も公表した。413施設82万6380例を対象に集計を行ったところ、前回調査と同じ67.3%との結果になった。

 

癌種別では、前立腺癌が98.5%、甲状腺乳頭濾胞癌が97.3%、女性乳癌が92.1%、子宮内膜癌が84.4%、腎癌が82.0%、咽頭癌が80.1%、大腸癌が72.6%、胃癌が72.1%、膀胱癌が66.8%、卵巣癌が61.2%、腎盂尿管癌が48.7%、食道癌が47.5%、非小細胞肺癌が46.8%、肝細胞癌が44.7%、胆嚢癌が30.8%、肝内胆管癌が18.9%、膵臓癌が11.9%、小細胞肺癌が11.7%、未分化癌8.1%となった。

 

そのほか、3年生存率の調査結果では14年診断例が72.6%と前回調査から0.2ポイント上昇し、15年診断例では73.6%となった。

 

これまで治癒の目安は5年生存率が指標となっていたが、肝細胞癌など癌によっては5年以降も長期的にフォローアップしていく必要なことが明らかになっているため、長期予後として10年生存率を集計するようになっている。

 

同センターでは、5年生存率、3年生存率については簡易に結果が閲覧できるよう「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」を開発し、公開している。

 

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出典:薬事日報

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