無通告査察強化など注力~佐藤監麻課長「後発品不正の再発防止へ」
厚生労働省医薬・生活衛生局の佐藤大作監視指導・麻薬対策課長(画像)は8日に専門紙と共同会見し、続発する後発品製造に関する不正事案について、無通告査察の強化などに注力する考えを示した。医薬品医療機器総合機構(PMDA)のノウハウも活用し、都道府県の査察能力を育成していく方針だ。
佐藤氏は、一部後発品メーカーによる製造工程上の不正事案の影響を受けた供給不安について、「法令遵守の意識欠如、品質確保体制の不十分さ、行政の調査体制など複数の要素が絡み合って引き起こしていることが指摘されている」とした上で、「明らかに遺憾と言わざるを得ない」と述べた。
再発防止に向けた取り組みとして、「都道府県や関係機関と連携して無通告査察を強化しつつ、PMDAや都道府県の査察体制をどう育成するか、両面で現行制度の運用改善を図る必要がある」との考えを示した。
さらに、「1回1回の査察の質をどう高めるかは重要な議論だ。査察能力の育成は都道府県だけでできるものではないので、PMDAのノウハウも上手く活用する形で協力したい」とした。
新型コロナウイルスワクチンの品質に関する安全確保策については、米モデルナ製品で異物混入が確認された事案を踏まえ、「海外の製造所と国内の製造販売業者は必ずしも近い関係ではなく、コミュニケーションの難しさがあることは分かる」と指摘。その上で、「国内の製造販売業者が違反して業務停止処分を受けるといった問題とは異なる意味で製造・品質管理の難しさがある。海外、国内の製造販売業者それぞれに合わせた法令遵守、製造・品質管理のあり方を考える必要がある」と述べた。
医療用医薬品の販売に関する情報提供ガイドライン(GL)の適用開始から2年以上経過したが、佐藤氏は業界の対応状況に言及。「作成時と比べてGLに反する大きな事例は見られなくなっているが、依然として問題事例は存在している。GLの精神が薄れないよう関係団体も含めて引き続き啓発したい」とした。
一方、GLに対する業界側の受け止めについては厚生労働科学研究班が今年度まで調査研究を進めているとして、「GLへの抵触を過剰に恐れているとの研究結果が出てくれば、過剰にならないよう指導のやり方を変えていくことはあると思う」との考えを示した。
医療用医薬品に関する販売情報提供活動監視事業については、「一定の見直しをする必要があるが、現段階では明言できない。問題事案の変遷などを分析し、企業側の受け止めもよく見た上で対応の方向性を検討したい」とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
続発する後発品製造に関する不正事案について、厚労省医薬・生活衛生局の佐藤大作監視指導・麻薬対策課長が無通告査察の強化などに注力する考えを示しました。一部後発品メーカーによる製造工程上の不正事案の影響を受けた供給不安について、佐藤氏は「法令遵守の意識欠如、品質確保体制の不十分さ、行政の調査体制など複数の要素が絡み合って引き起こしていることが指摘されている」と認識。今後、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のノウハウも活用し、都道府県の査察能力を育成していく方針です。