丁寧すぎる言葉遣いや原稿を読むような話し方をしていませんか
患者さんの言葉から、相談者さんの対応を想像してみました。
まず、言葉遣いを振り返ってみましょう。丁寧に説明しようと思うあまり、かえって相手に距離を感じさせていないでしょうか。
買い物をするとき、丁寧な言葉遣いの店員さんよりも、少しフランクな話し方の店員さんに対しての方が気軽に相談しやすいと感じた経験はありませんか。尊敬語や謙譲語を多用する店員さんに対して、かえって気持ちが引いてしまう、というのはよくあるケースです。
私がいつも心がけているのは、相手の話をよく聞いて、相手よりほんの少しだけ丁寧な言葉遣いをすること。似たような話し方をすることで、相手は安心感や親近感を覚えて、話しやすいと感じてくれます。
次に、話の内容を振り返ってみましょう。相談者さんは、服薬指導で伝えるべき事柄をひとつ残らずしっかり伝えようとしてはいませんか。
丁寧に説明することはもちろん大切ですが、相手の様子をよく見て理解度や興味・関心の度合いをはかりながら、言葉も内容も臨機応変に変えていくことが大切です。
「ロボットみたい」というのは、決められた原稿を規則正しく読み上げているようなイメージなので、患者さんはマニュアルっぽさを感じているのかもしれません。
そこで、「用法を守っていただいてありがとうございます」「良くなったご報告を聞いてホッとしました」のように、感謝の気持ちや感情の言葉を声に出して伝えてみましょう。温もりやいたわりといった感情のプラスアルファの言葉を加えると、やわらかい人間らしさが感じられます。話し方も、緩急や抑揚をつけたり声のトーンを変えたりしてみるなどの、ほんのちょっとの工夫で印象がグッと変わると思います。
自分が思っているよりも笑顔が弱いのかも
相談者さんの笑顔も、実は患者さんには弱々しく感じられるのかもしれません。自分で鏡を見て研究してもいいですし、同僚や上司に笑顔を確認してもらうともっと効果的。目元や口角を動かすなど、表情筋を鍛えることも大切です。
最後に、どうしても忘れてはならないことがあります。患者さんが親しみを感じられる薬剤師を目指すなら、薬剤師自身が、患者さんに親しみを感じてほしいということです。「相手のことを理解しよう」「もっと知りたい」と思う気持ちが伝わって心の対話が始まります。「あなたのお役に立ちたい」――そういう気持ちを持ち続けて、親しみを感じる薬剤師になってくださいね。応援しています。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。