初のオレンジレター公表~原料容器に企業名未記載
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、医薬品原料の受け入れ時に供給元の確認を適切に行わなかった事例が確認されたとして、初のGMP指摘事例速報(オレンジレター)を公表した。報告された事例では、医薬品原料の容器に貼付されたラベルにメーカー名が未記載で、医薬品原料が適正であるかラベルの確認や記録が行われていなかった。PMDAは、医薬品製造所に手順に基づいた品質管理やコンプライアンスの徹底を呼びかけている。
オレンジレターはGMP調査における指摘事項のうち、業界への周知が特に有用と考えられる事例について、注意喚起や技術的な参考として今年度から公表するもの。各製造所における品質向上のための自主的な改善や製造販売業者による管理監督の強化を目的としている。
公表されたオレンジレターによると、原料の容器に貼付されたラベルにはメーカー名が未記載となっているにも関わらず、受け入れ記録では容器に貼付されたラベルにより、メーカー名を確認したように記録されていた。受け入れ担当者は容器に貼付されたラベルを直接確認せず、原料の試験成績書によりメーカー名を確認していた。
GMP省令では、原料についてロットごとに適正であるかを確認し、その結果に関する記録を作成することを要求。製造所の手順では原料の受け入れ時に容器に貼付されたラベルにより、供給元のメーカーを確認し、記録を残すと規定しているが、今回の指摘事例では適切に実施されていなかった。
PMDAは今回の事例について、「容器に貼付されたラベルの確認を怠った場合、本来入荷すべき原料と異なる原料が入荷されたとしても検知できないリスクが存在する」と問題点を指摘。また、本来入荷すべき原料と異なる原料を使用した場合に、当該原料を使用した製品の品質に重大な影響を及ぼす危険性が存在するとした。
その上で、▽手順通りにラベルの確認、記録を行っているか(行っていない場合、原因調査、適切な改善、影響評価が必要)▽作業者は自ら行っている業務の意味(ラベルの確認を徹底する意味)を理解しているか▽製造所全体に、手順を遵守する意識が浸透しているか――のチェック項目を医薬品製造所に点検するよう呼びかけた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
医薬品原料の受け入れ時、供給元確認を適切に行わなかった事例が確認されたとして、PMDA(医薬品医療機器総合機構)が、初となるオレンジレター(GMP指摘事例速報)を公表しました。報告事例によりますと、医薬品原料の容器に貼付されたラベルにメーカー名が未記載で、医薬品原料が適正であるかラベルの確認や記録が行われていませんでした。PMDAでは、医薬品製造所に手順に基づいた品質管理やコンプライアンスの徹底を呼びかけています。