後発品の流通情報届かず~的確に入手、薬剤師2割のみ
NPhA調査
後発品の流通状況に関する情報を適時的確に入手できていると回答した薬剤師がわずか2割にとどまることが、日本保険薬局協会(NPhA)が実施した調査で明らかになった。製薬企業・医薬品卸から提供される情報と後発品の流通状況が乖離していると回答した割合も高く、依然として薬局薬剤師が後発品の情報提供に不満を感じている現状が浮き彫りになった。
調査は、NPhA医薬品流通・OTC検討委員会、薬局機能創造委員会が会員企業薬局の管理薬剤師を対象に、7月27日から8月24日まで行い、3548薬局から回答を得たもの。
主な調査結果を見ると、後発品の流通状況に関する情報を適時的確に入手「できている(とても思う+やや思う)」との回答は20.7%と約2割にとどまり、「できていない(全く思わない+あまり思わない)」(53.0%)を大幅に下回る結果となった。
流通状況の情報が開示・提供されているかについて提供元別で見ると、製薬企業では「されていない(全く思わない+あまり思わない)」が55.5%と半数を超え、卸からの情報提供については「されていない(全く思わない+あまり思わない)」が41.4%で、「提供されている(とても思う+やや思う)」(35.0%)を上回った。
開示・提供されている情報と流通状況に乖離があるかについては、製薬企業からの情報で乖離が「ある(とてもある+ややある)」が55.6%に上った。内訳は、「とてもある」が18.4%、「ややある」が37.2%となった。
一方、卸からの情報で乖離が「ある(とてもある+ややある)」は38.1%となった。内訳は「とてもある」が9.1%、「ややある」が29.0%となった。製薬企業と比較すると乖離が「ある」の割合は少ないものの、「乖離はない(まったくない+あまりない)」(26.3%)を上回っていた。
今年1月時点と比較した後発品の流通状況については「悪化(悪化している+やや悪化している)」と半数以上が回答したが、昨年6月時点と比較すると改善傾向が見られた。
昨年6月時点と今年1月時点で比較した調査では「悪化している」は74.5%、「やや悪化している」が14.2%で、「悪化」は9割近くあったが、今回の調査では「悪化している」が33.3%、「やや悪化している」が21.8%と「悪化」は5割超まで減少した。
後発品調剤割合を維持する負担感について聞くと、今年1月時点で「大きな負担」は66.1%だったが、今回の調査では56.2%にまで減少。ただ、「負担」「やや負担」が共に1月時点より増加し、「負担ではない」の回答率も1月調査の4.1%から今回は3.9%と低下した。
在庫している全医療用医薬品の総品目数の平均は、2005年以来最大の1363.4品目に上った。「2000品目以上」(8.7%)は、昨年8月調査時より減少したものの、「1000品目以上1500品目未満」(49.0%)、「1500品目以上2000品目未満」(22.3%)が共に増加した。
後発品で在庫している品目数の平均は603.0品目で、昨年8月時の650.9品目を下回った。内訳は、「600品目以上」が42.1%、「500品目以上600品目未満」が23.8%、「400品目以上500品目未満」が15.8%であった。
これらの結果について、医薬品流通・OTC検討委員会の畔上和也氏は「後発品の流通状況の情報は十分に伝わっていないのではないか」と印象を述べ、「その先には患者がいる。製薬企業も卸もより一層注力、尽力していただきたい」と乖離の是正を求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本保険薬局協会(NPhA)が3548薬局に実施した調査によると、後発品の流通状況に関する情報を適時的確に入手できていると回答した管理薬剤師は、わずか2割にとどまることが明らかになりました。製薬企業・医薬品卸から提供される情報と後発品の流通状況が乖離していると回答された割合も55.6%と高く、医薬品流通・OTC検討委員会の畔上和也氏は乖離の是正を求めました。