医療

20歳未満に濫用薬規制案~大容量製品の販売は不可 厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

10月30日の「医薬品の販売制度に関する検討会」で、厚労省は濫用の恐れのある医薬品に関して、20歳未満と20歳以上の購入者で異なる販売方法を定め、若年者に対しては複数個・大容量製品の販売を行わないようにする案を提示。陳列場所を第1類医薬品と同様、購入者の手の届かない場所にすることについては、参加者からの反論も出ました。

厚生労働省は、10月30日に開催された「医薬品の販売制度に関する検討会」で濫用の恐れのある医薬品に関する販売方法案を示した。20歳未満と20歳以上の購入者で異なる販売方法とし、若年者に対しては複数個・大容量製品の販売を行わないようにするよう提案した。購入者の状況確認や濫用等に関する情報提供は現行の努力義務から義務化に強化。必要な場合には氏名、年齢等を確認し、記録を作成・保存して記録を参照の上で販売するよう求める。陳列場所を第1類医薬品と同様、購入者の手の届かない場所にすることには、日本OTC医薬品協会や日本チェーンドラッグストア協会の構成員から反論が出た。

若年者を対象とした濫用の恐れのある医薬品の販売をめぐっては、氏名・年齢や複数購入しようとする場合の購入理由確認など一定の義務が課せられているが、濫用目的の場合は意図的に複数の製品を購入するため、インターネット販売での購入を含む複数の店舗を利用するといった方法により、規制の実効性は低下するとされている。

 

厚労省案では、20歳未満の者が購入しようとする場合への対応を強化するため、20歳未満と20歳以上で異なる販売方法を定める。若年者に対しては現行認められているインターネットによる販売方法を禁止し、薬剤師・登録販売者による対面販売か、電話や映像を用いて薬剤師・登録販売者と購入者がリアルタイムで双方向通信が行えるオンライン販売のみとした。

 

多量、頻回購入を防止し、原則として小容量1個の販売とする。特に20歳未満の人に対しては複数個・大容量の製品は販売しない。必要な場合において氏名、年齢等を確認し、記録を作成・保存して、記録を参照した販売を行う。対面の場合は運転免許証、学生証等の身分証を提示し、非対面の場合はオンライン本人確認サービスを用いて氏名や年齢などを確認する。他店での購入状況を確認するとしている。

 

一方、陳列場所については、現行ルールでは「情報提供場所から7m以内」とされているが、「購入者の手の届かない場所」と規制強化する。

 

この日の検討会では、若年者を対象とした販売方法案について一定の合意が得られたが、年齢で区切った販売方法や製品の陳列方法については賛否が割れた。

 

森昌平構成員(日本薬剤師会副会長)は、「相手の状況を確認できるのはネットよりも対面であり、20歳以上で小容量であっても対面もしくはオンラインにしてはどうか。年齢を区切るのではなく大事なのは国民を守ることと思っている」と述べた。

 

陳列方法については、「国民への啓発を考えても、手に届かないところにあるのは危険なものなのだと理解してもらうことは重要」と述べ、厚労省案に賛同した。

 

これに対し、関口周吉構成員(日本チェーンドラッグストア協会理事)は「(手が届かない場所に陳列した場合に)必要な医薬品が確実に消費者に届かないのではないかとの懸念がある。有資格者がしっかりと関わって販売すればいい」と述べ、「濫用の恐れのある医薬品は1500品目以上あるが、その実態がある医薬品に限定して規制していく方法があってもいいのではないか」と提案した。

 
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出典:薬事日報

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