23成分が市場拡大再算定~8成分は引き下げ幅緩和 中医協総会
中央社会保険医療協議会は17日の総会で、2024年度薬価制度改革で年間販売額が大きい品目の薬価を引き下げる「市場拡大再算定」の適用品目を了承した。市場拡大再算定の対象は、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療剤「ベクルリー」など23成分に上った。一方、小児適応に関する効能追加等を評価した補正加算を考慮し、8成分は再算定による引き下げ幅が緩和される。
効能追加によって医薬品の使用実態が変化し、市場規模が拡大したため、市場拡大再算定の対象となったのは、アッヴィのヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤「リンヴォック錠」と類似品で日本イーライリリーの「オルミエント錠」、ファイザーの「サイバインコ錠」、ギリアド・サイエンシズの「ジセレカ錠」、アステラス製薬の「スマイラフ錠」、ファイザーの「ゼルヤンツ錠」、エーザイの抗癌剤「レンビマカプセル」と類似品でバイエル薬品の「ネクサバール錠」、ヤンセンファーマの抗悪性腫瘍剤「イムブルビカカプセル」と、類似品でアストラゼネカの「カルケンスカプセル」、小野薬品の「ベレキシブル錠」、ヤンセンファーマの乾癬治療剤「ステラーラ」、第一三共の抗癌剤「エンハーツ」、メルクバイオファーマの抗癌剤「バベンチオ」と類似品で小野薬品の「オプジーボ」の15成分だった。
レンビマとバベンチオは、市販後の真の臨床的有用性を評価して10%の加算率、エンハーツは希少疾病用医薬品に指定された癌化学療法後に増悪した遺伝子変異陽性の小細胞肺癌について日本を含む国際共同治験により開発が進められたこと、市販後の真の臨床的有用性が評価されて各10%の加算率を考慮して市場拡大再算定による引き下げ幅を緩和する。
原価計算方式で算定され、年間売上高が150億円以上で予想販売額の2倍を超えたか、年間販売額が100億円以上で予想販売額の10倍を超えたため、市場拡大再算定の対象となったのは、アステラス製薬の抗癌剤「イクスタンジ錠」と、類似品でヤンセンファーマの「アーリーダ錠」、バイエル薬品の「ニュベクオ錠」、第一三共の骨粗鬆症治療剤「プラリア」、バイオマリンファーマシューティカルジャパンの軟骨無形成症治療剤「ボックスゾゴ」、武田薬品の抗悪性腫瘍剤「アドセトリス」、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療剤「ベクルリー」、中外製薬の視神経脊髄炎スペクトラム障害再発予防剤「エンスプリング」の8成分。
イクスタンジ、アーリーダ、ニュベクオは市販後の真の臨床的有用性が評価され5%の加算率、アドセトリスは日本を含む国際共同治験により小児開発が進められたため10%の加算率、また市販後に真の臨床的有用性が示されたため5%の加算率、ベクルリーは市販後に小児の臨床試験成績が得られ、小児に関する添付文書の注意喚起が変更されたため5%の加算率を考慮し、引き下げ幅を緩和する。
MSDの抗癌剤「キイトルーダ」については、20年2月に市場拡大再算定で対象薬の類似品の薬価を引き下げる“共連れルール”が適用された品目であり、今回も市場拡大再算定対象品の薬理作用類似薬とされたが、1回に限り4年間は再算定ルールの適用対象外となるため、市場拡大再算定の類似品として取り扱わないこととした。
一方、24年度薬価改定時に加算が適用される品目は13成分23品目とした。
このうち、24年度薬価制度改革で加算を充実させた品目は9成分、小児適応の効能追加に関する加算が適用される品目は11成分となり、小野薬品の短時間作用型β1選択的遮断剤「オノアクト」には15%の小児適応の効能追加に関する加算率が適用された。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2024年度薬価制度改革で年間販売額が大きい品目の薬価を引き下げる「市場拡大再算定」の適用品目が、中央社会保険医療協議会の総会で了承されました。対象となるのは、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療剤「ベクルリー」など23成分です。その一方で、小児適応に関する効能追加等を評価した補正加算が考慮され、8成分は再算定による引き下げ幅が緩和されます。