【厚科審制度部会】安定供給確保を法律で規定~製造販売業者に重い責任
厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が11月28日に開かれ(写真)、医療用医薬品の製造販売業者に安定供給体制管理責任者(仮称)の設置や安定供給体制確保のための体制整備を法律で規定することを了承した。また、限定出荷・供給停止となった場合の「供給状況報告」や供給停止の恐れがある場合の「供給不安報告」に関して厚生労働大臣への届出を義務化し、供給状況報告の届出を怠った製造販売業者には罰則を含めた措置を検討する。これまで安定供給体制の整備は個々の企業に委ねられていたが、責任を法律上規定することで安定確保策の実効性を確保したい考えだ。
現在、医薬品医療機器等法では製造販売業者に品質管理、製造販売後安全管理を担う総括製造販売責任者の設置等が義務づけられているが、安定供給のための供給体制の管理については特段の規定は設けられていない。安定供給体制の確保を法律上の規定とすることは、初めての試みとなる。
「安定供給体制管理責任者」は「製造販売業者の医療用医薬品の供給体制の管理を行う者」とし、安定供給体制確保に向けた手順書の遵守のための体制整備など、法令に位置づけられる安定供給確保の取り組みを行うことを想定。
どの法律で規定するかはまだ決まっていないが、厚生労働省は「薬機法が馴染みやすいのではないか」としている。
同責任者の法律上の義務は、総責や品質保証責任者・安全管理責任者を参考に規定しつつ、詳細は今後、施行に向けた議論の中で検討する。施行前に、各企業に対し安定供給体制管理責任者の早期設置を求めていくなどの運用も検討する。
手順書の整備など安定供給のための必要な措置は薬機法18条の遵守事項として規定する。製造販売業者に対し、現行のGQP省令などを参考としつつ、原薬確保や在庫管理、生産管理に関する手順書を作成し、遵守のための体制整備や取り組みも定めるよう求める。企業が確実に効果的な対応を行えるよう厚労省がひな形を示し、施行に向けて丁寧な対応を行う。
安定供給体制管理責任者や手順書の整備に関する措置の執行は、都道府県が行うことを想定している。厚労省は、安定供給体制管理責任者の位置づけについて「生産計画を取りまとめている人が安定供給体制管理責任者になることをイメージしている」とコメント。総責と安定供給体制管理責任者について、それぞれ別の人を任命する必要性は「今後、要件を詰めていきたい」とした。
医療用医薬品の製造販売業者が限定出荷・供給停止等の対応を行う場合、通知で厚労省に対する報告(供給状況報告)等を求めているが、供給状況報告や供給不安報告について厚労相への届出を義務化する法令上の対応を行う。
供給不安報告では、製造販売業者、卸売販売業者に対して厚労相は製造・販売等の状況の報告を求めることができ、製造販売業者、卸売販売業者、医療機関、薬局等にも必要な協力の要請ができる旨を規定する。
中でも、供給状況報告の届出義務については罰則を含めた措置を検討する。製造販売業者にとっては明らかに限定出荷・供給停止の対応にも関わらず、現状でも一部の企業で報告漏れが起こっている状況にあり、厚労省が行う各種措置の契機となる重要なものであることを考慮した。
一方、医療上必要不可欠であって、汎用され安定確保が求められる安定確保医薬品は、「安定供給確保医薬品」(仮称)として厚労相が指定することとし、法令上の位置づけを与え、感染症法の感染症対策物資と同様の規定を設ける。
なお、厚労省は同日の部会で「薬機法等制度改正に関する取りまとめ」の骨子案を示した。26日に開催予定の部会で取りまとめ案を公表する予定だ。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は、医療用医薬品の製造販売業者に安定供給体制管理責任者(仮称)の設置や安定供給体制確保のための体制整備を法律で規定することを了承。また、限定出荷・供給停止となった場合の「供給状況報告」や供給停止の恐れがある場合の「供給不安報告」に関して厚生労働大臣への届出を義務化する方針です。