小児・HIVにも区分拡大~専門機関連携薬局で対応案 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会
厚生労働省は、「癌」に限られる専門医療機関連携薬局の傷病区分について「HIV」「小児(疾病)」に拡大する対応案を16日の「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」に示した。地域連携薬局数が4000を超える一方、専門医療機関連携薬局は205薬局にとどまることから、同検討会では傷病区分の拡大に向け、関係者にヒアリングを進める予定。構成員からも傷病区分の拡大に前向きな意見が相次ぎ、かかりつけ薬局から小児・HIVの専門薬局に紹介する機能など薬局間連携が重要との指摘も出た。
同検討会では、地域連携薬局について在宅対応を主とする薬局に要件を見直し、健康サポート薬局は現在の都道府県への届出制から認定制度として法令に規定する方向で意見を取りまとめたが、さらに今回、積み残していた専門医療機関連携薬局についても議論をスタートした。
専門医療機関連携薬局の傷病区分として定めているものは「癌」のみとなっており、厚労省は専門的な医療機関や学会で専門薬剤師の認定が行われている「HIV」「小児(疾病)」の二つの疾患を拡充する考えを提示した。
「小児(疾病)」については、もともと対象疾患として候補に上がっており、HIVは「患者のための薬局ビジョン」で高度薬学管理機能の一つに抗HIV薬服用患者の支援が記載されていたことを踏まえ、盛り込んだ。今後、関係者へのヒアリングを実施し、検討を進めていく。
構成員からは好意的な意見が相次いだ。山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「専門的なことを行っている薬局ということで差別化を図れるのではないか」と期待感を語った。
一方で、「専門医療機関連携薬局の数は200程度であり、地域によっては少ないところもある」と指摘。薬局からの紹介機能も課題に挙げ、「専門的な薬局がどこにあるか分からない時に薬局が認定薬局を紹介してくれるという発想がない。小児、HIVに強い薬局がどこなのか患者が探すよりは紹介してもらえたほうが安心できる」と述べた。
宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、「患者数に応じた癌の認定薬局はすべからくあるべき」と認定薬局数を増やす取り組みが必要との考えを示した。
小児については「専門病院の周辺にある薬局が辛うじて工夫をしてやっているので、こうした薬局にはインセンティブがあるべきだろう」と前向きに評価した。
川上純一構成員(日本病院薬剤師会副会長)は、「小児・HIV領域に専門性を持った薬剤師を育成することが大事。癌の専門医療連携薬局が都道府県の医療計画に位置づけられ、増やそうとされているのかもポイントになる」と行政が関与する必要性を訴えた。
厚労省は記者団に、「検討会としてのゴールは未定だが、傷病区分を決めた後にその基準がどうなのか、専門家も交えて検討することも考えている」と説明した。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
「癌」のみとなっている専門医療機関連携薬局の傷病区分について、厚生労働省は専門的な医療機関や学会で専門薬剤師の認定が行われている「HIV」「小児(疾病)」の二つの疾患を拡充する対応案を「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」に示しました。