先日、常連の患者さんが持ってきた処方せんの有効期限が切れていました。処方せんの有効期限が切れているのでお薬は出せないと説明したのですが、「うっかり忘れちゃっただけなのに、駄目なの? いつもと同じ薬なのに……」と、なかなか納得していただけませんでした。処方せんの有効期限については、どのように説明するとよいのでしょうか。
一般的に知られていない処方せんの有効期限
私たち薬剤師にとっては、処方せんに期限があることは周知の事実です。しかし、あまりにも当たり前だと考えているため、患者さんに改めて説明しないことが多く、一般的には処方せんの期限のことはあまり知られていません。これは私たち医療者側の完全な説明不足であり、患者さんが「そんなこと聞いてない!」と納得できないのは当然のことかもしれません。そのことを念頭に置き、患者さんの気持ちになって対応することが大切です。
そこで、まずは「説明が不十分で申し訳ない」という謝罪の意を示すことから始めます。「処方せんを出した病院側が説明すべきではないのか」と思うかもしれませんが、薬剤師としてではなく、医療人を代表するつもりで謝罪しましょう。その際は、心からの態度で謝罪してください。「ルールはルールですから」と患者さんの主張を突っぱねるような態度は、決してとらないように気をつけましょう。
そこで、まずは「説明が不十分で申し訳ない」という謝罪の意を示すことから始めます。「処方せんを出した病院側が説明すべきではないのか」と思うかもしれませんが、薬剤師としてではなく、医療人を代表するつもりで謝罪しましょう。その際は、心からの態度で謝罪してください。「ルールはルールですから」と患者さんの主張を突っぱねるような態度は、決してとらないように気をつけましょう。
予防策として有効期限についての周知を徹底する
このケースの場合、一般的には処方元の医療機関に連絡をして有効期限の延長について相談することになると思いますが、まずはお待たせする患者さんにその旨をしっかり伝えましょう。総合病院などで担当医が当番ではない、あるいは診療時間外で電話がつながらないなど、その場でスムーズに確認が取れず、結果として薬が渡せない場合も出てくるかもしれません。その場合は、医療機関側の説明不足によって患者さんにご迷惑をおかけしているので、医師の許可が出てから郵送またはお届けすることを提案するなど、丁寧に対応してください。場合によっては医師から「再診して処方せんを出し直すから、患者さんにこちらに来てもらうように伝えて」と言われる可能性もありますが、その際は患者さんにかなりの時間と手間がかかることになるので、さらに丁寧な対応が必要になります。
予防策として「処方せんは有効期限内にお持ちください」という張り紙をしたり、有効期限の周知や説明を徹底することも医療機関としては必要だと思います。
予防策として「処方せんは有効期限内にお持ちください」という張り紙をしたり、有効期限の周知や説明を徹底することも医療機関としては必要だと思います。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
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