処方せん

一般名処方が3割を突破‐薬剤師による変更調剤進む

薬+読 編集部からのコメント

後発品の使用促進策に関し、2016年度診療報酬改定の影響を検証した報告書がまとめられました。保険薬局では一般名処方の割合が3割を突破。後発品調剤に積極的に取り組む薬剤師は7割を超えたということです。

16年度改定調査‐後発品「銘柄指定」は半減

 

後発品の使用促進策に関する2016年度診療報酬改定の影響を検証した報告書がまとまった。保険薬局対象の調査によると、一般名処方の割合が31.1%と3割を突破。昨年7~9月の後発品の調剤割合は65.5%と、前回調査から4.6ポイント上昇した一方、後発品名で処方された医薬品で「変更不可」の割合は7.0%と前回調査から8.9ポイントも大きく減少した。後発品調剤に積極的に取り組む薬剤師は7割を超え、変更調剤の着実な進展が裏づけられた。22日の中央社会保険医療協議会総会に報告された。


 

昨年7~9月の3カ月間における後発品の調剤割合を見ると、「70%以上~75%未満」が16.6%と最も多く、次いで「65%以上~70%未満」が16.3%、「75%以上~80%未満」も16.1%と前回調査の4.7%から大幅に増加。全体の平均は65.5%だった。

 

これについて、薬剤師会等の備蓄センターによる後発品の融通がしやすい環境にある薬局では67.6%とさらに高かった。実際、後発品の備蓄状況を見ると、昨年9月の後発品の備蓄品目は315.4品目と17.8%増加しており、融通がしやすい環境のある薬局では、ない薬局より備蓄品目数が21.2品目多いことも分かった。後発品の廃棄金額も融通しやすい環境のある薬局で1471.9円少なく、さらなる使用促進には備蓄センター等を通じた後発品の融通がカギになることがうかがえた。

 

昨年10月16~22日の1週間の取り扱い処方箋に記載された医薬品で一般名処方の割合は31.1%と、前回調査の24.8%から上昇。そのうち77.4%で後発品が選択され、その割合も前回調査の73.0%から増加しており、薬剤師による後発品への変更調剤が積極的に行われている実態が明らかになった。

 

一方、後発品名で処方された医薬品で「変更不可」の割合は7.0%と前回調査の15.9%から8.9ポイントも大幅に減少。変更不可の後発品が処方されることにより、調剤を行う上で「問題があった」と回答した薬局も40.9%と前回調査より8.4%減少した。後発品の銘柄指定の問題は徐々に解消しつつあるようだ。

 

昨年10月時点の後発品調剤体制加算の算定状況を見ると、数量シェア65%以上の「加算1」が34.2%、数量シェア75%以上の「加算2」が30.3%となった。改定前の昨年3月時点で加算2を算定し、改定後も届け出た薬局は65.3%に上ったが、改定後に加算1から加算2に区分を上げたのは11.9%にとどまった。特に薬局店舗数で20~49店舗、50店舗以上のチェーン薬局で加算2の届け出数が大幅に減少しており、数量割合75%以上のハードルの高さが考えられた。

 

後発品調剤に対する考えを尋ねると、「全般的に積極的に取り組んでいる」との回答が70.6%と7割を突破。13年度時点に比べると20.0ポイント増加しており、薬剤師による積極的な取り組みが年々広がっていることが裏づけられた。

 

後発品を積極的に調剤しない理由としては「患者が先発品を希望するから」との回答が59.2%と最も多かったが、患者調査では「少しでも安くなるのであれば使用したい」との回答が6割以上にまで増えてきており、一層の国民への啓蒙の必要性も課題として浮かび上がった。

 

調査結果を受け、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「数量シェア80%時代に向け、変更不可欄がある限り国民の不安が解消されない」と主張。次期診療報酬改定の議論で変更不可欄の必要性を検討していきたい考えを示した。

 

さらに患者が先発品を希望しても医師、薬剤師が説得することが必要と指摘。特に後発品使用促進の大きな担い手に薬剤師を挙げ、「薬学的管理の腕前を発揮できる部分であり、ぜひ頑張ってもらいたい。後発品への分割調剤の方法もあるので、有効に活用してもらいたい」とエールを送った。

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出典:薬事日報

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