薬剤師会

後発品を使いこなす時代に‐基礎薬学、問題意識が必要

薬+読 編集部からのコメント

18日、都内で日本薬学会のレギュラトリーサイエンス部会が開かれました。
政府目標の後発品(ジェネリック)シェア80%時代の課題として、「80%時代は薬剤師が自分たちで後発品を使いこなす時代。そのためには基礎薬学の力と研究的素養が必要」、「長期収載品が先発品メーカーの収益のもとになっているのはおかしい」などの意見が出されました。
速崩性のある錠剤で服用のしやすさが向上するもの、溶解性が向上するものなど、後発品に変更することでメリットがある例を挙げた上で、切り替え後にセフェム系抗菌薬など、病棟での配置薬取り違えが起きた具体例も紹介されました。

参照価格制に賛成意見も

 

日本薬学会のレギュラトリーサイエンス部会は18日、都内で後発品をテーマにしたフォーラムを開いた。新たな政府目標である数量シェア80%時代に向け、薬局、病院の医療現場から課題が示され、「80%時代は薬剤師が自分たちで後発品を使いこなす時代。そのためには基礎薬学の力と研究的素養が必要」「長期収載品が先発品メーカーの収益のもとになっているのはおかしい。参照価格制度は薬局にデメリットがあるが、やっていかなければいけない」などの声が出た。


パスカル薬局の横井正之氏は、後発品の評価に必要な知識に最も精通しているのは薬剤師とし、「後発品の使用促進は薬剤師が専門性を発揮する機会」と強調。数量シェア80%時代は「後発品が当たり前になる」とした上で、未だ患者や処方医の意向で後発品に切り替えていない薬剤師が多いことを指摘。「視点が医師と同じになってしまっている。薬剤師のリーダーシップはどこへ行ったのか」と問題提起した。

 

特にオーソライズド・ジェネリック(AG)があれば切り替えたいと考えている薬剤師が多い調査結果に言及。「逃げている印象だ。薬剤師が後発品でなくAGを選び始めたら、もう薬剤師はいらないと言われるのではないか」と警鐘を鳴らした。

 

横井氏は、現場の最大の課題に「医薬品の開発、添加剤、結晶多形、薬学管理と薬剤評価といった薬の専門知識」を挙げ、「これらの基本的な知識があまりにもないのではないか。後発品を自分たちで使いこなせていない」と指摘した。先発品との適応症の違い、添加剤の違いを気にしすぎているとし、「薬剤師には情報リテラシーが必要ではないか。後発品では、その能力がまさに試される」と訴えた。

 

そのためには、基礎薬学の力が必要としつつ、「現場と大学の授業内容が乖離しており、薬局現場で基礎的な力を使いこなせていない」と提起。基礎薬学の力に加え、問題意識を持つことの重要性を強調し、「大学でも薬局薬剤師の教育、基礎薬学をどう使うのか意識して教育してほしい」と教育に注文を付けた。

 

東戸塚調剤薬局の山田真幸氏は、製剤や包装の工夫など優れた後発品が多く発売されているとしつつ、数量シェア80%時代に向け、後発品の種類の多さと名称の不規則さを課題に挙げると共に、長期収載品比率の突出した高さにも問題意識を示した。

 

その上で、「先発品より使いやすい後発品も販売されており、後発品メーカーの技術が劣っているわけではない」とし、「長期収載品割合が金額ベースで4割もあり、それが先発品メーカーの収益のもとになっているのはおかしい」と指摘。参照価格制度についても、「薬局にはデメリットだがやっていかなければいけない」と主張した。

 

一方で、千葉大学病院薬剤部の鈴木貴明氏は、医薬品購入費削減に向け、院内ルールを策定して後発品への切り替えを進めている取り組みを紹介。速崩性のある錠剤で服用のしやすさが向上するもの、溶解性が向上するものなど、後発品に変更することでメリットがある例を挙げた上で、切り替え後にセフェム系抗菌薬など、病棟での配置薬取り違えが約11カ月で8件発生したことを示し、「切り替え後の対策が必要」と述べた。

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出典:薬事日報

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