薬価制度改革案「少し乱暴」‐山本会長
日本の医薬品産業がダメに
日本薬剤師会の山本信夫会長は、11月30日の定例会見で、厚生労働省が同月22日の中央社会保険医療協議会に提示した薬価制度抜本改革の骨子案について、「少し乱暴のような気がする」との印象を語った。
小野薬品の抗癌剤「オプジーボ」に高額な薬価がついたことに端を発し、今回の抜本改革につながった経緯について触れ、「オプジーボがけしからんということで全体を見直すというのは急すぎる。単に価格の引き下げだけを行って、医薬品の価値を認めないような薬価制度は問題がある」との認識を示した。
中でも、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を「革新的新薬創出等促進制度」に改称し、制度化に向けた検討を行うとする見直し案について、加算の対象となる製薬企業が外資に偏ってしまい、財源の多くが外資に振り向けられてしまうことを危惧し、「日本の医薬品産業はいらないということにもなりかねない。日本からメーカーがなくなってしまうのはあまり好きな方針ではない」と語った。
さらに、医薬品の安定供給を図るためには、「自前の医薬品を持っている」ことが重要との認識を示しつつ、「それをもって世界に打って出るのが知的集約産業」と指摘。
「それまでつぶしてしまうような施策は、長期的に見ると日本の産業をダメにしてしまう気がする」とした。
関東中央病院の敷地内公募「不愉快極まりない」
この日の会見で山本会長は、公立学校共済組合「関東中央病院」が敷地内薬局の公募を行っていることについて、「不愉快極まりない」と語った。
山本氏は、「会員、非会員問わず、誰であっても敷地内薬局を誘致するというのは好ましいことではない」と断った上で、「主体が公立学校共済組合」となっているところが、公開入札ではなく、「実績のあるチェーン薬局に限って」という条件つきの入札をしていることを指摘し、「何を考えているか理解できない」と述べた。
国公立の大学や病院には、「国から補助金が出ており、税金でまかなわれている部分がある」にもかかわらず、「その場所で税金を稼ぐというのは、あるべき姿なのか」と疑問視し、「不愉快極まりない。自分たちがやるべきことを考えてほしい」と語った。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本薬剤師会山本信夫会長は、中央社会保険医療協議会で厚生労働省が示した薬価制度抜本改革の骨子案について、急すぎると発言。長期的な視点では日本の産業にマイナスなのではないかという考えを示しました。
また、関東中央病院の敷地内薬局公募に強い不快感を示しました。