地域支援体制加算に35点、服用薬剤調整支援料は125点‐診療報酬改定案を答申
敷地内は院内同様の10点
中央社会保険医療協議会は7日、2018年度の診療報酬改定案をまとめ、加藤勝信厚生労働相に答申した。地域支援に貢献する薬局の体制を評価するために新設する「地域支援体制加算」に35点、同じく新設の「服用薬剤調整支援料」には125点をつけた。「かかりつけ薬剤師指導料」は算定要件を厳格化し、70点から73点に引き上げた。一方、敷地内薬局の報酬を院内調剤と同様の扱いにするため、「特別調剤基本料」を新設し、10点と低い点数を設定。調剤基本料は、特定の医療機関からの処方箋受付回数、集中率の要件を見直し、引き下げ対象範囲を拡大した。後発品調剤体制加算は、数量割合の基準を引き上げると共に、新たに85%以上(26点)のハードルを設定。3段階評価に変更したほか、調剤数量が20%以下の薬局は基本料を2点減算する規定を設けた。
現行の基準調剤加算の廃止に伴い、新設する「地域支援体制加算」は、地域医療に貢献する体制があることを示す実績を求める。具体的な施設基準としては、1年間の常勤薬剤師1人当たり、▽夜間・休日等の対応400回▽重複投薬・相互作用等防止加算等40回▽服用薬剤調整支援料1回▽単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理12回▽服薬情報提供料60回▽麻薬指導管理加算10回▽かかりつけ薬剤師指導料等40回▽外来服薬支援料12回――の実績を全てクリアする必要がある。
ただ、調剤基本料1を算定している薬局では、▽麻薬小売業者の免許を受けている▽在宅患者薬剤管理の実績を有している▽かかりつけ薬剤師指導料等にかかる届け出を行っている――の基準を全て満たしていれば、これらの実績は適用されないため、同加算の算定は基本料1の算定がカギになりそうだ。
このほか、▽一定時間以上の開局▽医薬品の備蓄品目数▽24時間調剤、在宅対応体制の整備▽在宅療養を担う医療機関、訪問看護ステーションとの連携▽医療安全に資する取り組み実績の報告――なども施設基準となっている。
服用薬剤調整支援料は、薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用を行った場合に評価の対象となる。6種類以上の内服薬が処方されていたケースで、保険薬剤師が文書を用いて提案し、患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に月1回算定できる。
16年度改定で新設された「かかりつけ薬剤師指導料」は現行の70点から73点へ、「かかりつけ薬剤師包括管理料」は270点から280点へそれぞれ引き上げる。また、同指導料の同意を取得する時、かかりつけ薬剤師の必要性や患者の要望などを確認することを要件化し、同意書の様式を整備する。
同指導料の施設基準のうち、「当該薬局に6カ月以上」の在籍期間要件は「1年以上」に延長した。週32時間以上の勤務時間については、育児・介護休業法に定める短時間勤務を行う際の例外規定として、週32時間以上勤務する他の薬剤師を届け出た場合、同法で定める期間中は「週24時間以上かつ週4日以上」とする。薬剤師1人当たり月100件以上の同指導料を算定した場合、調剤基本料1に復活できる特例除外規定は廃止する。
重複投薬・相互作用等防止加算と同防止管理料については、「残薬調整」に関する場合を現行の30点に据え置き、「残薬調整以外」に関する場合を40点に引き上げる。
薬剤服用歴管理指導料は、「原則、過去6カ月以内にお薬手帳を持参して同じ薬局を繰り返し利用した場合」に相当する現行の38点を41点、「患者の初回来局時」に相当する現行の50点を53点に引き上げる。特別養護老人ホーム入所者に対する現行の38点も、41点へ引き上げる。
ただ、「6カ月以内に再度、処方箋を持参した患者のうち、お薬手帳を持参した患者割合が5割以下」など、お薬手帳の活用実績が認められない薬局は、新設する「薬剤服用歴管理指導料の特例」(13点)の対象となる。
内服薬の調剤料は、「15日分以上21日分以下」を現行の70点から67点、「22日分以上30日分以下」を80点から78点、「31日分以上」を87点から86点にそれぞれ引き下げる。
調剤基本料は5段階に‐引下げ対象範囲を拡大
調剤基本料は、基本料1(41点)、基本料2(25点)、基本料3(20点)、同(15点)、特別調剤基本料(10点)の5段階となる。基本料1と2の点数は据え置いたが、基本料2の要件となっている処方箋の受付回数「月2000回超」かつ集中率「90%超」については、集中率のみ「85%超」に拡大した。
また、特定医療機関からの処方箋が4000回超の場合は、集中率にかかわらず基本料2の対象となる。医療モールのように、薬局のある建物内に複数の医療機関がある場合、全ての診療所の処方箋を合算することになるため、これまでの基本料1から2を算定する薬局の増加が見込まれる。
基本料3については、同一法人グループ内の処方箋受付枚数に応じて二つに分類。その薬局のグループ全体の処方箋受付回数が月4万回超から40万回以下のうち、集中率が85%超、または特定医療機関との間に不動産賃貸借取引がある薬局が20点の対象となる。
基本料3(15点)の対象となるのは、グループ全体の処方箋受付回数が月40万回超で、集中率が85%超の薬局、または特定の医療機関との間に不動産賃貸借取引がある薬局。
特別調剤基本料は、医療機関と不動産取引など特別な関係がある薬局で、その医療機関からの処方箋集中率が95%超の場合を対象とする。届け出なし(基本料1~3のいずれにも該当しない)の場合も対象となる。
特例点数は、医療資源が少ない地域の薬局については対象から除外される。特定の区域に医療機関が10施設以下で200床以上の病院が存在しない、処方箋受付回数が月2500回を超えない場合などに適用され、敷地内薬局も対象に含まれる。
分割調剤は、「分割調剤に係る処方箋」の様式を追加すると共に、医療機関と薬局間の具体的な取り扱いを明確にし、さらなる普及を促す。分割の回数は3回までとし、薬剤師は患者に対し、継続的な薬学的管理指導のため、同じ薬局で調剤を受ける必要があることを説明。次回調剤を受ける予定を確認し、予定時期に患者が来局しない場合は、電話などで状況を確認することとした。ただ、患者が別の薬局で調剤を受けることを申し出ている場合は、その薬局に調剤の状況や必要な情報を予め提供する。
AST加算は100点‐構成員に専任の薬剤師
一方、病院薬剤師関連では、感染防止対策加算の要件を見直し、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の取り組みを評価する新設の「抗菌薬適正使用支援加算」に100点(入院初日)をつけた。施設基準の一つに、ASTを組織して適正使用支援業務を行うこととしているが、その中で3年以上の病院勤務経験を持つ感染症診療に関わる専任の薬剤師を構成員に位置づけた。また、入院中等の減薬の取り組み実績を踏まえ、薬剤総合評価調整加算の評価対象に地域包括ケア病棟入院料を追加。地域包括ケア病棟入院料において、薬剤総合評価調整を包括の範囲外とする。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2018年の診療報酬改定案を、中央社会保険医療協議会が加藤厚生労働大臣に答申しました。
基準調剤加算は廃止。敷地内薬局や院内調剤は「特別調剤基本料」を新設し、10点としました。処方箋の集中率要件も改定され、より対象が拡大されました。
新設の「地域支援体制加算」は35点、「服用薬剤調整支援料」には125点をつけ、「かかりつけ薬剤師指導料」は73点にあがりました。
敷地内・大型門前薬局には厳しい結果となりました。