薬剤師の常識が、一般の人にとっても常識だとは限りません
そのため、返金には応じられないという旨を伝えつつ、「大変申し訳ございません」と希望に沿えない点をお詫びします。返品・返金に応じられないことについてのお詫びではなく、希望に沿えないことについてのお詫びです。そう思えば、「薬が返品できないのは当たり前なのに!」と思う気持ちも和らぐのではないでしょうか。うわべだけの謝罪は相手の心に響かず、二次クレームに発展してしまう可能性もあります。心から申し訳ないという気持ちを込めて、丁寧に応対してください。
患者さんの“わずかな変化”を見逃さないで
だとすると、ここで突然副作用が出たというのは、何らかの変化があったということ。患者さんの「この薬で副作用が出た」という言葉を鵜呑みにして終わりにするのではなく、どんな副作用が、いつから出ているのかなどについて、詳しくヒアリングしてみましょう。もしかすると、体調の善し悪しでたまたま出てしまったのかもしれませんし、他の病気のために何か薬を併用し始めたことが関係している可能性もあります。
このような状況で患者さんから話を引き出すのは難しいかもしれませんが、そこは薬剤師の腕の見せどころ。しっかりと患者さんの言い分を聞き、一段落したタイミングを見計らって「ところで、生活に大きな変化があったということはありませんか?」「新しく薬を飲み始めたということはありませんか?」など、うまく話を引き出して「副作用」と思われている変化の原因を探ってみましょう。
原因さえわかれば、その痛み止めをそのまま服用し続けられるかもしれませんし、場合によっては薬の飲み合わせによる危険な副作用を回避することができるかもしれません。そうなれば、薬剤師として大いに患者さんの役に立てたことになりますね。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/