私が勤務する薬局では、「ご自宅に飲み残しのお薬があったら薬局に持ってきてくださいね」とアピールしたり、残薬バッグを配布したりと活動してきたことが功を奏して、飲み残しの薬を持ってきてくださる患者さんが増えました。ですが、中には「買い取ってもらえるもの」と思っている方もいらっしゃるようです。買い取りはできませんが、せっかくいいことをしてくださっているので、気分を害することなく理由などを伝えられるといいのですが、どうしたらいいでしょうか。
出来ないことをはっきりと、今後の対応策を添えて伝える
患者さんが自主的に飲み残しの薬を持ってくるところまで、地道に活動してきた効果があらわれていて素晴らしいですね。残薬確認による医療費削減効果も明らかになり、今後もこの流れは続くでしょうから、「返品・返金・買取」についての要望は今後も出てくるものと予想できます。
「飲んでいない薬を引き取ってもらって、さらに返金もしてくれたらいいのに」という患者さんの気持ちは理解できなくもありませんが、法律上できないことははっきりできないと伝える必要があります。大切なのは、患者さんの気持ちを慮った言い方を意識することです。
「せっかくお持ちいただいたのに申し訳ありませんが」「大変申し上げにくいのですが」というように、患者さんの気持ちに寄り添うクッション言葉を前置きしたあとで、「一度お渡ししたお薬の買取(返品・返金)は法律でできないことになっています」「買取や返品はいたしかねます」などと伝えます。
「飲んでいない薬を引き取ってもらって、さらに返金もしてくれたらいいのに」という患者さんの気持ちは理解できなくもありませんが、法律上できないことははっきりできないと伝える必要があります。大切なのは、患者さんの気持ちを慮った言い方を意識することです。
「せっかくお持ちいただいたのに申し訳ありませんが」「大変申し上げにくいのですが」というように、患者さんの気持ちに寄り添うクッション言葉を前置きしたあとで、「一度お渡ししたお薬の買取(返品・返金)は法律でできないことになっています」「買取や返品はいたしかねます」などと伝えます。
さらに、今後の対応策を提案することで、患者さんの納得しかねる気持ちの収まりどころを探していきましょう。たとえば、長期服用してきた先発医薬品をジェネリック医薬品に変更するのが不安であれば、長期投与ではなく分割調剤が可能であると伝えてみる。残薬を自己判断で不要と思い込んでいるケースでは、服用の必要性を説明したり、疑義照会して処方変更することを提案したりするなどの方法があります。
また、薬を返品された場合の返品後の取り扱い(再利用はできないため廃棄する)について説明すれば、返品不可の理由を理解してもらいやすくなります。
感謝の気持ちや今後の対応についても伝えましょう
そして、できないことだからこそ、言い方や対応に思いやりが必要です。思いは言葉にしなければ伝わりません。
「何とかお役に立ちたいのですが、こればかりはどうしようもないのです。本当に申し訳ございません」と心の底からお詫びする。「いつも残薬をお持ちくださりありがとうございます」「今日はご期待に添えませんでしたが、ご相談くださりありがとうございました」というように、残薬の持参や相談してくれたことへの感謝を伝える。
そして「他にできることがあれば精一杯取り組みますので、これからもなんでも相談してください」「残薬はもちろん、どんなことでも気軽にご相談ください」などと素直に積極的にアピールする。
「何とかお役に立ちたいのですが、こればかりはどうしようもないのです。本当に申し訳ございません」と心の底からお詫びする。「いつも残薬をお持ちくださりありがとうございます」「今日はご期待に添えませんでしたが、ご相談くださりありがとうございました」というように、残薬の持参や相談してくれたことへの感謝を伝える。
そして「他にできることがあれば精一杯取り組みますので、これからもなんでも相談してください」「残薬はもちろん、どんなことでも気軽にご相談ください」などと素直に積極的にアピールする。
買い取ってもらおうと意気込んで来局する患者さんに、心から納得してもらうのは難しいかもしれません。それでも、患者さんの気持ちになんとか応えたい、お役に立ちたいという姿勢を見せて、患者さんと真摯に向き合ってほしいと思います。
制度上いたしかたないことではありますが、同じ説明でもそれを伝える人によって患者さんが受ける印象は変わります。信頼できる薬剤師だと感じてもらえていれば、多少のモヤモヤ感が残ったとしても「この人がダメというなら仕方ない」と納得してもらえるはず。そのような信頼関係を日頃から築いておくことが一番の対処法と言えるのではないでしょうか。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
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株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
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