顔なじみになるまで、自分から積極的に声をかけましょう
私たちが胸の中で思うことは、実際に言葉にしないとなかなか相手に伝わらないものです。恥ずかしいかもしれませんが、自分から積極的に声をかけることが最初の一歩。相手の顔と名前をすばやく覚えて呼びかける。顔を合わせるたびに挨拶をして、顔と名前を覚えてもらう…等々は、信頼関係を築くために絶対に欠かせないコミュニケーションです。
そして「何か薬のことでわからないことがあれば、気軽に相談してくださいね」などと元気よく伝えましょう。薬剤師が薬剤師以外の医療者とコミュニケーションをとる機会が少ないということは、すなわち相手も薬剤師とのコミュニケーションに慣れていないということ。信頼関係ができるまで、コミュニケーションは「質より量」が大切です。どんなささいな話題でもいいので、言葉を交わす機会を増やしてほしいと思います。
また、相手からのリアクションを期待するなら、返事をしてもらえるような声かけをすることが必須。聞きやすい声の大きさや話のスピードを心がけることは当然ですが、さらにオープンクエスチョンで話しかけるといいでしょう。対話が成り立つような話題を自分から提供して、話しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
多職種を信頼して、対話のきっかけを作りましょう
自分なら、どんな医療者を信頼しますか?たとえば看護師の立場になって考えてみてください。在宅現場で薬剤師と患者さんのコミュニケーションの様子を見て、「熱心だな」「優しく接しているな」などと興味を持ち、試しに薬剤師に薬の相談をしてみたところ、とても適切な回答をもらえた。そこで初めて、看護師は薬剤師に対して、「この人は頼りになる」と感じるのではないでしょうか。
信頼してほしい、頼ってほしい、と思うならば、自身の行動で頼りになることをアピールしましょう。
薬の相談がなくても、在宅の現場で仕事をする様子をさりげなく観察して、相手が知りたいことやこうすると便利というような情報をちょっとずつ提供する。相手が「よく気付く人だな」「こういう情報がほしかった」と感じてくれたら、それが信頼への入り口です。
最後に、医師や看護師、ケアマネジャーなどの医療者から信頼されたいと思うなら、相談者さんも相手を信頼してほしいと思います。頼りにされたら誰でもうれしいのは同じです。
「お忙しいところ申し訳ないのですが、ちょっと教えていただけませんか」と声をかけてみる。教えてもらった後は、「今日は教えていただいてありがとうございます。私も何かお役に立てるかもしれません。なんでも聞いてくださいね」のように対話のきっかけを作れば、相手も相談しやすくなります。
薬剤師に話しかけるのを遠慮したり、話しかけづらいと感じたりする医療者も中にはいます。相談者さんから積極的に声をかけて、心の扉を開いてほしいと思います。頑張ってください。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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