Q174 セカンドオピニオンを受けるべきか相談されたらどうする?
Q174 セカンドオピニオンを受けるべきか相談されたらどうする?
傾聴に徹して、患者さんの気持ちを受けとめましょう
相談を受けて答えに困ってしまう場合、「今の治療を否定することになる」「処方医に失礼になるのでは?」などと考えてしまうのかもしれませんが、それは杞憂ではないでしょうか。患者さんにはセカンドオピニオンを受ける権利がありますし、適切な診断・満足のいく治療を受けて一日でも早く元気になりたいと思うのは当然のことです。
患者さんが真剣に治療法を探しているのであれば、相談された薬剤師も真摯に答えたいところ。患者さんの気持ちに寄り添う姿勢で臨んでほしいと思います。
とはいえ、実際どのように返答すればいいか、悩むのももっともなことです。そんなときはまず、患者さんの話をじっくり聴くことから始めましょう。
患者さんは、自分の思いを誰かに聴いてほしいと思っていますが、実際になんでも話せる相手というのは意外と少ないものです。家族や友人に話せば心配をかけてしまいそう、医師は忙しそうにしていて、話しかけたら迷惑かもしれないと遠慮してしまう…。そんな思いを抱えた患者さんが「薬剤師に相談してみよう」と思ったのであれば、それはとてもありがたいことです。
患者さんの本音は、正解や答えを求めているというよりは、誰かに話を聴いてほしいだけかもしれません。相談されたらまずは「もう少し詳しく聞かせていただけますか」のように伝えます。「○○と感じているのですね」「○○したいと考えているんですね」などと思いを受けとめ、「それはお辛いですね」「なんとかしたいですね」といった共感を示しながら丁寧に話を聴きます。
肯定か否定かにこだわらず、患者さんがセカンドオピニオンを受けたいと考えるに至った経緯や思いに真剣に耳を傾けましょう。治療しながら悩みや不安を抱える患者さんの気持ちを、しっかり受けとめてほしいと思います。
親身になって話を聴くことで、患者さんは自分で答えを見つける可能性もあります。気持ちが落ち着いてくれば、答えを必要としなくなることもあるでしょう。自分の思いや悩みを話しているうちに曖昧だった考えがまとまり、自分の素直な気持ちを確認することもあります。
そのタイミングで、「ご自身がお考えになっているようにすればいいと思います」「かかりつけの先生にも相談したらいいと思いますよ」などとアドバイスをすると、患者さんの意思を尊重して後押しすることができるのではないでしょうか。
薬剤師としてシェアできる知識や情報があれば伝えましょう。患者さんの話の中に薬や副作用への不安を感じとったら、患者さんが納得するまで丁寧に説明します。
勘違いや誤解があれば正し、患者さんが堂々巡りをしているときは、さりげなく「○○さんは、これからどうしたいと思っているのですか」などと水を向けてみましょう。答えは患者さんの胸の内にあると信じて、患者さんの話に真摯に耳を傾けてほしいと思います。
🔽 患者さんへの対応に関するお悩みに回答した記事はこちら
薬剤師の接遇マナー・テクニック Q173 薬局の保険証確認時にいつも「忘れた」と言う患者さんにどう対応する?
患者さんが話したくなる環境を整え、寄り添う姿勢を大切にしましょう
さらに、傾聴に適した環境づくりも大切です。落ち着いてゆっくり話ができる個室や座って話せる環境があれば、患者さんはリラックスして「もうちょっと話してみようか」などと思うものです。
「何か答えなくては」と身構えてしまうと、薬剤師の緊張が患者さんに伝わってしまうかもしれません。「気軽に何でも話してくださいね」などと声をかけ、自然体で患者さんの気持ちに寄り添う姿勢を持ち続けましょう。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。