Q178 「救急箱の中身に何を入れる?」薬剤師からのアドバイス方法
Q178 「救急箱の中身に何を入れる?」薬剤師からのアドバイス方法
いつでも使えるように救急箱の管理について説明しましょう
救急箱は、急なケガや病気に備えてあらかじめ用意しておくものであり、応急処置に必要な薬や補助用品を備えた救急セットです。深夜や休日の体調不良ですぐに病院に行けないようなとき、受診するまでなんとか自分で手当てする「セルフメディケーション」に役立ちます。最近では、災害時の応急処置だけでなく、緊急持ち出し用としての役割も注目されています。
救急箱の中身は薬がメインなので、薬の管理方法についてしっかり指導しましょう。薬には使用期限がありますから、救急箱の中の薬についても、期限切れがないか定期的にチェックが必要です。
医薬品の使用期限は、製造から未開封の状態で3年から5年程度に設定されています。期限が切れたものは廃棄しますが、期限がわからなくなったものもあると思いますので、開封後半年から1年を目安にして処分すると安心です。
そのためにも、開封日などをメモする習慣をつけてもらうといいでしょう。薬を処分したままでは、いざというときの救急箱の役目が果たせませんから、不足したものを補充することも大切です。
また、薬は温度や湿度・光によって影響を受けることがあるため、保管場所についても注意が必要です。高温・湿気を避け、直射日光の当たらないところに置くよう説明しましょう。
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家族構成や年齢などに合わせて、中身を変えましょう
一般的にそろえておきたい薬のほか、それぞれの家庭でよく使いそうな薬も入れておくと、いざという時に役立ちます。たとえば、お子さんがいるご家庭では、擦り傷・切り傷などに備えて消毒薬や外用薬、ばんそうこうなどを充実させておくと安心です。
高齢者がいる場合は、肩こりや腰痛に効く貼り薬なども入れておきましょう。細かい作業をおこなう機会が多い場合、ピンセットやとげ抜きがあると便利です。必要な薬などは家族構成や年齢層によって異なりますので、使いそうなものをそろえておくといいでしょう。
最後に、処方薬の取り扱いについても確認しましょう。救急箱は、万が一に備えて薬や衛生用品を用意しておくものです。医師から処方された定期薬は毎日使うものが多いため、一般的には救急箱の薬とは区別して保管することが望ましいように思います。
家族構成などにより考え方はさまざまですが、処方薬は一般の医薬品より効き目が強く、処方された人以外が服用することがないよう慎重に管理する必要があります。処方された薬が余ってしまった場合、救急箱に保存したり、家族が使用したりせずに、廃棄するよう指導しましょう。処分の方法は、各自治体の分別・収集のルールに従います。
救急箱は一度中身をそろえたら終わりではありません。セルフメディケーション推進の観点からも定期的な点検を促し、「わからないことがあれば気軽に相談してくださいね」とプラスアルファの一言を加えられると、信頼関係づくりにも役立ちます。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」 : https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。